心にトキメキと潤いを与えてくれるような、編集部おすすめの男性を紹介する「眼福♡男子」Vol.83は植田圭輔(うえだ・けいすけ)が登場。
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2006年「第19回 ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」のファイナリストとなり、芸能界デビュー。舞台を中心に活躍しているほか、2018年にはアーティストデビューもはたし、幅広く活動を行っている。
そんな植田が舞台「ヴァニタスの手記(カルテ)」に主演。19世紀のフランス・パリの街を舞台に描かれる、人間と吸血鬼(ヴァンピール)をめぐる物語で、吸血鬼に呪いを振りまく魔導書「ヴァニタスの書」を持つ自称・吸血鬼の専門医、ヴァニタスに扮する。
「ヴァニタスの書」を使って吸血鬼を治療する場面が大きな見せ場
――今回の舞台の原作は、アニメ化もされている人気コミックですが、どんなところに魅力を感じましたか?
この作品はパリを舞台としたストーリーで、実在する場所も登場するのですが、もしかしたら、吸血鬼が実際に存在するのではないかと錯覚させられるぐらい、丁寧に描かれている情景に惹かれました。
そして、そんな吸血鬼たちにもどこか人間っぽい部分があり、吸血鬼として生まれたがゆえの悲しさ、友を思う気持ち、過去とのしがらみがしっかりと描かれているところが魅力的だと思いました。
――出演が決まってから稽古に入るまで、どのような準備をしたのでしょうか?
まずはコミックをすべて読み、お話をいただいた直後にアニメのテレビ放送がスタートしたので、そちらも全話チェックすることから始めました。アニメではヴァニタスの声を担当されているのが花江夏樹さんということもあって、よりメリハリのあるキャラクターになっているなと感じましたね。
「この役を僕が演じるのか」とプレッシャーを感じる一方、花江さんと違って僕は声が低いので、自分にしかできない役への寄り添い方、役柄の構築の仕方になっていくのだろうなぁという予感を楽しんでいました。
――出演が発表になったとき、「舞台ならではの表現方法でお魅せしたい」とコメントしていましたが、具体的にどのような表現になりそうですか?
一番の見せ場となるのは、ヴァニタスが“ヴァニタスの書”を使って、呪持ちの吸血鬼たちを治療するシーンになるのではないかなと。照明や音楽など、舞台でしか表現できない部分があると思いますので、残りの稽古期間で突きつめていって、本番では胸を張ってお客様の前で演じたいです。
かみ合っているようでかみ合っていない、ヴァニタスとノエの関係性をきちんと表現したい
――演じるヴァニタスの印象を聞かせてください。
ころころと表情がよく変わる人で、きっといつも声が大きいのだろうなという印象を受けました。ノエ(菊池修司)という吸血鬼と出会い、奇しくもバディのような間柄になっていくのですが、ヴァニタスが「呪持ちの治療のために手を貸せ」と言っていることに対し、ノエは「俺が手伝うんじゃなくて、あんたが俺を手伝うんですよ」と反論するなど、かみ合っているようでかみ合っていない。
だけど、図らずしてそれぞれのトラウマに手を差し伸べるようになり、互いを必要とする存在になっていく。人間らしい弱さを持ち合わせているキャラクターで演じがいがあります。
――ビジュアル情報が解禁になったとき、原作から飛び出してきたような完成度の高さが評判になりましたね。
これは衣装さんとメイクさんのこだわりの成果だと思うのですが、マントの襟にワイヤーを仕込んで、立体感を出していて、ディテールが素晴らしいなと感じました。メイクは僕自身もアイラインの角度やアイシャドウの色味など、「こっちのほうが役に近いと思います」と積極的に意見を出したので、原作ファンの皆さんからもいい反応をいただけたことがうれしかったです。
――ヴァニタスを演じるうえで特に意識したいのはどのような部分ですか?
「俺の名はヴァニタス」と名乗るシーンが多く登場するので、そこは強く印象に残るよう、しっかりと表現したいですね。吸血鬼専門の医者といっても、あくまでも“自称”で、吸血鬼たちからは「本当か?」と疑惑の目を向けられるので、治療のシーンは特に説得力をもって演じたいです。
――ヴァニタスを演じるにあたって、「首と鎖骨が大事」とも話していましたね。
吸血シーンは見どころの一つだと思いますので、ムチムチしているよりは色っぽいほうがいいのだろうなと。「(首元が)キレイだね」と言われることもあって、だから、キャスティングされたわけではないと思うのですが(笑)、(噛みつく)相手に不快感を与えないように準備したいと思います。
――何か特別なケアはしていますか?
していませんよ(笑)。乾燥しないように心がけるぐらいです。
――ノエ役の菊池さんが、植田さんのことを「憧れの大先輩との共演」と発言していますが…。
大きく言い過ぎです(笑)。でも、そう言ってもらえるのはうれしいので、彼が思い描いている理想像のままでいることも、大切な仕事だと思っています。修司といろいろ話したのですが、深い話をしなくても目指す方向が同じだったので、作品を自分が引っ張っていくというより、2人で引っ張っていけるような間柄でいたいです。
――菊池さんはどのような俳優さんですか?
背が高く、美形なのでクールに見られがちですが、犬っぽい性格というか、人の懐に入るのが上手い印象です(笑)。いつも一生懸命で、まわりから愛されるプレイヤーだと思います。
――以前、このコーナーに菊池さんが登場した際、スイーツ好きだと話していました。
多分、食べることが好きなんだと思います。昨日も真面目に芝居の話をした後に、「ちょっといいですか?あそこにすごくおいしそうな喫茶店があって…」と唐突に話しかけられて、困ってしまいました(笑)。寡黙に見えるタイプですが、実は柔軟な人です。
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――作品のタイトルにちなんで、“植田圭輔のカルテ”について聞かせてください。今、自身を占めているものはありますか?
めちゃくちゃ温かい毛布に体を支配されています。これがないと眠れないくらい、手放せないものです。喉のことを考えると暖房をつけた状態で寝たくはないので、冬はこの毛布がないとダメですね。
稽古期間が重なっていても、カートリッジの整理整頓ができているから混乱することはない
――昨年の後半は1本の作品が終わったら数日を空けて別の作品に出演するなど、特に多忙を極めていましたが、混乱することはありませんでしたか?
11、12月は今、振り返ってみてもヤバかったですね。でも、僕は切り替えが人より上手いというか、自分のキャパシティの中にあるカートリッジの整理整頓がきちんとできているんです。「覚えるノート」「やるノート」というものがしっかり分かれているから、仕事のスケジュールが重なっていても、自分の中ではスムーズに循環している感覚なので、精神面の健康状態は良好なんだと思います。
――改めて、2021年はどのような年でしたか?
2021年1月に自分の生配信番組で「植田圭輔を応援してくださっている方にとって今年は楽しくて仕方がない1年になります!」というキャッチフレーズをお伝えしていたのですが、自分自身にとっては激動の1年でした。でも、振り返ってみると真っ先に出てくるのは「楽しかった、やってよかった」という感情なので、充実した年だったと素直に思います。
――走り続ける原動力になっているものは何でしょう?
無理をする瞬間があることも確かで、気合いを入れなきゃいけないときとか「何でなんだろう…?」とふと考えるんですけど、おそらく、舞台の上で芝居をしている時間が一番好きなんです。セリフを覚えることはあまり好きではありませんが(苦笑)、好きな芝居をするためにセリフを覚え、楽しみに来てくださる方のためにも一生懸命演じたい。舞台が自分というものを最も証明できる場所だと感じているので、頑張ることができているのだと思います。
演者ごとに適した意図の伝え方ができるのは、両方の立場を経験している僕ならではの強み
――もし、数日間の休みができたら何をして過ごしますか?
まだ寒いですし、今は海外にも行けませんしね。24時間、布団の中にいるということを一度やってみたいです。とても無駄な時間だと思うのですが、僕にとっては大事な時間。布団の中にいて何もしない、外出もしない、食事も寝転がったままというような、堕落しきった生活をしてみたいです。
――コーナー名にちなんで、植田さんの眼福な存在を聞かせてください。
自分の車です。現在の愛車は2、3年乗っています。車好きだった親が思いを込め、車へんの“輔”を含んだ名を僕につけてくれたと聞いたことがあるので、そういう意味では親孝行できていると思います。当時は「そうなんだ」としか感じていなかったのですが、自分が車を運転するようになってから、親と同じく車好きなんだと気づきました。
――そして、可愛らしい愛犬の写真も公開してくれました。
実家で飼っているあんずちゃんです。これは年明け、散歩に行くときに車に乗せられて窓の外を見ているところなのですが、お尻がめっちゃ可愛くて。この子を飼い始めてから家族のグループLINEが活発に動いているので、あんずちゃんには感謝しています。
――今年、挑戦したいことはありますか?
今年は、以前から目標として掲げていた舞台の演出に挑戦することが決まっているので、なじみがある場所や世界を違った角度、俯瞰で見なければいけないと考えています。
演出の勉強をする方法はあまりないと思うのですが、自分が演出をすることはかなり前から決まっていたので、いろいろな演出家さんとお仕事をさせていただくたびに観察したり、役者が帰った後の稽古場では何をしているのか話を聞いたりなど、密かな準備をしてきました。秋ごろには詳細を発表できるので、来たるときのためにきちんと備えておきたいです。
――役者として参加するときと違い、“生みの苦しみ”もあるかと思います。
それは絶対にありますね。稽古期間を経て、劇場に入ってから照明やセットを見て「こうなっていたんだ、すごい!」と驚くことが多々あるのですが、今度はそういうことが最初から見えていないといけない立場になるので、これまでお世話になった演出家さんたちへのリスペクトも込めて、自分らしくやれたらと思います。
――その一方で、演者の気持ちもわかるというメリットもありますね。
そうですね。だからこそ、そっちに全振りしてもいいのかなと思います。カンパニーの一人として稽古をしているときも、演出家から指示されたことや役柄を理解できずに悩む場合もありますし、そういう壁にぶつかっている役者を見ることもよくあります。そんなときに手を差し伸べる方法、その人に適した演出意図の伝え方ができるのは、両方の立場を経験している人ならではだと思うので、試してみたいと考えています。演出家・植田圭輔の誕生にご期待ください。
最新情報は、舞台「ヴァニタスの手記」公式サイトまで。
撮影:河井彩美
©望月淳/SQUARE ENIX・「ヴァニタスの手記」製作委員会
©舞台「ヴァニタスの手記」製作委員会