10月26日(月)、映画「ホテルローヤル」の完成報告イベントが行われ、主演の波瑠、安⽥顕、夏川結⾐、岡⼭天⾳、武正晴監督が登壇し、松⼭ケンイチはビデオメッセージで登場した。

この作品は、累計発⾏部数100万部を超える桜⽊紫乃の直⽊賞受賞作が原作で、「百円の恋」、「嘘⼋百」、「全裸監督」など精⼒的な活動を続ける武正晴がメガホンをとった。

誰にも⾔えない秘密や孤独を抱えた⼈々が訪れる場所、ホテルローヤル。そんなホテルと共に⼈⽣を歩む雅代(波瑠)が見つめた、切ない⼈間模様と⼈⽣の哀歓が描かれている。

安⽥の父親役のモデルは親父「実際に映画を観たら違和感なく親⽗でした」

原作小説を読んでいたという波瑠は「⾃分の知っている作品の台本をいただけて光栄でした」と語りつつ、「台本を読んだら雅代のセリフに『……』が多くて。これは下⼿したら⽴っているだけの⼈になるぞと焦り、しっかり役の内⾯と向き合う作業をしました。緊張感ある撮影になりました」と振り返った。

さらに、「(題材となる)ラブホテルをよく知らないのに、⾒た瞬間、『うわ︕ラブホテルだ︕』と。⼤げさで煌びやかで、なんだかちぐはぐで凄く不思議。リアルだと思わせる説得⼒がありました」と驚いたことを明かした。

このホテルについて武監督は「桜⽊先⽣からホテルの部屋の配置を聞いたりして作っていきました。また、そこでどんな苦労をされたのかなど働いていた当時の様⼦を聞いてシナリオにも反映させていきました」とこだわりを語った。

雅代の⽗・⼤吉を演じたのは安⽥顕。今回、実年齢よりも上の年齢を演じることになったのだが、「僕の親⽗は室蘭市で溶接⼯だったので、演じる上では⾃分の親⽗を思い浮かべながらやっていました。実際に映画を観たら違和感なく親⽗でしたね」と照れながら語った。

一方、雅代の⺟・るり⼦役の夏川は、「るり⼦は少し⾝勝⼿でもある⺟親だったのですが、最後に雅代に告げる『幸せになんなさいよ』という⾔葉は本当に彼⼥の⼼の底からの⾔葉だったんだなと思います」と振り返った。

ラブホテルの客で教師・野島亮介役の岡⼭は「⽣徒役の伊藤沙莉さんとは同い年ですが、今回は教師と⽣徒。その関係性を作るのは⾯⽩いものになりそうだと思いました」と演技の上で刺激を受けたよう。

今回、ビデオメッセージで参加した松山ケンイチが演じたのは、アダルトグッズ製造会社の営業マン・宮川役。

映画では、⽅⾔でしゃべるのが印象的なのだが、これは台本にはなかったそう。

「これは内緒なんですけど、僕は⻘森出⾝なんですが、地元の⾔葉でやっちゃったんですよね。でも誰にもツッコまれなかったので、そのまま最後までやりきりました(笑)」と裏話を語った。

さらに、「北海道でのロケは東京での撮影とは違います。場所によって⾒⽅も考え⽅も変わりますし、それが地⽅ロケのいいところです」と満足げだった。

岡山が意外な趣向をカミングアウト!?

印象深かったシーンについて波瑠があげたのは、ラブホテルの従業員のたまり場になっているボイラー室。

「冬は暖かくて夏は暑くて、従業員のお茶会の場所でもあります。雅代にとっては安⼼感を持てる空間。温もりもありました」とコメント。

また、映画の内容にちなんで「⼼が満たされる瞬間」について聞かれ、「お腹が満たされると⼼も満たされる。私はお腹が空くとわかりやすく機嫌が悪くなるタイプ。北海道の撮影ではあれもこれも⾷べたいと思ったけれど、時間がなくて」と照れ笑いしていた。

これに対して安田は「⾃粛期間明けにスーパー銭湯に⾏って、ザバッと⾵呂に⼊って、サウナに⼊って、垢すりもした。最⾼でした︕」と笑った。

他の出演者も「⾃粛後に久しぶりに友達と⾷事をした時に、⼈と直接話すことがこんなに⾃分に幸せをもたらしてくれるのかと驚いた」(夏川)、「僕は匂いフェチで、コインランドリーの前を通ると⼀気に幸せな気分になる。夜の9時くらいに歩いていると下⽔道からシャンプーの匂いがする。それが好き」(岡⼭)と語るなど、イベントは和やかに進行。

これを聞いていた武監督が「出演者が素晴らしい仕事をしてくれて、その結果いい作品になった。観る⼈それぞれが幸せを⾒つけるようなきっかけになってくれれば嬉しい」と思いを込めた。

波瑠は「この映画のラストが好きで、1⼈の⼈間が⾃分の⼈⽣を初めて⾃分で受け⼊れて、そして家族からも愛されていたと気付く。そんな尊い瞬間が描かれています。雅代の再スタートがとても胸に響きました」とコメント。

そして、「キャンペーンで原作者の桜⽊先⽣と話していたとき、『何かから積極的に逃げることは、変換するとものすごく前向きなんだ』と仰っていました。その⾔葉って⽬から鱗だったのですが、そんなメッセージが込められている映画です」と作品への想いを語った。

映画「ホテルローヤル」の予告編はこちら

映画「ホテルローヤル」は11月13日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。

©桜木紫乃/集英社 ©2020映画「ホテルローヤル」製作委員会
配給:ファントム・フィルム

最新情報は、映画「ホテルローヤル」の公式サイトまで。