プロレスラーとしてライバル関係にある、棚橋弘至さんとオカダ・カズチカさんが、先輩を交え、見事な掛け合いを見せました。

2月20日(日)放送の『ボクらの時代』は、新日本プロレスをけん引する現役プロレスラーの棚橋弘至さん、オカダ・カズチカさん、現在は解説者として活躍中の獣神サンダー・ライガーさんが登場。

それぞれがプロレスラーになったきっかけや、旗揚げ50周年を迎える新日本プロレスのこれまでとこれからなどについて語り合いました。

棚橋&オカダ「こうやって普通にトークする番組は初めて」

棚橋さんは「オカダとはずっと敵対関係というか、ライバル関係にあったので、こうやって普通にトークする番組は初めて」と言い、鼎談がスタート。

棚橋:僕が入門したのが1999年。2000年代からテレビ中継もあって、総合格闘技の人気が出てきて…それと同時にプロレス人気がちょっと下火になっていくわけなんですけど。

でも、僕はプロレスが好きでプロレスラーになって、プロレスを見て勇気とかももらったので、プロレスの良さをなんとか伝えようっていうので、ずっとやってましたね。

ライガー:僕、見てて思うのは、昔は練習して試合しときゃ良かったんですよ。今、それじゃ駄目なのね。いろんなところに顔を出したりとかして、マスコミに対しての接し方とか、みんな大変じゃん、やることがいっぱいあるなと思って。

棚橋:そうですね。プロレスを知らない人たちに、いかに届けていくか、ほかのメディアに出ていくかっていうところには、どうしてもビジュアルの良さが必要だったので、僕が最適だったんですね(笑)。

ライガー:え?ごめん。ちょっと聞こえなかった。

棚橋:たまたま、僕のビジュアルが良かったんで(笑)。

ライガー:はぁ。

棚橋:新日本プロレスの回復のタイミングとバッチリ合っちゃったんですけど。

ライガー:ビジュアルが良かったんだ…もういい(笑)?

棚橋:そしたら、(オカダは)もっとビジュアルが良かった。背も高くて(笑)。

オカダ:いえいえ。

棚橋:で、2006年ですかね、僕初めてチャンピオン(IWGPヘビー級王座)になって、少しずつプロモーションやって、新日本プロレスがだんだん盛り上がってきて、2011年に連続防衛を決めて、「さあ、まだ走ろうか」ってときに(オカダ選手が)凱旋帰国してきて。

オカダ:(申し訳なさそうに、うなずく)

ライガー:あはははは!

すい星のごとく現れたオカダ選手が、当時連続11防衛をしていた棚橋選手を倒し「新しい新日本プロレスの顔になった」と振り返りました。

人気低迷の新日本プロレスを立て直したのは…?

ライガーさんは、オカダさんに「もともとは新日本プロレスの入門テスト受けて…じゃないですよね?」と尋ねます。

オカダ:はい、僕は違いますね。それこそ最初は新日本プロレス見ていたんですけれども、やっぱり面白くなかったんですよね。

ライガー:あ、新日本プロレスが?

オカダ:新日本プロレスが、ですね。

ライガー:正直だ。

オカダ:なんでかっていうと、(新日本プロレスが)格闘技のほうにいっていたんですよね。

棚橋:その時代か。

オカダ:その時代だったので。僕は、プロレスが見たかったのに、総合格闘技もはやってて、新日本プロレスのリングでも格闘技やっていて。「いや、プロレス見たいんだよな」っていうふうになってしまったので。

なので、そこの辺からもう新日本プロレス見なくなってですね。で、闘龍門(※)を見始めて、そこからもう闘龍門入って、メキシコ行って、みたいな感じにはなりましたね。

(※)ウルティモ・ドラゴンがメキシコに設立したプロレスラー養成学校

ライガー:でも、高校卒業してからじゃないよね。

オカダ:僕、中学です。

中学を卒業し、「高校に行ってほしい」と言う母親を説得してプロレスラーになるためメキシコへ向かったオカダさん。

ここで、「新日本プロレスに入れたきっかけは、ライガーさん」と、メキシコ時代の話を持ちだしますが…。

ライガー:何で?

オカダ:(苦笑)。ライガーさんがメキシコに来られて。僕の師匠のウルティモさんと話されて…。

ライガー:うん…。

棚橋:ライガーさん、そうですよ。ライガーさんとウルティモさんのラインで闘龍門とつながって。

ライガー:…ああ、背が高かったからね。

棚橋:そうです。

ライガー:うちに…。

オカダ:「おいでよ」って言ってもらえて、入れたわけじゃないですか。

棚橋:ということは、新日本プロレスを立て直したのは、ライガーさんってことに。

オカダ:いや、違います。僕です、僕です(笑)。

棚橋:でも、オカダを引っ張ってきたライガーさんってことになるじゃない?

オカダ:いや、でもライガーさんに引っ張ってこられなくても、いろんな活躍して、結果的に新日本プロレスに来てたと思うので。

棚橋:ああ、結果的に。

ライガー:なんだ、おい!じゃあ、俺の名前出すなよ(笑)。

3人は、見事な掛け合いを見せました。

藤波辰爾の肉体に憧れてプロレスラーに

ライガーさんも、「レスラーになりたくて。でも、身長が低いから日本じゃ無理だって。じゃあ、メキシコ行っちゃえって」と、高校卒業後にメキシコに渡った経緯を語ります。

棚橋:「プロレスラーになりたい」ってなったときに、メキシコに行くっていうのがひとつ(の方法)だったんですね。

ライガー:そうそう。

オカダ:ライガーさん、誰に憧れたんですか?

ライガー:藤波(辰爾)さんです。

オカダ:ああ、藤波さんなんですね。

ライガー:もうバリバリの、ビッシビシで。その当時、僕は割と、何ていうんだろう。あまり外でキャッキャ遊ぶ方じゃなくて。小学校のときのクラブ活動が、園芸部だからね。

棚橋:あ、インドア派だったんですね。

ライガー:インドア派ですね、どっちかと言うと。もうガリガリだったんです。

棚橋:そうなんですね。

ライガー:はい。で、その自分の体と比べたときに、「かっこいい」と思った。だから、技術がどうのこうので憧れたんじゃなくて、最初はあの肉体に憧れたんですよ。

ライガーが語るアントニオ猪木のすごさ

そんなライガーさんに、オカダさんは「ライガーさんが入門されたときの道場の雰囲気と、今は違いますか?」と質問します。

ライガー:雰囲気?

オカダ:練習も、昔はスクワット何千回やって、「誰が何回できたからすごい」とかっていうような感じだったと思うんですけど、今ってもうそういうのしないじゃないですか。500回やったらおしまい、みたいな。

ライガー:今はもうしないですね。効率良く練習をしていますけど。昔はただ、重い物を挙げりゃいいとか、数ができりゃいいとか。だから、ヒンズースクワット3000回とか。

オカダ:(アントニオ)猪木さんはそういうとき、何もされてなかったんですか。

ライガー:どっちかっていうと、巡業で、試合前に練習するじゃないですか。そういうときにいろいろ指導はしていただきました。猪木さんにはね。

オカダ:猪木さんって…みんなから「会長!」っていう感じじゃないですか。それがすごいなって思うんですけど。(自分は)知らないじゃないですか、猪木さんの世代のことを。なので、何がそんなにすごいのかなって。

ライガー:僕が思うのは、やっぱり猪木さん、アントニオ猪木っていう、一枚看板じゃないですか。それを365日やってたわけだ、猪木さんは。だから、やっぱり「おかげで僕たちは飯食えてます」っていうのがあったんじゃない?猪木さんに対して。

棚橋:そうか。

ライガー:だから、「会長」って。持ち上げるじゃないけど、尊敬できる。教科書であり、先生であり、憧れでもあり。今でもやっぱり僕からの上の人、猪木さんを前にすると直立不動だもんね。「お疲れさまです!」って。

棚橋:いや、僕、「歴史は繰り返す」と言うんで…。猪木さんは、一枚看板だったじゃないですか。で、長州(力)さん、藤波さん、(闘魂)三銃士。複数スター制になってきたんですけど。また一枚看板になるとしたら、彼(オカダ選手)しかいないんじゃないですかね。

ライガー:年齢的にもね。素質的にもね。僕はそう思うよ。

オカダ:ありがとうございます(と、座り直す)。

ライガー:ふんぞり返りやがった、こいつ。

一同:(笑)。

コロナ禍の無観客、無声援試合での戸惑いと発見

ライガーさんは、コロナ禍で無観客や、無声援試合が行われていることについて質問。

ライガー:実際に、リングに上がってる2人は、そういう中で試合をするということに何かあります?

棚橋:僕は、やっぱり最初は戸惑いましたね。試合の中で苦しい状況があっても、お客さんの「ワーッ」とか、選手のコールが起きると、不思議と息が続くっていうようなことがあったりとか。

ライガー:そうそうそうそう。

棚橋:自分たちの限界を超えさせてくれるのが、ファンの声援っていう経験が何度もあって。「このブーストがない状態で、俺は試合ができるのかな」という不安はありましたね。

オカダ:やっぱり、無観客はきつかったですね。

ライガー:あ、無観客の。

オカダ:今も歓声が出せない状態ですけど、やっぱり見てもらえるじゃないですか。応援してる目だけでなんかやっぱり伝わってくるので、それは良かったなと。拍手もそうですし、「見られている」というのは、やっぱりすごいパワーもらえるなっていうのは思います。

棚橋:この間、東京ドームのメインのあとに、「歓声もやっぱりあったほうがいいかな」っていうようなマイク(パフォーマンスを)してたけどさ。あれはね、グッときたよ。

オカダ:あ、本当ですか。

棚橋:所属選手が、やっぱり思っていてもなかなか言う機会もないし、言わなくてもいいことなんだけど、それをやっぱり、新日本の顔、代表として、「今は選手がこういう気持ちで無歓声の中でやってますけども、また近い将来、歓声がある中で、みんなとプロレスを楽しんでいける空間を作りたいな」っていうようなところまでね。見てるんだなっていうのをファンに示したので。

ライガー:頼もしいね。

オカダ:プロレスの良さ、僕たちはもう当たり前のように知ってると思うんですけども、知らない方、プロレスといえば「痛い」「怖い」っていうイメージの方もたくさんいると思いますし。そういうイメージを変えたくて僕もいろんなこと、「常にかっこよくいなきゃいけない」とか、そういうことも考えてやってきたので。

棚橋:(オカダさんは)フェラーリ乗ってますからね。

ライガー:フェラーリだからね。

棚橋:いや、だからオカダのすごいところは、やっぱりプロ野球選手だったりとか、サッカー選手とかっていう一流アスリートのレベルにプロレスラーも持っていこう、持っていこうっていうのはね、僕はすごく感じるんですよね。

ライガー:え、でもそれ、棚橋もでしょう?そうでしょう?

棚橋:僕も、そのつもりでやってますけどね(笑)。

「リングに上がったら狙っていく」チャンピオンに宣戦布告

最後に、現役選手の2人に「これから」について聞くと…。

ライガー:これから先の新日本プロレス。これからどういうふうに立ちまわっていこうと思っていますか?

棚橋:今(オカダ選手が)チャンピオンですから。番組では、和気あいあいと話せはしましたけども、リングに上がったら僕は追っかける立場で、狙っていきますので。

ライガー:これは、宣戦布告だよね。

棚橋:はい。

オカダ:本当に、まだまだ盛り上げていきたいと思ってますね…盛り上げていきます!

ライガーさんが「2人とも、まだまだ5年、10年、頑張って新日本プロレスを盛り上げていってほしい」と語り、鼎談を締めくくりました。

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