みなさんが小学生だった時、自分でメイクをしていましたか?
みなさんが小学生だった時、同級生はメイクをしていましたか?
答えはおそらく「いいえ」だと思います。
しかし、令和の今ではメイクを「したことがある」と答えた高学年JSはなんと55%!
過半数を超えました。
小学生の声やトレンドは日々大きく変化しています。
大人がかつて過ごした『小学生時代』を基準に今の女の子たちを理解しようとしても、その姿を正しく捉えることは難しくなっています。
“令和の女子小学生”は何に興味があるのか?そして“令和の女子小学生”からどうやって情報を集めているのか?昭和から令和にわたり女子小学生向けの媒体として第一線を走り続けている雑誌『ちゃお』と雑誌『ぷっちぐみ』の編集長のお二人に聞いてきました。
今の小学生の声やトレンドを集めたいみなさまに、そのノウハウを余すところなくお伝えいたします!
実際のアンケート内容
――今日はよろしくお願いします!まずは簡単な自己紹介からお願いできますか?
稲垣:『ぷっちぐみ』編集長、稲垣です。私は2002年に入社し、最初は少女漫画ではないセクションにいましたが、異動で『ちゅちゅ』という漫画誌に配属され、その後2023年に『ぷっちぐみ』にやってきました。その前は、『ちゃお』編集部に長くいたんですよ。
萩原:『ちゃお』編集長、萩原です。1994年に小学館に入社して少女コミックに配属になり、そこから30年以上、少女漫画誌一筋でやってきました。『ちゃお』の編集長になったのは2022年です。
――ありがとうございます。あらためて、両編集長から『ぷっちぐみ』『ちゃお』の2誌についてもご紹介いただけますか?
稲垣:『ぷっちぐみ』は小1~小3と低学年の女の子向けの雑誌で、2006年に創刊しました。創刊のきっかけは、約20年前に流行っていた「オシャレ魔女ラブandベリー」のファンブックで、当時から今も低学年を中心に読んでいただいています。基本的にはキャラクターものの記事がメインなのですが、オリジナルまんがも掲載しています。
萩原:『ぷっちぐみ』を卒業した小3くらいから小6までの高学年の女の子に向けた少女まんが雑誌が『ちゃお』です。少女まんが誌では20年以上連続実売部数No.1をキープしています。1977年に創刊した当時はほぼまんがのみの掲載でした。今はJSが関心のある「ひみつのアイプリ」や「星のカービィ」といったIPやメイク、レシピ、VTuber情報などもふんだんに取り入れた「まんがを中心としたエンタメ雑誌」となっています。
今の女子小学生の声やトレンドの集め方&分析のノウハウとは?
――2誌ともハガキ式の読者アンケートを導入されていますが、まずはアンケートの目的、ハガキアンケートである理由について伺いたいです。
萩原:まず「人気作品」のアンケートを取っています。連載継続の判断や表紙や巻頭カラー作品を決める材料としています。女子小学生に焦点を当てた雑誌作りを行っているため、JSに流行っているものを聞き多くの生の声を集めています。
実際のアンケートハガキ
今もハガキアンケートを続けているのは、真剣に書いてくれる手書きの回答が魅力的だからです。鉛筆で本当に熱心に書いてくれます。最後にある「メッセージを書いてね」の欄には、先生へのメッセージだけではなく、編集部や編集長に向けた熱い「これが好き!」というメッセージを書いてくれるんですよ。これが本当に作家さんたちや私たちの励みになっています。
稲垣:『ぷっちぐみ』もほぼ同じなのですが、読者向けのアンケートに加え、保護者の方向けのアンケートも用意しているところが特徴です。「どの記事がおもしろかったですか」という質問への回答が、保護者の方と読者の子どもたちとで違っていることが結構多く、おもしろいなと思っています。
「オシャレ魔女ラブandベリー」のカードを付録に付けたときは、読者の子どもたちより、リアル世代だったお母さん方の反響が大きく、保護者側のアンケートで上位に食い込みました。「親子で楽しみました」というご感想もいただき、うれしかったです。あくまでも読者向けの雑誌作りを行っていますが、親子で見てもらいたい雑誌でもあるので、保護者の方のご意見も参考にさせていただいているんですよ。アンケートを書き慣れていない子も多い年頃なので、お母さんと一緒に書いてきてくれる子も多いですね。
ハガキにつづられる手書きのメッセージ
――そもそもの話になりますが、今の時代にもハガキに手書きで送ってきてくれる子がちゃんといるんですね。
萩原:『ちゃお』は今もお手紙を送ってきてくれる子が多いです。お友達との手紙交換もしていて、今の小学生女子たちも「書いて伝える」が大好き。まんがの感想ももちろん書いてくれるのですが、感想だけでなく自分が今好きなものを熱く書いてくれます!
――かわいらしいですね。アンケートの確認、集計はどのようにされているんですか?
稲垣:集計は専門会社さんにお願いしています。ハガキ・インターネットとアンケートすべての結果を集計してもらっています。
萩原:『ちゃお』は、アンケートの確認を月3回行います。まずは毎月3日に発売後、1週間以内に「速報」として、最初に送ってきてくれた500名のアンケートを見る1回目。すぐにアンケートを出してくれる熱心な層の子たちが好きなものが何で、どういうまんがに感激して、どういうものがほしいのかをチェックするんです。その後、20日ぐらいに全員分のアンケート集計結果を見て、全体だとどういう結果になるのかを見ます。そこからさらに、「初めて『ちゃお』を買った子たち」だけに絞った集計結果も見る3回目。初読者の子たちが何に惹かれて買って、どういうマンガが好きなのかを見ています。
アンケートに寄せてくれたメッセージは編集部みんなで見るようにしています。ハガキをデコレーションしてくれる子がいたりなんかして、見ていて本当にかわいいなと思いますし、元気をもらえるんです。ただのデータではなく、彼女たちの熱量を感じられるのが手書きの良さですね。
編集部に届く手書きのイラストたち
――アンケート以外の読者との接点はあるのでしょうか。
萩原:99年から読者向けのリアルイベントを行っています。イベントには女子小学生に自社商品をご紹介したいというメーカーさんたちが多く協賛いただいています。
稲垣:モニター会という、読者を招く会も行っています。「『ぷっちぐみを読んでいないお友達も連れてきてね」と言っていまして、読者ではない子たちの話も聞くようにしているんですが、すごく役に立ちます。
萩原:私も『ぷっちぐみ』のモニター会に参加させてもらったことがあるんですが、かなりの盛り上がりでした。『ちゃお』のモニター会もものすごくもりあがります。では誌面で募集し、編集部を見てもらう機会を設けているんですが、みんな自慢のカバンにキャラクターグッズやお気に入りの単行本を詰めてきてくれるんです。カバンの中身を見せてもらったり、スマホにどのアプリを入れているのかを見せてもらったりしています。
あとは化粧ポーチですね。本当にメイクに興味を持っている子たちが多くて、小3の子の化粧ポーチのほうが私のものより充実していました(笑)。ダンスをやっていてメイクをする機会がある子が多いこともあってか、「自分でやったの?」と驚くほどメイクが上手な子が多いんですよ。
ちゃお サマーツアー&フェスティバル 2019
アンケートで集まるリアルな女子小学生の声を活かしたい!「JS研究所」とは何か?
――そんなアンケートを活用しているのが「JS研究所」ですが、そもそもどういった経緯で誕生したものなんでしょうか。
萩原:『ぷっちぐみ』の前々編集長の「女子小学生の声がこれだけ集まるところは他にないんじゃないか。アンケートをただ集めるのではなく、女子小学生のリアルな考えを発信していこう」という発案がきっかけでした。
――JS研究所が立ち上がったことで、アンケートの聞き方に変化はあったんでしょうか。
萩原:はじめは「どういう聞き方をすれば回答しやすいだろう」と考えながら、答えやすい質問から子どもたちの反応を聞いていった感じですね。
大人の思い込みが邪魔をしてしまうことがあるため、思い込みを外すことも意識しています。たとえば、最近「ストレスがありますか」という質問をしたことがあったのですが、「子どもにはそんなにストレスなんかないだろう」という思い込みが私自身にあったんですよ。結果、めちゃくちゃストレスを抱えている子たちが多いとわかり、涙が出ました。人間関係に悩んでいる子が多かったですね。
このように思い込みを痛感することもありますが、小学生向け雑誌に携わっているだけあって、自分の「小学生の頃」を思い出せる編集部員が多いとは思います。アンケート作成担当者は、自分の「小学生の頃」を思い出しながら、人を好きになること、流行、好きなYouTuberやVTuber、なりたい顔、お兄ちゃんになってほしい有名人など、ユニークな質問を盛り込んでくれています。
※実際のプレスリリースとして発表した内容はこちら▼
――アンケートの集め方や編集部の体制に変化や工夫はあったのでしょうか。
萩原:先ほどお話した「聞き方」以外でいくと、アンケート結果の出し方が変わったところですね。『ちゃお』では、これまでビッグアンケートという70問ほどあるアンケートの結果発表を誌面で行ってきました。この発表ページの人気が高くイベントでも発表することにしました!
「発表を見に来る子はそんなにいないのでは」と思っていたんですが、他の子がどう思っているのか興味津々という様子で、数多くのJSが真剣に回答を読んでいました。
子どもたちの関心の高さがあらためてわかったため、JS研究所発足後はアンケート結果のリリースを出すだけではなく、子どもたち向けにまんがにして発表するなど、発表方法も工夫するようになりました。
イベントでのJS研究所ブースの様子
コミカライズして発表したJS研究所
――当初は「当たり障りのないところ」から聞いていったというお話でしたが、ここ最近では「フェムケア」「お肌の悩み」「メイク」など、少し聞きづらいのではないかと思うようなことも聞かれていますね。
稲垣:そうなんです。『ぷっちぐみ』の読者はまだ恋愛に目覚めていない子たちもいるのですが、メイクや肌についてはもう興味関心があるんだなと感じています。
萩原:こういった質問こそ欠かせないものであり、JS研究所だからこそ聞けるものだと思っています。今はいろいろな情報に小学生が触れる時代なので、彼女たちに安心で安全な情報を出したいんですよね。そのため、まずは彼女たちが何に悩んでいるのかを聞きたいと思っているんです。
稲垣:ちゃんと回答が返ってきますよね。
萩原:そうですね。小学生から「肌に潤いがない」とか「乾燥している」といった悩みがきてびっくりしたこともあります。あとはムダ毛や日焼けですね。「日焼け止めを塗りたいけど、べたべたするのが嫌」だという率直な意見が出てきたこともあります。きちんと聞けばきちんと返ってくるため、ストレートに聞くように心がけていますね。
※実際のプレスリリースとして発表した内容はこちら▼
「JS研究所」から生まれる新たな企画には読者からも企業からも大きな反響が!
――これまでに反響のあったものはなんでしょうか。
稲垣:アンケート結果を活かして企画したカプセルトイの企画ですね。読者の子たちが「好きだ」と答えたものなだけあって、かなりの反響がありました。
萩原:私は好きなYouTuber、VTuber、なりたい顔、お兄ちゃんにしたい有名人など、大いに盛り上がったアンケートが印象に残っていますね。アンケートを見ていると、今の子たちは推し活がしたくてたまらないんだなと思います。「推しに会いたい」という回答も多いですし、みんなは誰が推しなのかを気にしている感じもありますね。おもしろいのが、「推し活をしたい」が先行していて、まだ推しが決まっていない子も多いんですよ(笑)。
今は「この人が一強」というよりは、いろいろな方が人気で、アンケート結果を踏まえて、誌面に出ていただけないか打診したりもしています。
萩原:大人が思っている「この人が人気だろう」という想像とは違うことも多いんですよね。JS研究所を立ち上げたことで、企業さんと組んでアンケートを行い、その結果を踏まえて小学生のリアルな意見に寄り添った内容を広告として出稿いただくといったケースも出てきました。
――たとえば、どんな取り組みがありましたか?
萩原:ムダ毛関係や洗顔、クレンジングなどですね。企業さんとしても、子どもたちに正しい情報を啓蒙したいという想いがあるのだと感じます。例えば、眼科を受診せずにコンタクトを使ってしまう危険性など、安全に関わる大切な情報も伝えられます。アンケート調査で小学生たちの本音を知ることで、今後の商品開発の参考にしたり、商品の魅力を子どもたちが読みたくなる誌面で楽しく伝えられる、といったメリットがあるのかなと思います。
また、子ども向けの雑誌に広告を出すことは、その商品が子どもにも使えるものだと伝えることにもつながります。ムダ毛やメイク関係は、お母さん世代では「小学生にはまだ早い」と言われていたことが、今の小学生にとっては当たり前だったりするので、そのことを誌面のマンガや広告などの情報を通じて保護者の方に伝え、意識を変えていく手助けもできるのかなと。
あらゆる子どもの身の回りのことに関わる企業さんに、子どもたちの「初めて」に安全で良質なものを、きちんとした情報で伝えられる手段として、JS研究所のアンケート調査やタイアップ企画をご検討いただけたらうれしいです。
※鈴木ハーブ研究所様との取り組み例:アンケート調査
――美容コスメの領域では、昨年までの「ガールズコミックフェス」でのブース展開、「ちゃお美的」でのJS研究所の読者の声の活用がされていますが、美容情報関連の発信への反響はいかがですか?
萩原:反響はとてもあります。「ちゃお美的」は、私が『ちゃお』にきて1年くらいのタイミングで、「みんなの美的」をテーマにしていた美的の編集長から「(一緒に)ぜひやりたい」と言われて発足したプロジェクトなのですが、正直当初は「私たちに何ができるんだろう」と思っていたんです。
でも、いざ始めてみたら、女の子に興味があるアイドルをキャスティングしてくれたり、小学生にやさしいヘアメイクさんを連れてきてくれてためになるヘアメイクを面白おかしく教えてくれたりと、あれよあれよという間に活動が広がっていきました。社内からも社外からも予想以上の反響がありましたね。保護者の方と一緒に「ちゃお美的」を見てくれている子も多く、イベントに親子で来てくれる方が多いです。
イベントではヘアアレンジショーやメイク塗り絵コーナーも企画
両編集長に聞く!「令和の女子小学生」とはズバリ○○
――両編集長から見て、「令和の女子小学生」にはどんな特徴があると思いますか?
稲垣:『ぷっちぐみ』の読者層は、恋愛にはまだ興味があまりない子もいるなと思いますが、特徴は「かわいいものが好き」な子が多い印象です。『ちゃお』の読者層のほうが「令和」らしさが見られるのかな、いかがですか?
萩原:「人を好きになる」ところは平成も令和も変わらないですね。家族を尊敬している子も多いです。令和の子たちの特徴だなと思うのは、自分をかわいく見せるのがとにかく上手。「写真を撮らせてもらってもいいかな?」とお願いしたときも、とてもかわいく写ってくれます。
そんなかわいらしい面がありつつ、「興味があることは何?」と聞くと「SDGs」と答える一面があったりするのも令和の子ならでは。学校で教わっていることもあり、意識の高い小学生が増えた印象がありますね。また、最近驚いたのは「ChatGPT」。どうやって生成AIを使うのかが学校に話題になっているそうで、いろいろな情報を取り込んで実行しようとしているところは、格段に昔とは異なるところだなと感じています。だからこそ、情報を出す側としての責任も感じますね。吸収力が高い彼女たちに、きちんといい情報を渡していきたいです。
――あらためて、JS研究所の価値について、お二人の考えをお聞きしたいです。
稲垣:読者の生の声を聞きやすい環境を整えてもらえたなと感じています。これからも『ちゃお』と『ぷっちぐみ』の2誌の連動が続けばいいなと思っています。
萩原: 2誌が一緒にやれているから全女子小学生を網羅できると思っています。リアルな女子小学生の声を得られる存在として、JS研究所は日本最大ではないかと自負していますね。
――「こういう業界の方とぜひ取り組みたい」と思われている業界はありますか?
萩原:本当に「さまざまな方とご一緒したい」と思っているのですが、例えば夏の季節であれば子どもたちの熱中症防止の観点から製薬会社さんや、今や所持率が50%ほどになってきているスマホの観点から通信系会社さんなど、「子どもたちに正しく使い方を知ってほしい」というニーズのある企業さんとは、ご一緒できると子どもたちにとっても良い企画になると考えています。
――最後に、今後の展望についてお聞かせください。
稲垣:繰り返しになりますが、『ぷっちぐみ』は「JS研究所」として今後も『ちゃお』と連動してやっていきたいですね。イベントでの展開を含めて、『ちゃお』の妹雑誌だよとアピールしていきたいです。
萩原:『ちゃお』も『ぷっちぐみ』との女の子向け雑誌としての関係性を軸にしつつ、男子小学生との連携もしていきたいと考えております。同じくリアルな声をハガキのアンケートから集めているコロコロコミック研究所と何かできないか考えているところです。あとは、いつかJS研究所の「トレンド大賞」みたいな発信もできたらなと思っています。
――ありがとうございました!
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