石橋貴明が文化人、ミュージシャン、タレント、アスリートなどジャンルを問わず“話してみたい”ゲストを迎え、焚き火の前でじっくり語り合うフジテレビ『石橋、薪を焚べる』。
4月21日(火)の放送は、プロゴルファーの丸山茂樹が登場した。
「きちんと収束しなければトップクラス選手は全員来ない」
焚き火の前に座った丸山は、まず、新型コロナウイルスの影響を受けているゴルフ界について、延期が決定した東京オリンピックについて言及した。
丸山:これはスポーツ界やばいですよ。こんなこと想像できないですもんね、ウイルス戦争ですもんね、ほとんど。我々の業界だって、完全に無職の状態じゃないですか。
石橋:試合がないんですもんね。
丸山:もう、ゼロです。野球選手みたいに年俸制じゃないんで、僕らは。
石橋:いわゆるトーナメントで賞金を稼がないと生活できない人がいるわけですよね。
丸山:そうなんです。だからそういう人たちは特に苦労しているし、例えば「今」しかない人たちもいると思うんですよ。
石橋:年齢とかで。
丸山:はい。すごくかわいそうだなって思いますよ。今のスポーツ業界は。(今年の)オリンピックなんか全部なくなっちゃったわけじゃないですか。
石橋:実際に来年の7月に本当にやれるのかっていうのは…。
丸山:今、ちょうどアジアから(新型コロナウイルスが)世界に広がっているんで、アジアがものすごく警戒されているし、そういう意味ではどうなんですかね。前回のリオのジカ熱とか治安が悪いとかっていう以上に、みんな警戒しちゃうんじゃないかなっていうのは、僕の一番心配しているところなんです。
石橋:特にゴルフとか、テニスとか、バスケットとかってすっごいビッグネームが来るから。
丸山:そうなんです。
石橋:(新型)コロナ(ウイルス)がひょっとしたらまだいるかもしれない“アジアの島国”に来てくれるかっていう…。
丸山:いや、たぶん、スーパースターたちは来ないでしょうね、そうなると。 我々の業界で言えば、タイガー・ウッズなんかは、あれだけ「東京オリンピックに出たい」って言ってくれてましたけど、もし選ばれたとしても、これがきちんと収束して何か見込みがなければ我々の業界のトップクラスは全員来ないと思います。
石橋に「レギュラーツアーはすぐ勝てる」と話していた渡米前の丸山
実は、丸山がアメリカに挑戦する前年(1999年)に相談を受けていたという石橋。当時30歳になる丸山に「行った方がいいんじゃない」と背中を押したそうだ。
その時に「勝てるのか?」と聞くと「レギュラーツアーは、すぐ勝てますよ」と語っていたと明かし、丸山が「そんなに偉そうなこと言ってました?」と聞き返す一幕も。
その後のアメリカでの活躍や、4大メジャー大会のひとつ「マスターズ」で、一度のミスがトラウマのようになってしまった話など、大舞台での裏話を語った。
今のゴルフ界に「すごく寂しい時代になった」
また、ゴルフ界にタイガー・ウッズ選手が現れて以降、コースがどんどん長く、飛距離を出せる選手に有利な造りになっていることを挙げ「昔はパット・イズ・マネーとか、小技が上手い人がよかったけど、今はドライバーゲームになってしまった」と嘆く。
“背が大きくて飛ばせる人”がアドバンテージになってしまったことを「すごく寂しい時代になったなとは思う」と語り、データ重視の“組み立てられたゴルフ”が主流になったことで、独特のスイングの人もいなくなったと、現在のゴルフ界を分析した。
「タイガーの優勝は、記憶にも記録にも残る」
タイガー・ウッズ選手について「やっぱり別格なの?」と石橋が聞くと、丸山は「別格です」と即答。
丸山:僕が(アメリカに)いた9年間で、50勝してるんです。僕、目の前で50回、彼の優勝見てるんです(笑)。
石橋:(笑)。
丸山:攻めるタイガー、守るタイガー。このバランスは彼以外…この先も現れないですよ、あんな人。
石橋:タイガーの後、出てこない?
丸山:僕はもう出てこないと思いますよ。僕が生きてる中で現れたら、本当にすごいこと。感動すると思います。
一昨年、タイガー選手が長いブランクから復活した時は「グッときた」と石橋と盛り上がり、ほかの選手が優勝してもどんな風にプレーしたかは覚えていないが「タイガーの優勝は、記憶にも記録にも残してくれる」「かっこよすぎる」と話した。
タイガー選手と同じ舞台で戦ってきたことは「自分の財産でもある」と言うが…。
丸山:自分が一生懸命20年近くやって稼いだお金、彼の2~3年分なんです(笑)。
石橋:(笑)。
丸山:僕もワールドランキングも50位以内に10年近くいたわけですよ。まぁまぁ頑張ってた方なんですよ。だから、それまでは「生まれ変わってもゴルファーになりたい」と思ってましたけど、もう嫌ですね。
石橋:(苦笑)。
丸山:あんな人現れて、目の前で見ちゃったら、なんか違うことやりたい(笑)。
そのほか、伊澤利光選手とのペアで 「世界ゴルフ選手権EMCワールドカップ」 (2002年)を優勝した喜びが「個人で優勝したよりもうれしかった」ことや、「ゴルフ人生を奪われた」という「たった1センチの手のケガ」のこと、若手スター選手の育成に力を入れていきたいという今後についても語った。