『SUITS/スーツ2』第4話完全版
甲斐(織田裕二)のもとに1枚の訴状案が届く。差し出し人は、甲斐とは何かと因縁深い弁護士・富樫文弘(髙嶋政宏)だった。
大輔(中島裕翔)は、ニセ弁護士という秘密を抱えたまま真琴(新木優子)と交際を続けることができず、彼女と別れていた。一方、大輔を“貸してほしい”と上杉(吉田鋼太郎)から指示された蟹江(小手伸也)だったが、見栄を張って大輔は自分の案件を手伝っていると嘘をついてしまう。
辻褄を合わせるために、さっそく甲斐に大輔を借りたいと申し出る蟹江。甲斐は、大輔が真琴との別れから立ち直っていないことを知ると、失恋の傷は仕事で癒せ、と言って蟹江に貸し出すことに。
富樫の呼び出しに応じた甲斐は、「コースタル・モーターズ」訴訟の話を切り出される。それは、コースタルの自動車に乗っていた運転手が事故死した件だった。遺族はボンネットの欠陥を疑っていたが、コースタルと代理人弁護士の甲斐は、欠陥はないと主張し勝訴していた。
ところが、実はコースタルの自動車には欠陥があり、一部関係者がそれを認識していたことを示す社内メモが見つかったと言うのだ。富樫は、コースタルが重大な事実を隠蔽していたとして、損害賠償請求を行うと同時に、それに加担した甲斐も訴える、と言い放つ。
甲斐から報告を受けたチカ(鈴木保奈美)は、上杉がコースタルの神崎社長(伊藤正之)と親交があることに触れ、公になる前に事実確認をするよう甲斐に命じる。
甲斐は、問題の社内メモをファーム内の倉庫に保管してある訴訟資料から探すよう秘書の玉井(中村アン)に指示すると、コースタルの神崎に会いに行く。そこで神崎は、富樫に会ったことや甲斐との間にある因縁に触れると、責任は甲斐にあるとして彼をクビにしてしまう。甲斐は、チカにその件を報告し、大輔にも資料を探すよう命じた。
そのころ大輔と蟹江は、顧客である人気チェーン「ワガママ・イタリアン」と、店の外観や店内のレイアウトから、メニューにいたるまでそっくりな「オキラク・イタリアン」を不正競争防止法で訴えようとしていた。
話し合いの席についた「オキラク・イタリアン」マーケティング担当課長の小里周作(樋渡真司)と、代理人弁護士の吉岡達郎(勝矢)は、自分の会社の社長が「ワガママ・イタリアン」の社長を尊敬していることから生まれた、リスペクトだと主張。
吉岡も、簡単に真似される仕事に価値はあるのか、と挑発。その態度に激高した蟹江は、そっくりにパクったつもりだろうが味も店構えも店員の面構えも天と地の差だ、とつい言ってしまう。それでも蟹江は、すぐに次の手を考え、マスコミへのパイプを利用して世論を味方に付ける作戦に出ようとしていた。
甲斐のもとにやってきた上杉は、新たに顧問契約を結んだ「メジャー生命保険」を一緒にやらないか、と告げる。甲斐の力が必要なのだと言う。甲斐は、他の案件で手いっぱいだとしながらも、検討すると答えた。
夕方、休憩のために外に出た玉井は、仕事を終えて出てきた真琴と食事に行く。そこで玉井は、真琴と大輔が別れたことを切り出し、彼女に自分も利用しているというマッチングアプリを勧める。
深夜、甲斐は、ワインボトルを持って倉庫室の玉井に会いに行く。そこで甲斐は、すべての真相を明かし、もし製品に欠陥があれば自ら遺族に伝えに行く、と玉井に話す。
あくる日、大輔から情報を得た甲斐は、コースタルで品質管理の内部資料を作っていたという大原陽子(滝川ひとみ)に会いに行く。陽子が資料を作っていたのは、事故を起こした車種が精算される前までだったが、ちょうどそのタイミングで雇用契約を切られていた。
陽子が働く生花店を訪れた甲斐は、メモは書かずに口頭で伝えた、と打ち明ける。しかし、対処するという答えをもらったにもかかわらず、すでに生産されていたものについては何の処置もなかったという。その後、事故が起きてしまい、陽子自身もそのことでずっと苦しんでいたのだ。そして陽子が伝えた相手とは、社長の神崎だった。
甲斐が店を出ようとすると、そこに富樫の姿があった。富樫は、隠蔽は確定だと言うと、「君はピンチだ」と甲斐に告げる。
大輔と蟹江は、再び「オキラク・イタリアン」の小里と吉岡に会う。吉岡が持ちかけた和解案を一蹴した蟹江は、有名なニュース番組で「ワガママ・イタリアン」が特集されるタイミングで、「オキラク・イタリアン」への訴訟をマスコミにリークすると言い放つ。
さらに蟹江は、勤続22年でも冷遇されてきた小里の境遇に触れ、彼への同情を口にした。すると小里は、社長の指示で「ワガママ・イタリアン」の業務形態をそのまま真似たことを認め…。
コースタル社の地下駐車場で神崎を待っていた甲斐は、やってきた彼に陽子に会ったことを伝えた。神崎の車のポンネットを何度も叩き、神崎を信じたせいで法廷で被害者の名前を汚したと訴える甲斐。続けて甲斐は、遺族に対して賠償金の支払いと謝罪をするよう告げ、そうしない場合は隠蔽を公表すると言い放つ。
大輔は、蟹江に誘われて泥風呂を楽しんだ後、ファームに戻った。そこで、真琴のオフィスのPCが起動したままになっていることに気づいた大輔は、それを消そうとする。そこに真琴が戻ってきた。彼女のPCに表示されていたのは、例のマッチングアプリだった。
真琴が自己紹介文を書けずにいることを知った大輔は、彼女の魅力をひとつひとつ、語り始める。その言葉に心が揺れ動く真琴。と、その時急に真琴との距離の近さを意識した大輔は、彼女への思いを抑えて部屋を出ていく。
翌朝、上杉は、「オキラク・イタリアン」が破産申し立ての準備を進めていることを大輔と蟹江に伝える。蟹江は、訴えても賠償金を得ることができない、と悔しがっていた。
上杉のオフィスを出た大輔は、蟹江に「オキラク・イタリアン」を買収すれば、ライバル社を潰すと同時に事業も拡大できると提案。蟹江は、上杉の前で、この案件に何週間も関わっているふりをしてくれた大輔への感謝を伝えると、彼の背中を大げさに叩いた。その拍子に、大輔が持っていたファイルが散らばった。蟹江は、一緒にファイルを拾いながら、その中に録音状態にしたボイスレコーダーをこっそり仕込んでいた。
甲斐のオフィスを訪れた大輔は、蟹江のことを伝えた。蟹江は甲斐に憧れている、というのだ。それに対して、「俺たちの隠し事を知ったら、蟹江は上杉につく」と返す甲斐。するとそこに、いきなり富樫が入ってくる。富樫は、神崎から遺族への謝罪と賠償金を支払う旨の報告をもらい、遺族側もそれを受け入れるそうだと甲斐に告げる。だが富樫は、真実を隠蔽し、被害者とその遺族を傷つけた甲斐とは法廷で争うつもりでいた。
ボイスレコーダーを回収した蟹江は、上杉にコースタルの件を話す。上杉は、すぐに甲斐とチカのもとを訪れ、訴えられていることを隠していたふたりを非難すると、狙われているのは「幸村・上杉法律事務所」なのだから自分も一緒に戦う、と宣言する。
同じころ、玉井は、倉庫室で1枚の書類を手に呆然としていた。それは、玉井自身のサインと受領印が記されたコースタルの社内メモだった。