フジテレビのスポーツニュース『S-PARK』では、8月2日(日)~30(日)の5週にわたり、日曜S-PARK特別企画として「2020夏 これが、僕らの甲子園。」が放送される。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で「甲子園」がなくなった高校球児たちは、“最後の夏”に何を目指し、何を思うのか?球児たちのリアルに迫るドキュメンタリーとなっている。
取材は「球児たちの思いを伝えたい」と、立候補した若手ディレクターたちが担当。この夏、5つの“知られざる物語”を描く。
また、放送だけにとどまらず、FNNプライムオンライン、フジテレビュー!!が連動し、webでも5回の連載として多角的に記事化していく。
今回は、8月9日(日)放送、第2回「広島県・広陵高等学校」を紹介する。
第1回「三重県・白山高等学校」の記事はこちら
<第2回 広島県・広陵高等学校 8月9日放送>
広島県立広陵高校は、甲子園通算72勝を誇り、プロ野球界にも多くの選手を輩出している高校野球の名門。
今年5月、新型コロナウィルスによる甲子園中止を受けて、各都道府県の高野連は、独自大会を設けることに。夢を失った3年生に与えた、最後の舞台だ。
広陵を率いる中井監督も「オール3年生で行こうと思いました。かわいいからですよね。2年3ヵ月くらい付き合った彼らに頑張ってほしいし、もっと伝えたいことがたくさんあったから」と語る。
これに対し、全国の名門校が選択したのは「3年生にその場を100%与えたい」 「 3年生中心になると思う。1人ひとりが、3年間のいろいろな思いを1球1球に込めて、野球をやってくれれば」「まずは3年生を最優先にして」というものだった。
しかし、その思いを1人の部員の行動が覆すことに。それも、中井監督が気にかける、控えの3年生の言葉で。
中井監督に「1番強いチームで試合をしたい」「先生、ガチで行きましょう!」と願い出たのは、3年生の後藤奨貴(しょうき)君。
この夏の大会前に、後藤君が控え選手に声をかけると「広陵高校は、勝つことが一番。最善のメンバーでいくべき」「強い広陵でありたい」との声で一致したという。
これにより、後藤君ら控え選手は、一軍メンバーが行う練習のサポートに回り、練習試合では審判なども務めることに。
広島大会開幕が迫ったある日のこと。中井監督が指導するのは、将来を期待される1年生のピッチャー。バッター役は、控えの3年生。すると、まさかのデッドボール。しかし、未来の広陵を背負って立つ1年生のため、痛みをこらえ、笑顔を返す。誰もが、自分の役割をまっとうしていった。
全体練習終了後も、ベンチ入りできない控え選手の活動は続く。号令をかけたのは、今年、応援団長を務める後藤君。今年は、普段通りの応援はできないが、応援の伝統も下級生に継承しなければならない。
後藤君は「夏の大会で応援がないからといって、自分たちの代で終わらせてはいけないので、広陵高校が永久に続いていくためにしっかり後輩にも受け継いでいきたいと思います」と、全学年の控え選手たちに広陵高校の応援の伝統を伝えていく。
広陵の選手としての最後の試合に待っていた奇跡とは?
7月4日、そんな彼らに最後の舞台が用意された。控えに回った3年生の引退試合。広陵の選手として、最後の試合となる。
それでも引退試合の出発40分前、後藤君たちはスポンジ片手にグラウンドへ。実はこの日、一軍メンバーは広陵に残って練習試合を行うため、試合ができるよう水抜きに向かったのだ。一軍メンバーへの心を込めた水抜きは、出発5分前まで続けられた。
そして迎えた引退試合。相手は古豪・山陽高校。広陵のユニフォームをかみしめるように、全力で、笑顔で、最後の試合に臨む――。
翌日からは再び、チームとしての戦いが始まる。そして、夏の大会のメンバー発表。後藤君は、裏方として中井監督に背番号を渡した。
そして、いよいよ夏本番。そこにはひとつの奇跡が待っていた――。
2020年夏。一度は夢を奪われた球児たち。それでも彼らは、前を向き人生を歩み続けていく。
担当ディレクター: 藤田真弘
<動画はこちら!>
<「2020夏 これが、僕らの甲子園。」特集ラインナップ>
#1 三重県・白山高等学校「母から教わった全力プレーで恩返し」
亡き母、そして育ててくれた祖父母への恩返しは「甲子園出場」だったのだが…。
#2 広島県・広陵高等学校「超名門校の3年生『決断』と『奇跡』」
実力を重視し自身のメンバー入りを拒否し応援団長に。引退試合で奇跡が起きる。
#3 群馬県・健大高崎高等学校「甲子園は夢舞台から…6年間の集大成」
中学時代からバッテリーを組んできたエースと主将。その6年間の集大成が甲子園交流試合。たった1試合の夢舞台に込められた特別な思いとは!?
#4 神奈川県・立花学園高等学校「独創的な練習『最後の夏』への挑戦」
独創的な練習で甲子園を目指してきたチームが、集大成に何を行うのか。
#5 神奈川県・星槎国際高等学校湘南「野球人生最後の夏『笑える日が来るまで…』」
「両親への恩返し」のため高校で野球を引退。卒業後は就職するため、「野球人生最後の夏に甲子園」と夢を描いていたが…。部のスローガンは「必笑」。最後の夏を笑って終われるか?
<ナレーター紹介>
ナレーション:才川陽妃(さいかわ・はるひ/立命館大学1年)さん
2019年全国高校放送コンテストで朗読部門最優秀賞。今年の「春のセンバツ甲子園」の開会式で司会進行を務める予定だった。
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『S-PARK』球児ドキュメンタリーのナレーターは女子学生!甲子園失うも…語りで応援