全編ほぼリモートで撮影された映画「8日で死んだ怪獣の12日の物語」。その公開直前イベントが7月28日(火)に行われ、斎藤工、のん、武井壮、穂志もえか、樋口真嗣、岩井俊二監督が登壇した。

本作は、コロナ禍でも最新のエンターテインメントを届けたいとの思いから、岩井監督、斎藤、武井、樋口がタッグを組み、YouTubeで配信した同名作品の劇場版。主人公のサトウタクミ(斎藤)が通販サイトで買ったコロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を育てる姿を描く。

マスク姿で登場したキャストと監督は、壇上でマスクを外して、トークがスタート。まず斎藤は「コロナ禍がなかったら実際にこのメンバーで作品を作ることもなかった。ネット版から劇場版まで大きく育っていって、映画ファンの方々に届くことが心からうれしいです」と、大変な時期の中でも新しい作品が生まれ、公開されることに喜びのコメントを。

穂志は、「(コロナ禍で)私とは何だろうというところまで(気分が)落ちていた。その時に作品のお話をいただいて、“穂志もえか”を取り戻せたと思っています」と、この作品に携わることで気持ち救われたという。

普段は、映画監督として活動している樋口は、「僕だけセリフがなくて。『怪獣について説明してください』とかしか書かれていなかったんです」と、裏事情を明かしながら苦笑。その一方で、「シン・ゴジラ」などを監督している樋口らしく、「岩井さんが怪獣映画を撮るとこうなるんだ!」と、うれしそうな表情を見せた。

ほぼリモートで撮影されたという本作。岩井は、「(演出の)指示は自宅からリモートでしました。撮影現場に行かないのは変な感じでした」と、なかなか慣れない撮影方法に戸惑いもあった様子。斎藤も、自宅の一角で撮影をしていたといい、「今、CMなどで映画の映像が流れていますが、そこに自宅の景色が映るのが不思議で…」と、やはり戸惑ったそう。

ここで、画面に映る斎藤の自宅のキレイさが印象的だったのか、のんが「1年中、あんなにキレイなんですか?」と素朴な疑問をぶつけると、「(画面に映る)画角の外に寄せているんです(笑)」と事情を告白し、会場を笑わせた。

劇中、役者同士がビデオ通話をするシーンが中心に描かれているが、実際の撮影では相手の映像を見ることなく、声だけを聞き、カメラに向かって撮影をしていたのだとか。この撮影方法に「斎藤さんの声を頼りに演じていたので…スリルのある撮影でしたね」とのんが語ると、斎藤は「僕は性格がねじ曲がっているので、筋書き通りには…(いかせなかった)。でも、(アドリブで)何を投げても、ものの見事に返ってきて」とのんの演技力に感動していた。

キャスト陣は、イベントの直前に完成した作品を鑑賞したといい、斎藤は「樋口さんが躍動感のある表現をしていて。役者の発想を超えたものがあるなと思った」と、しみじみ感想を。しかし、続けて「でも、作品を見ながら照れ臭そうにしていて、『ざまぁ見ろ』と思いました(笑)。普段、役者が感じている思いを共感してもらえたかなと」と、少しいたずらっぽく笑う場面も。

すると、穂志が深くうなづきながら「セリフがなかったなんて、天才だなと思いました!」とべた褒め。まさかの言葉に樋口は顔を真っ赤にして大照れしていた。

続いて、自粛期間をどう過ごしていたかのトークでも話題の中心は樋口に。仕事のできない時間が多くあり、映画を見ようにも「あの頃はよかったな」などと思い、気が滅入ってしまって見ることができなかったという樋口。結果、料理を始め、最終的にはお菓子作りも始めたという。

のんも「かわいい~」と思わずつぶやくまさかの趣味に会場には笑いが。斎藤からは「先ほど、手作りクッキーもいただきました(笑)」との報告も。樋口は、「喜んでもらいたかった」と照れ笑いを浮かべながら明かし、終始和やかなイベントとなった。

映画「8日で死んだ怪獣の12日の物語」は、7月31日(金)公開。
最新情報は、映画「8日で死んだ怪獣の12日の物語」の公式サイトまで。