『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第1話完全版

五十嵐唯織(窪田正孝)は、「写真には必ず真実が映る」と信じる診療放射線技師。アメリカで最も権威ある放射線科医・ピレス教授から才能を認められた唯織は、ずっと思いを寄せていた幼なじみの甘春杏(本田翼)が放射線科医として勤務する甘春総合病院に採用された。

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医師免許も持つ唯織は、その天才的な読影能力を発揮すると、新人放射線技師の広瀬裕乃(広瀬アリス)や、放射線技師長の小野寺俊夫(遠藤憲一)ら「ラジエーションハウス」の仲間たちと力を合わせ、数々の患者の命を救った。

ピレス教授から、人工知能を使った読影補助ソフトの開発プロジェクトに誘われた唯織は、渡米を決意し、仲間たちに別れを告げた。杏は、そんな唯織に「あなたが手出しできないくらい優秀な放射線科医になってみせます。だから…必ず戻ってきてください」と約束をして――。

その約束から2年後。プロジェクトがひと段落して帰国した唯織は、もう一度、杏がいる甘春総合病院で働きたいと考えていた。

だが、甘春総合病院は、院長だった大森渚(和久井映見)が研究目的で唯織と同じワシントン大学に移ると、後を引き継いだ新院長の灰島将人(髙嶋政宏)が病院の合理化を実施。灰島は、放射線科医はいらないと言い出して、読影はすべて外部の「遠隔画像診断センター」に委託してしまう。それが、杏が現在働いている場所だった。

また、そうした改革に伴い、ラジエーションハウスも規模を縮小され、黒羽たまき(山口紗弥加)、軒下吾郎(浜野謙太)、威能圭(丸山智己)、悠木倫(矢野聖人)は、甘春総合病院を辞め、それぞれ別の病院などに転職していた。

ある日、ヴァイオリニストの宝生真凛(田中みな実)がリサイタル中に倒れるという事態が起きる。客席にいた灰島は、舞台に駆け上がり、彼女を甘春総合病院へと救急搬送するよう指示する。

一方、ラジエーションハウスで田中福男(八嶋智人)らと働く裕乃は、最近どこか様子がおかしかった小野寺が認知症予備軍と診断されたことを知り、たまきや軒下らを訪ねて助けを求める。小野寺が今まで通りに仕事を続けていくためには周りのサポートが必要、と考えたからだった。しかし、たまきたちの反応は冷たく…。

同じころ、唯織は、杏の父親で、離島で診療所を開いた元院長の正一(佐戸井けん太)を訪ねていた。そこで唯織は、杏がすでに甘春総合病院にいないことを知る。

そんな折、仕事を終えて帰路についた杏は、妊娠中の森迫由美(森カンナ)が腹痛に襲われ苦しそうにしているところに遭遇する。由美は、かつて唯織たちがその命を救った世界的な写真家・菊島亨(イッセー尾形)の娘だった。

そこに唯織が現れ、驚く杏。2人は、突然の再会に戸惑いながらも、救急車を呼び、由美を甘春総合病院へと搬送する。杏は、由美が右股関節に痛みがあるようだと気づき、それを唯織にも伝える。由美は、切迫早産の危険性もあることから、ただちに検査を受けることになった。

唯織がラジエーションハウスに立ち寄ると、そこに杏がやってくる。杏は、別の施設で働いていることを打ち明け、2年前の約束を果たせていないことを詫びると、「もう、あの約束のことは忘れてください」といって去っていく。偶然、2人の会話を聞いてしまった裕乃は、一番悔しいのは杏かもしれない、と唯織に告げ、ラジエーションハウスのメンバーもいなくなってしまったことを打ち明ける。

裕乃は、唯織が戻ってきたことをたまきたちにも知らせた。一方、唯織は、循環器内科長として再び甘春総合病院に復帰した渚を訪問。渚は、いまや副院長になった鏑木安富(浅野和之)の助力も得て、唯織だけでなく、たまきたちを復職させた。

杏に思いを寄せている整形外科医の辻村駿太郎(鈴木伸之)は、唯織が復職したことを杏にも伝える。その唯織の助言を受け、由美の股関節を検査することにする辻村。しかし由美は、お腹の子どものことを優先するあまり、レントゲン検査を拒否する。それを説得したのは唯織だった。お母さんの体を守ることが、生まれてくる赤ちゃんを守る一番の近道だ、という唯織の言葉を受け、由美は検査することを決めたのだ。

ほどなく、由美のMRI画像が杏の元へと送られる。由美は、一過性大腿骨頭委縮症を起こしており、関節の骨が脆くなっていた。由美は、無理をせずに安静にしていれば治癒するという唯織の言葉に、ホッと胸をなでおろす。

田中は、甘春総合病院を辞めるつもりで辞表を用意していた。そんな田中にとって唯一気がかりだったのは、真凛のことだった。ある時、真凛は、車椅子から立ち上がろうとしてめまいを起こし、倒れそうになる。慌てて彼女を支える田中。そこにやってきた唯織は、真凛の声がかすれていることに気づき、脳梗塞の一種ではないかと考える。

だが灰島は、真凛は自分の患者だとして、余計な口を挟まないよう唯織に釘をさす。それでも諦めない唯織は、脳外科医からオーダーを取り、たまきたちの協力を得て真凛のMRI検査を行う。田中は、そんな唯織の行動が理解できずにいた。

小野寺は、認知症予備軍との診断を受けたことを唯織に打ち明ける。また、唯織やたまきたちが戻ってきたため、後は彼らに託して甘春総合病院を辞めようとしていた。その話をしている際、唯織は、小野寺の目線が震えていることに気づく。唯織が、目の前に出した人差し指を見るよう小野寺に指示すると、彼の眼球は小刻みに揺れていた。

唯織は、造影剤を使って小野寺のMRI検査を行うと裕乃たちに伝える。ところがそのとき、由美が腹腔内出血を起こしたという連絡が入った。由美は、以前股関節の痛みのせいでつまずき、お腹を強打したことがあったらしい。外傷性仮性動脈瘤の破裂だった。動脈瘤の破裂ならば、IVRで止血することが可能だった。だが、甘春総合病院にはIVRを行える医師がいなかった。自分がやると言う唯織。そこにやってきた杏は、由美とお腹の赤ちゃんを救いたいと言って、唯織に代わってIVRを行うと名乗り出た。

由美は、オペで赤ちゃんを取り出した後、IVRによる止血処置を受ける。騒ぎを知った灰島は、この2年現場を離れていた杏には無理だと言って処置を止めようとした。だが、悠木や軒下たちから、今ここで由美を救えるのは杏しかいないと言われてしまい、言葉に詰まる。やってきた渚も、ここは彼らの任せるべきだと灰島に告げ…。

MRI検査の結果、小野寺はウェルニッケ脳症だと判明する。アルコールのとり過ぎや偏った食生活を続けたことでビタミンB1が不足したことが原因だった。唯織は、ビタミンB1を投与すれば症状は良くなるはずだと小野寺に告げた。

IVRによる処置を開始した杏は、途中、血管の委縮によって造影剤が通らないスパズムという現象も乗り越え、止血に成功する。ベッドの上で目を覚ました由美は、生まれたばかりの男の子と対面を果たし…。

唯織は、杏がこの2年間、誰よりも勉強し、画像の向こうに側にいる患者の未来まで見据えていると感じた、と告げる唯織。「ありがとうございます。あの約束、守ってくださって。僕が手出しできないくらい、素晴らしい手技でした」。唯織は、杏にそう言って頭を下げた。

杏は、灰島に復職を願い出る。しかし灰島は、それを受け入れるはずもなかった。IVR処置の件も、たまたま上手くいったから良かったものの、何かあれば訴訟に発展していた恐れもあったのだ。肩を落として、甘春総合病院を後にする杏。講演会帰りの鏑木は、そんな杏の姿に気づき…。

その後、杏の甘春総合病院への復帰が認められる。ラジエーションハウスを訪れ、小野寺たちに採用通知を見せた。

唯織は、アメリカにいた日々の中で、1通だけ杏に手紙を送っていた。お互いに約束を果たした時には食事に行こうと記されていたその手紙。

杏は、噴水広場で唯織が来るのを待っていた。が、なぜかそこには唯織だけでなく、小野寺や裕乃たちラジエーションハウスのメンバーもやってくる。唯織は、同じような手紙を彼らにも出していたのだ。

怒った杏は、用事を思い出した、と言って帰ろうとする。唯織は、慌てて追いかけようとして転んび、そのまま杏のお尻を掴んでしまい、杏はそんな唯織を殴りつけて去っていった…。

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