葵みどり(石原さとみ)たちが“調剤の魔術師”と称える荒神寛治(でんでん)が、休暇を取ることになった。手品を練習するためと言う販田聡子(真矢ミキ)に、みどりたちは納得出来ない。ただでさえ忙しい薬剤部に人員の余裕はないのだ。
販田は荒神の仕事は自分が兼務すると言うが、薬剤部から一名を調剤薬局の研修に出すことになったとも伝える。在宅医療を専門とする調剤薬局と知ってみどりが名乗り出るが、刈谷奈緒子(桜井ユキ)は猛反対。だが、みどりの代わりに瀬野章吾(田中圭)が薬剤部に張り付き、救急センターへは必要な時に行くよう販田は手配していた。
みどりが研修するのは「笹の葉薬局」。みどりが薬局を探していると小野塚綾(成田凌)に声をかけられる。小野塚も在宅医療を学ぶよう「ナカノドラッグ」の店長に指示されていた。
2人が薬局を見つけると、店から代表の仁科敦夫(東根作寿英)が飛び出して来て、挨拶もそこそこに2人を患者の家へと連れて行く。仁科はさまざまな患者の家を回りながら、みどりたちに仕事を説明。高齢者の患者が多いため、仁科たちは薬の管理の他に食べ物や副作用のチェックなども行っていた。
そんな時、末期がん患者の家へ行ったみどりたちを荒神が出迎える。患者は荒神の妻、泰子(大塚良重)だった。
一方、相原くるみ(西野七瀬)はアレルギー性鼻炎の増田航平(田中幸太朗)に服薬指導。くるみは服薬量が多いことを告げるが、増田は意に介さず帰ってしまう。そんなやり取りを見ていた瀬野は、航平と一緒に来ていた息子の翔太(川原瑛都)が気にかかる。調剤室に戻った瀬野は、出産のため入院している航平の妻、環希(田川可奈美)に翔太のことを聞いておくようアドバイスする。
みどりと小野塚は、荒神からすでに意識混濁やせん妄もある泰子を在宅医療に切り替えたのは、2人の結婚記念日が迫っているからだと聞く。さらに今年は銀婚式。荒神は自分たちの結婚式で披露し、毎年行っている手品を泰子にもう一度見せたかったのだ。
その夜、「娘娘亭」で、みどりは荒神に頼まれたとくるみと刈谷に泰子の容態を教える。荒神の担当医師の話では、泰子はもって1週間。間もなく鎮静剤の投与が必要になる段階に来ていた。だが、鎮静剤を投与すると患者は意思疎通が出来なくなる。荒神は重い決断を迫られていた。刈谷から在宅医療研修を聞かれた小野塚は、自分には向いていないと答える。
次の日、刈谷は他の調剤部の仲間に荒神のことを伝えた。販田は荒神と泰子を見るため、みどりを研修に出していたのだ。
荒神が泰子の鎮静を決断した。虚な意識の中で痛みに耐えていた泰子だが、ついに母親の名を呼びながら泣いた。そんな妻の姿に、荒神は鎮静を求めたのだ。
しかし、医師が鎮静剤を投与しようとすると、泰子の意識が戻り手品を楽しみにしていると荒神につぶやく。すると、荒神は鎮静は明日の銀婚式が終わってからにして欲しいと医師に訴えた。
「笹の葉薬局」に戻った小野塚は、荒神でも取り乱すのかとショックを隠せない。在宅で近親者を看取ることに疑問を持つ小野塚だが、みどりは次の行動に移っていた。荒神には手を貸したり、話を聞くだけの存在も必要だと介護用品を届けに出かける。
みどりと入れ違いに仁科が帰って来た。小野塚は仁科にみどりのことを話し、自分には出来ないとこぼす。終末期の患者への対応がわからず、みどりのようにその家族まで考える余裕はないと迷う小野塚に、仁科は自分も一緒だと答えた。また、仁科はみどりも同じだろうと続ける。そして、そこに必要なのは最期まで患者を看る覚悟だと仁科は小野塚に教えた。
みどりが荒神に夕食を作っていると、小野塚が来た。荒神は泰子とマジックを繰り広げる披露宴の映像を2人に見せ、鎮静の判断を間違ったのではないかとみどりに尋ねる。すると、みどりは薬剤師としては判断出来ないが、荒神の友人としては泰子に手品を見せてあげたいと答えた。
そして、みどりは翌日披露する手品を手伝いたいと申し出る。小野塚も手伝いたいと加わった。
次の日、担当医師、看護師も立ち会う中、荒神たちが手品を始めようとすると泰子が突然苦しみ出した。一時的に痛みを緩和させようとする担当医師に、荒神は鎮静を求める。もはや、荒神に苦しむ妻を見ていることは出来なかった。
泰子が鎮静剤投与となったことは販田から調剤部の仲間たちに伝えられた。荒神は辛いだろうと言うくるみに、刈谷は今は目の前の仕事をするよう促す。そこに、瀬野が増田の服薬指導をするようくるみに指示。処方箋はまだ増田の服薬量が多いことを示していた。
くるみは薬の量の多さを増田に指摘。また、くるみは環希から翔太にハウスダストのアレルギーがあることを聞いたと話す。すると増田は自分の薬を翔太に飲ませていると打ち明けた。
くるみは子どもには危険な薬だと教える。しかし、増田はこの薬で悪影響を受けた子どもを見たことがあるのかと開き直った。くるみが言葉に窮すると、瀬野が来て実際に悪影響を及ぼした子どもを見たことがないのは医療従事者たちが弊害を防いできた結果だと増田に話す。
また、実際に悪影響をもたらした子どもの対応したことがあると瀬野が突きつけると、ようやく増田は納得し、翔太を小児科で診てもらうよう勧めるくるみにも承諾した。
そんな頃、鎮静剤で落ち着いた泰子の傍で、荒神はみどりと小野塚とともに手品を披露する。すべてを終えると、荒神は在宅にして良い銀婚式を迎えることが出来たとみどりたちに礼を言う。
帰り道、小野塚は初めて患者の家族から礼を言われたとみどりに打ち明ける。小野塚らしくないと指摘するみどり。すると、小野塚はこのまま自分らしくないことをしようと思うと答える。まだそれが何かを小野塚はみどりに教えなかった。
その後、泰子は息を引き取り、研修を終えたみどりが萬津総合病院に戻る。みどりは瀬野に不在の間の礼を言う。その時、軽口を叩いてから仕事に戻ろうとした瀬野に異変が。みどりの目の前で吐血して倒れてしまったのだ。