5月8日、映画「流浪の月」のフレッシャーズ試写会が行われ、主演の広瀬すずさんと松坂桃李さんが登壇しました。

客席に顔を揃えたのは、この春に晴れて新社会人としてのスタートを切ったばかりのスーツ姿の新入社員52名。

広瀬さんは「同世代の皆さんに、この作品がどう映ってどう届いたのかが気になる部分ですが、新鮮な景色です」、松坂さんは「新社会人の方々とこの空間にいられるのがすごく嬉しい」と感謝しました。

憧れの血ノリ初体験で、ゾンビ役を熱望

フレッシャーズにかけて、MCから「『流浪の月』の撮影で初めてだったこと」を聞かれると、本作で李相日監督と初タッグを組んだ松坂さんは「李組の現場は役と作品に没入できる環境があり、圧倒的に時間が早く過ぎて行ったので、気づいたらすごく疲れていました」と発表。

本作で血ノリを初体験したという広瀬さんは、「毎日血ノリをつけられていたので、ゾンビ映画は大変だろうなと思いました(笑)。街を移動するだけでみんなに見られたりするので、フェイスシールドをマスクに変えたりして。思い出として“血ノリしたな~”と。役者として血ノリをつけることに憧れがあったので、次はぜひゾンビで!」と意欲を見せました。

また「新しい環境で意識していること」を聞かれた松坂さんは、「聞くこと」を挙げて「新しい現場や、新しい環境に入ったときに自分はゼロの状態。撮影では1つの現場が1つの組織になっているので、そこにいる人たちの考え方を聞くのは大事」と、ルーティンを告白。

一方、広瀬さんは「松坂さんの『聞く』と同じ感覚で、私は見ています。(見ることで)その人の人柄まで分かったらいいなと思う。見ることでその人の特徴を捉えたり、お名前を覚えられたりするので」と秘訣を語りました。

松坂桃李、これまでの出演作を振り返り「最善の最短ルート」

フレッシャーズからの質問コーナーでは、「困難や壁の乗り越え方」について質問が。広瀬さんは「我慢せず、自分のやりたいことや好きなことに没頭する。あとは“ウェイ!”とバカな顔をして、遠慮なく人に全力で甘えちゃいます」と紹介。

続けて、「20歳を過ぎてそれができるようになったというか、『話すことってこんなにも自分が楽になるんだ』と体験しました。正直に『つらい』って言います!」と、処世術を明かしました。

「自分が壁を乗り越えるときは、一度立ち止まる」と語る松坂さんは、「せわしなくなると分かっていないのにやらなければならないと思いがちなので、そこで勇気を振り絞って立ち止まるのも1つの方法。立ち止まった目線から見えてきたものをピックアップしてやってみる。その突破口でこれまで壁を乗り越えてきた感じはあります」と説明しました。

また、「もし希望の部署に配属されなかったら、どう頑張ればいいのか?」というフレッシャーズ特有の切実な質問に、松坂さんは「僕も『なんでこの作品やれないんだろう』と思うことはあるんですけど、いま考えるとやりたかった作品とは違う、別の作品をやったからこそ次の作品に繋がったという部分があるので、振り返ると最善の最短ルートだったなと思うんです」と告白。

「そこで『違った!』じゃなくて、自分の中の最短ルートがこの歩み方だったと考えると、いい意味で割り切った仕事のマインドで挑めると思います」と、実体験からのアドバイスを。

フレッシャーズと同世代の広瀬さんも、「自分の運命とかタイミングを作品に感じることがあって、その瞬間はとりあえず目の前のことにしがみついていることが多いです。何年か経って『よかったな、私にはこれしかなかったな』と実感する機会が増えていて、きっと神様が『こっちの方が向いてるよ!』って言ってくれてるのだなと思います」とエールを送ると、質問者からも「頑張れそうです!」とリアクションが起きました。

年齢を重ね、モチベーションに変化

最後に「仕事を辞めようと思ったことはあるか?」という核心に迫る質問が。

広瀬さんは「私はこの仕事をしたくてしたというよりも、姉が先にやっていて『なんとなくお姉ちゃんの後ろをついていく』という感覚が強かったので、『いつ辞められるのか?』と考えていました。楽しいのはファッションとかだけで、お仕事をするということに強い思いはありませんでした」と回顧。

それでも「これを辞めても私にはきっと何も残っていないと思ったし、周りから比べられたり負けたりすることが悔しくて。好きよりも悔しいがずっとあったタイプだったので、とりあえず自分が勝つまで、ちょっとでも満足するまで絶対やってやろうと思った。だから気合いの部分があったと思います」と、負けず嫌いな一面をのぞかせました。

松坂さんは「ふとした瞬間に“なぜこれをやっているのか?”という感情が後ろからのしかかってくることも多々あります。若いころは『事務所のために!』というモチベーションだったけれど、最近では視界が近くなってきたというか。現場のスタッフさんの顔の表情や、作品に関わった皆さんの喜ぶ顔を見たときに、理由もなく“やってよかった”と思えてくる」とキャリアを重ねての心境の変化を口にしました。

<作品概要>

映画「流浪の月」は、5月13日(金)に全国公開。

©2022「流浪の月」製作委員会
配給:ギャガ