8月3日(火)、映画「うみべの女の子」の公開記念舞台挨拶が行われ、石川瑠華、青木柚、ウエダアツシ監督、原作者の浅野いにおが登壇した。

漫画家の浅野は、17歳でデビューし、一見ありふれた日常の表と裏を斬新な手法で描いてきた。2009年に発表した「うみべの女の子」は、「思春期」「恋」「性」といったセンシティブな題材に真正面から挑んだ作品として、今なおファンの間で高い人気を誇っている。ウエダ監督が企画会議に原作を持っていってから、5年の月日を経て、映画が完成した。

海辺の小さな街で暮らす中学生の小梅(石川瑠華)は、憧れの三崎先輩(倉悠貴)に手ひどく振られたショックから、かつで自分のことを「好きだ」と言ってくれた、内向的な同級生・磯辺(青木柚)と関係をもってしまう。やがて磯辺を恋愛対象とは見ていなかったはずの小梅は、徐々に磯部への思いを募らせるが…。

脚本を読んだ時の感想について、石川は「セリフが原作そのもので、原作と比べてシーンやセリフが、“ある”か”なし”かといった感じで、単純に喜びや悲しみがありました」と紹介。ウエダ監督から、無くて悲しかったセリフについて聞かれると「『BUMP OF CHICKENの藤くん』というセリフがなかったのが寂しかった」と明かすと、ウエダ監督は「(原作から)10年経っているので精査した部分はあります」と答えた。

また「オーディションの前に(原作を)読み返した」という青木は、「思春期の恋と性というものが描かれているんですけど、一言では表せない濃厚さがあって。自分自身も思い当たるようなざらつきだったり、そういう面が脚本にも原作の色を残したまま書かれていて、自分自身も苦しくなった。自分が磯部をやる可能性があると考えた時に、すごい責任を感じるとともに、ゾクゾク感があり高揚しました」と語った。

また、青木との共演について石川は「現場では、磯部と小梅のような、近いのか遠いのかわからない距離感で。でも他の人には言えない、特別なことは言えたりするような関係でした」と表現。「でも今は一緒にいると居心地が良いような、取材前に緊張していても柚くんがきてくれると、不思議と解けました」と明かすと、青木は「本当、本当?ありがとうございます」と喜んだ。

一方の青木は「初めて会った時から小梅役への思い入れが強く感じられて。現場でも『小梅であろうとする』意志が伝わってきて、僕自身とても助けられました。石川さんにしか持ちえない、芯を持っている方だなと感じています」とコメントした。

そんなふたりについて、ウエダ監督は「このふたりの世代の人は集まると、休憩中にワイワイガヤガヤしがちなんですけど、ふたりはちゃんと自分たちでセーブをしていて。集中を切らさずに準備している感じに好感を持てて、大変頼もしく感じていました」と役者としての姿勢を絶賛した。

しかし、石川は「めっちゃ仲良くしたかった(笑)」と本音をポロリ。青木は「『仲良くなるイコール作品が悪くなる』わけじゃないですけど、この関係を切らしちゃダメだなっていう危機感はずっと持っていました。感情をすり減らすシーンが多かったので、そこは意識してました」と告白。

石川は「磯辺は学校の人たちと仲良くしているのを見て、羨ましそうにしてたよね」と問いかけると、青木は「他の人たちは仲良くしてたので(笑)」と微笑み返した。

映画「うみべの女の子」は、8月20日(金)より、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開。

© 浅野いにお/太田出版・2021「うみべの女の子」製作委員会
配給:スタイルジャム

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