その日、日本四大ファームの一つとして知られる『幸村・上杉法律事務所』のスタッフたちは、移転したばかりの新オフィスで準備作業に追われていた。
敏腕として知られる同事務所のパートナー弁護士・甲斐正午(織田裕二)は、代表の幸村チカ(鈴木保奈美)にも相談せず、ボストンにいたアソシエイトの鈴木大輔(中島裕翔)を呼び戻していた。
甲斐は、全米進出を夢見ていたミズナ(加藤ミリヤ)率いるアーティストグループ「Bradbury」の代理人弁護士として、米大手の「アトランティス・ミュージック・グループ」との専属マネージメント契約を締結しようとしていた。だが、アトランティス側が直前になって契約内容の変更を求めてきた。アトランティス側の弁護士・岡部(正名僕蔵)は、ミズナの弟が振り込め詐欺グループに加担していたことを報じる週刊誌の早刷りのコピーを見せ、我々がマネージメントするなら責任を持って処理する、と続けた。
甲斐は、一旦ミズナにサインさせたものの、「Bradbury」全米進出の記者会見の席上でいきなりそれを破棄する。実は甲斐は、アトランティス側がこれまでにもスキャンダルを利用する手口で自分たちに有利な契約を結んできたことを掴み、大輔にその証拠を探らせていたのだ。
甲斐とともにオフィスに戻った大輔は、パラリーガルの聖澤真琴(新木優子)と再会を果たす。大輔は、さっそく真琴を食事に誘った。だがそこに、甲斐のライバルでもある蟹江貢(小手伸也)が現れ、邪魔されてしまう。
甲斐は、復帰のリハビリだと言って、大輔にある案件を任せる。それは、来月に合併を控えている大手出版社「柊出版」が、元契約社員の女性・吉野麻帆(玉城ティナ)から小説のアイデアを盗用されたと訴えられた案件だった。
同じ日、甲斐は、クライアントのひとつで、ロケットや航空機の技術開発をしている「フューチャースカイ」の社長・三津谷聡(反町隆史)から呼び出される。そこで三津谷は、新開発したUAシステム――無人航空機制御システムの売却をしたい、と甲斐に告げる。
全米最大の宇宙ロケット開発会社「ザッカード」との業務提携を進めようとしている三津谷は、宇宙事業に一本化する方針を固め、新システムの売却益もそこにつぎ込む予定だという。三津谷は、今後も顧問料を払い続けるかどうかのテストだ、といって最低売却価格を100億円に設定する。
大輔は、出版社を訴えた吉野麻帆がアルバイトをしている書店を訪れる。そこで事情を聞いた大輔は、麻帆に同情してしまい、和解交渉を進めようとする。麻帆は、小説家・綾小路都(友近)の担当編集者だった宮原啓子(西尾まり)に、アイデアのメモを見せていた。その後出版された都の小説は、麻帆のメモの内容と酷似したものだった。
大輔は、啓子にメモの件を尋ねたが、覚えていないという。大輔は、雇用契約の解消後は秘密保持契約を負うという契約書を利用して口封じを図ったのではないか、と指摘し、相手を黙らせたいのなら対価を支払うよう啓子を説得する。
甲斐は、大輔とともに、UAシステムに興味を示して連絡してきた「新日空」の重役・竜崎慎吾(野間口徹)に会いに行く。そこで竜崎は、70億円を提示した。すると甲斐は、この件はなかったことに、と言って引き揚げてしまう。
そんな折、思わぬ出来事が起きる。事務所の共同代表でもある上杉一志の妻が病死したのだ。かつて甲斐とチカは、上杉の弱みを握り、事実上、彼を事務所から追い出していた。
その夜、大輔は真琴と食事に出かける。帰り道、大輔は、真琴に交際を申し込んだ。それに対して真琴は、急すぎるから少し時間がほしい、と返し……。
あくる日、甲斐やチカたちは、上杉夫人の葬儀に出席する。そこで上杉は、今後のことはこれからゆっくり考えてからまた連絡する、と甲斐たちに告げる。
同じころ、大輔は、啓子と麻帆を呼び、和解協議を行っていた。和解内容は、柊出版が麻帆にアイデアの対価を支払うというものだった。ところが麻帆は、いきなり和解を拒否し、都の小説に原案者としてクレジットしてほしいと主張する。大輔から、柊出版が大きな合併を控えているという情報を得たからだった。
葬儀から戻った甲斐は、UAシステム売却に関して、3社と入札交渉を行った。「万里航空」は85億円、「エッフェルエア」は40億円、「国際航空」は80億円を提示した。甲斐は、「国際航空」に対してだけ、世界ナンバー1の「USグランド航空」も入札に参加しているかのように匂わせ、三津谷は価格だけでなく企業イメージなども総合して判断するつもりでいる、と告げた。その一方で、電話をしてきた竜崎とは話そうともせず……。
夕方、甲斐は、上杉の家を訪ねる。上杉の娘・夏美(森七菜)に花束を渡し、挨拶する甲斐。夏美が出かけた後、上杉と対峙した甲斐は、「幸村・上杉法律事務所」へ復帰するつもりなら夏美にも例の件を話さなければならなくなる、と告げる。「戻らない方が良い。そうすれば誰も傷つかない」。甲斐は、上杉にそう言い残して去っていく。
一方、大輔は、都の邸宅を訪れていた。都の作品すべてを暗記していた大輔は、彼女の心をつかむことに成功し、隙をついてパソコンから構想メモのファイルを見つけ出していた。
あくる日、「幸村・上杉法律事務所」に、突然、上杉が姿を見せる。甲斐とチカに会った上杉は、甲斐が訪ねてきたことを持ち出し、そのおかげで事務所にいたころや法廷で手ごわい相手と戦っていたときの感覚を思い出した、とふたりに感謝の言葉を伝える。
チカは、上杉が復帰したら弱みを握ろうとすると考え、大輔を解雇するよう甲斐に告げる。すると甲斐は、大輔を蟹江の下に付かせることにする。甲斐は、大輔を解雇すれば蟹江が怪しむ、とチカに告げ……。
「幸村・上杉法律事務所」にやってきた竜崎は、改めて70億円で買い取りたいと甲斐に告げる。しかも竜崎は、これは交渉ではなく、甲斐たちはこの金額で売ることになる、と強気だった。ほどなく、「フューチャースカイ」に関する悪評が複数のメディアから出回り、「国際航空」から入札を降りるという連絡が入る。すべてフェイクニュースだった。すると竜崎は、三津谷に電話し、評価額を50億円に減額すると伝えてくる。三津谷は、戦略ミスだと甲斐を非難した。
柊出版には、麻帆から2日以内に和解承諾の意思がない場合はマスコミに公表する、という内容証明が届いていた。
有効な手立てが見つからない大輔は、シニアハウスにいる祖母の結衣(田島令子)と再会しても、ため息ばかりついていた。結衣は、ホームの友人たちに大輔の思い出話を始めた。結衣が手作りした手提げバッグを気に入っていた大輔は、荷物が多すぎて入らないのにそのバッグで学校に行くと譲らなかったのだという。その結果、大輔は結衣にそのバッグを持たせて、一緒に登校したらしい。
結衣は、キャパを超えたら手伝ってもらえばいい、と大輔にアドバイスした。そのとき、結衣は、既製品のバッグが高かったから真似て作った、売っていたバッグだって何かの真似だろう、と口にした。その言葉にヒントを得た大輔は、真琴に協力してもらい、膨大な量の書籍を調べ始める。
三津谷は、UAシステムを50億円で「新日空」に売却することにした、と甲斐に告げる。オフィスに戻った甲斐は、大輔たちが見ていた本に何かひっかかりを感じ、特許に関するデータベースを調べ始める。
翌日、大輔は真琴とともに柊出版を訪れる。その席で大輔は、柊出版から出たいくつかの作品を提示し、麻帆とほぼ同じアイデアが用いられていることを指摘。解決金の支払いと、商業レベルに達していれば出版する、とい同意書を見せ、小説家としてデビューしたいのなら苦しくても書くしかない、といって麻帆の説得に成功する。
一方、甲斐は、三津谷がUAシステムで「ザッカード」が取得済みの特許を侵害している可能性に気づき、売却を進めていたことを指摘する。続けて甲斐は、三津谷がこの事実を隠し、高値での売却を迫ったことを非難する。そこで三津谷から助言を求められた甲斐は、「ザッカード」とクロスライセンス契約を結べばいい、と告げる。「ザッカード」側も「フューチャースカイ」が持っている2件の国際特許に興味を持っているから、それを交渉材料にすればいい、というのだ。
部屋を出た甲斐を追いかけた三津谷は、非を認め、これからもあなたの力が必要だ、と告げる。すると甲斐は、隠し事はしない、自分のやり方には口出ししない、そして顧問料の良心価格の見直し、という3つの条件を出し……。
ほどなく、「新日空」の社員が虚偽の情報を拡散させた疑いで逮捕されたといニュースが流れた。甲斐と大輔がオフィスに戻ると、スタッフたちが集まっていた。するとそこには、上杉の姿があり……。