『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第3話完全版

五十嵐唯織(窪田正孝)は、整形外科医の辻村駿太郎(鈴木伸之)が甘春杏(本田翼)を美術館デートに誘ったと知り、動揺していた。唯織の前にやってきた辻村は、杏に思いを伝えたことを明かすと、「僕の方が一歩リードです」と告げる。

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循環器内科長・大森渚(和久井映見)の部屋を訪れた唯織は、杏と一緒に働ける状況がずっと続けばいいと思っていた、とその胸の内を明かす。そんな唯織に渚は、思いを伝えたり、付き合ったりということだけが恋ではない、唯織は唯織のスタイルを貫けばいい、とアドバイスする。

同じころ、軒下吾郎(浜野謙太)は、マッチングアプリで知り合った“絶世の美女”からデートの約束をすっぽかされて荒れていた。

その日、軒下は、右足にギプスをはめた入院患者・荒井和真(萩原利久)のレントゲン検査をする。その際、和真に付き添っていた幼なじみの宮本すみれ(堀田真由)が、軒下のIDを見て声をかけてきた。軒下とのデートをすっぽかした絶世の美女とは、すみれだったのだ。

すみれは、和真がスケートボードの練習中に転倒してケガをしたと聞き、病院まで付き添ったせいでデートに行けなかったことを軒下にわびると、「早くお会いしたいと思っていた」と偶然の出会いを喜ぶ。事情を知り、すっかりご機嫌になる軒下。すみれは、埋め合わせがしたい、と言って軒下をデートに誘った。

軒下が和真の左ひじに生じていたレントゲンに映らない骨折――オカルト骨折に気づいたこともあって、すみれは軒下に好意を抱いた様子。しかし技師長の小野寺俊夫(遠藤憲一)や広瀬裕乃(広瀬アリス)らラジハの面々は、すみれのような女性が軒下を好きになるはずがない、と決めつけ、信じようとはしなかった。

そんな折、唯織は、すみれが和真と別の入院患者を見間違える場面に出くわす。

するとそのとき、近くにいた外来患者の丸井耕吉(温水洋一)が激しくせき込んで倒れた。唯織たちは、ただちに丸井のレントゲン検査を行うが、喫煙歴40年という丸井の右下肺には腫瘤(しゅりゅう)影が見られた。

しかし唯織は、その腫瘤に何か違和感を抱く。杏は、念のため鏑木安富(浅野和之)にも丸井のレントゲン画像を見せる。それに対して鏑木は、画像だけでは判断がつかないとして、精密検査の結果を待つしかないと返す。

その際、鏑木は、渚に隠し子がいるという噂を聞いたことがないか、と杏に尋ねる。杏はひどく驚き、そんな話は聞いたことがない、と返し…。

その日、仕事を終えた軒下は、すみれと待ち合わせてレストランで食事をする。好きな仕事をして、その仕事に誇りを持っている軒下はカッコいい、と褒めるすみれ。

そんな彼女は、小学校の教諭をしているというが、実は別の夢があるという。それは、素敵な男性と結婚する、という夢だという。軒下から、最高の夢だと思う、と褒められたすみれは、「ノキッチさんにそう言ってもらえて、何だかうれしいです」と言って笑顔を見せた。

あくる日、軒下は、給料3ヵ月分の婚約指輪を買ってきた、と言って小野寺たちに自慢する。あまりの気の早さに、あ然とする裕乃たちラジハメンバー。するとそこに、田中福男(八嶋智人)が見知らぬ美女からもらったという差し入れを持ってやってきた。それは、すみれからのものだった。

その様子を見ていた唯織は、軒下と田中に協力を頼み、すみれのもとへと向かった。

IDカードを外し、すみれの前に座る田中と軒下。そこで唯織は、「昨夜デートした男性はどちらですか?」とすみれに尋ねる。すみれは、メモ帳を取り出し何かを確認するが、選んだのは軒下ではなく田中だった。

実はすみれは、脳の顔領域といわれる部分に病変が生じることで人の顔の識別ができなくなる、「相貌失認(失顔症)」という病気の可能性があったのだ。

和真は、人の顔が識別できないことを軒下にも知られて落ち込んでいるすみれに、「ずっとすみれのことが好きだった」と告白。しかし、和真の表情が読み取れないすみれは、励まそうとして言ってくれた冗談だと受け止める。

和真が病室に持った後、すみれのもとへやってきた唯織は、脳の検査をしてみてはどうか、と持ちかける。検査をして治療可能な病気だった場合は、治すことで症状が良くなるかもしれないという唯織。しかしすみれは、もし治療できない病気が原因だった場合は、どんなに努力しても一生人の顔が分からないということなのか、と返し…。

軒下は、肩を落として廊下のソファーに座っていた和真に声をかける。「俺、フラれちゃいました」と軒下に打ち明けた和真は、すみれが生徒の顔を覚えられないせいでトラブルばかり起こし、教師の仕事を休職中であることを軒下に話す。そして和真は、軒下に持っていた1冊のファイルを見せた。

丸井は、来月、旧友たちと旅行に行くのを楽しみにしていたが、手術が避けられそうにない状況だった。だが唯織は、渚からもらった差し入れの固いせんべいを食べていたとき、銀歯や差し歯が取れたら大変だ、という黒羽たまき(山口紗弥加)たちの会話からあることに気づき、丸井のもとへと向かった。

呼吸器外科のカンファレンスでは、丸井の外科手術についての検討が行われていた。そこに飛び込んできた唯織は、丸井の右肺にあった陰影は悪性ではない可能性が高いと言いだす。

実は丸井は、奥歯の被せ物を誤嚥してしまったことがあるという。その際に、口中の細菌が肺にまで達し、腫瘤と化した可能性があるというのだ。唯織の話を聞いて改めて読影した杏は、放線菌に感染した際に見られる所見をみつける。もし放線菌による感染が原因だった場合、外科手術ではなく薬の投与で改善が見込まれた。

唯織と軒下は、さっそく丸井のPET検査を行った。さらに追加の検査を行った結果、丸井は肺放線菌症であることが判明する。

ホッとしている軒下のもとへやってきた田中は、机の下に落ちていたすみれのメモ帳を見せる。そこには、クラスの生徒たちの細かな特徴だけでなく、軒下の外見や、軒下と普通のデートできたことへの喜びも記されていた。

それを見た軒下は、病院を出ようとしていたすみれを追いかけ、脳の検査をしてみないか、と問いかけた。軒下の思いを受け止め、不安な気持ちを抑えて検査に同意するすみれ。和真は、すみれのことを頼むと軒下に頭を下げた。

MRI検査の結果、すみれの右側頭頭葉皮質下に、腫瘍が見つかった。読影した杏は、おそらくこの腫瘍は良性で、摘出すれば症状が改善する可能性が高い、と判断する。

手術を受けたすみれは、病室のベッドの上で目を覚ました。経過は良好で、付き添っていた和真の顔をちゃんと識別できるすみれ。

軒下とともにそこにやってきた唯織は、改めて自己紹介する。と、すみれは軒下に目をやり、「あなたがノキッチさんですか?」と問いかけた。しかし軒下は、自分は田中だと返し、すみれには本当の夢を叶えてほしいと軒下が言っていた、というと、和真にファイルを渡すよう合図した。

ずっと知りたかった教え子たち30名の顔写真が並ぶファイルを手渡され、涙を流すすみれ。写真の下には、名前や顔の特徴がこと細かく書き込まれているそのファイルは、すみれのために、和真が作ったものだった。

すみれの病室を出た唯織は、本当にこれで良かったのか、と軒下に問いかける。すると軒下は、和真に負けた、と返す。すみれの病気のことを知ったとき、自分は彼女に嫌われたらどうしようかと心配したが、和真はそうじゃなかったというのだ。

小野寺やたまきたちは、今回ばかりは軒下のことを見直し、励まそうとした。だが当の軒下は、すでにマッチングアプリで別の女性を見つけていて…。

手術ではなく、薬での治療を受け始めた丸井の病室には、友人たちが見舞いに来ていた。杏は、楽しそうに旅行のパンフレットを見ている丸井の姿に気づき、笑顔を見せた。

すみれの退院の日、和真は、好きだといったのは冗談じゃないから、と彼女に告げる。するとすみれは、軒下のような素敵な大人になったらね、と返す。

そして、杏は辻村に会いに行く。そこで杏は、真剣な思いを伝えてくれた辻村の気持ちに、自分も真剣に答えたいから考える時間がほしい、と告げた。

そんなある日、ラジエーションハウスに見知らぬ女性が姿をやってくる。女性に気づき、声をかける唯織。実はその女性は、たまきの母・るり子(中田喜子)で…。

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