7月3日(土)、映画「犬部!」完成披露イベントが東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、主演の林遣都、共演の中川大志、大原櫻子、浅香航大、篠原哲雄監督が出席した。
本作は、2004年ごろに青森県十和田市にある北里大学・十和田キャンパスに実在した動物保護サークル“犬部”を設立した獣医学部の学生が主人公。仲間たちとともに動物を守ろうと奮闘した過去、獣医師となってひとりで新たな問題に立ち向かう現代という、二つの時代が描かれている。
超がつくほどの動物好きで、一匹でも多くの命を救うため、どんな状況でも諦めない熱血主人公・花井颯太に林が扮し、その相棒で心やさしい同級生・柴崎涼介を中川、犬部の心強いメンバーで猫担当の佐備川よしみを大原、教授の手伝いで実習用の動物を世話していたが、後に颯太らの仲間に加わる秋田智彦を浅香が演じている。
そんな役者陣を率いたのは、「花戦さ」や「影踏み」など、人の心の機微を繊細に描いてきた篠原監督。そして、動物ドキュメンタリーの名手で、本作のモデルになった太田快作獣医師に迫った、フジテレビ『ザ・ノンフィクション「花子と先生の18年~人生を変えた犬」』の演出を手がけた山田あかね氏が脚本を担当、保護動物をめぐるリアルな問題や課題を丁寧にストーリーへと盛り込んでいる。
この日は、作品にも出演している保護犬出身のミックス犬・ちえ、柴犬のきぃ、サモエド犬のサモン、そして、出演はしていないが、猫のミッツがキャストと共に登壇。
動物たちへのストレスを考慮し、普段はイベントの最後に行われるフォトセッションが事前に行われることになったものの、きちんと前を向かなかったり、ステージから降りようとしたりなど、マイペースな動物たちに人気俳優陣が振り回される姿に、場内には温かい空気があふれた。
無事にフォトセッションを終えた林は、「なかなかこういった舞台あいさつもなくて。俺のほうが緊張してるからな」と、パートナーのちえちゃんへ視線を。
ちえちゃんが終始、小さな鳴き声をあげていると「大丈夫だよ」と穏やかな“保護者目線”で気遣った。
中川は「今日、皆さんに映画を観ていただけるということでうれしく思います」と呼びかけた後、パートナーのきぃちゃんへ「ワン」と指示。すると、きいちゃんは「ワン!」と元気よく返し、相性の良さをのぞかせた。
撮影は昨年の夏、青森県十和田市にてオールロケで敢行。林は「動物たちも東京から来てくれて、心身の負担もあっただろうし、難しいシーンばかりでしたけど、しっかりと応えてくれた。本当に愛くるしい、心揺さぶられる表情をとにかく見てほしい」とアピール。
そこへ、林のリクエストで中川がきぃちゃんへ「きぃ、ジャンプ!」と指示を。軽々とジャンプを披露したきぃちゃんを見て、林は「日々、こういう姿を見せてくれたので、毎日幸せを感じていました」と振り返った。
中川は「動物たちとここまでガッツリ共演するのが初めてだったので、どういうふうに一緒に芝居をつくっていけるのか楽しみにしていたんですけど、犬たちがいっぱい奇跡を起こしてくれた。僕たちが心動かされる瞬間が作品にたくさん残っているので、そこを見ていただきたい」とアピールした。
大原は「たくさんのワンちゃん、猫ちゃんと一緒に、楽しく撮影することができました。大学の獣医学部の中を初めて見たのですが、思った以上に動物園でした(笑)」とコメント。
浅香は「動物たちは毎回同じことができるわけではないので、毎回新しい風を吹かせてくれて、失敗してもつい笑顔になってしまう。動物に助けられながら、素敵な撮影で楽しかった」と、それぞれ充実した撮影だったことを明かした。
また、この作品に携わったことで感じた動物保護についての思いを聞かれると、林は「もともと動物全般が大好きで、それまでは“可愛い、可愛い”と接することしかできなかったんですけど、監修のZOO動物プロダクションのスタッフさんや飼い主さん、獣医師さんから、一番は言葉をかけること、会話をすることだと教えていただきました」
続けて、「それを実践すると、役としての気持ちも僕自身の気持ちも動かされて、撮影が終わったあとには、僕たちのほうが動物たちから与えられているもののほうが多いんだなと感じました」と真剣な表情を浮かべた。
中川は「僕が演じた柴崎という役は、保健所に勤めてそこから変えていくという志をもった青年なんですけど、実際にその場所を訪れ、そして、約1ヵ月、犬たちと向き合ってお芝居をしたら、久々に東京へ戻って自分の犬と会ったときに感覚がまったく違っていて、ぐっときました」と、意識の変化があったことを振り返った。
観客へのメッセージを促された中川は、「さっき一緒に登場したワンちゃんたちと取材も一緒にうけているのですが、スタッフの皆さんが犬しか見てないんですよ(苦笑)。『もっと僕を見てくれ』と!今日も出てきた瞬間、お客さんは犬しか見てないんじゃないかとちょっとジェラシーもあるんですけど、可愛いワンちゃん、猫ちゃんだけじゃなく、僕たちのことも見てください(笑)」と直訴。
林は「獣医師の先生方とお話して、誰かのため、何かのために自分を犠牲にして信念をもって突き進んでいく人たちの姿は、本当に素敵でカッコいいなと感じました。コロナに限らず、日々苦しい思いをし、うまくいかないこともあると思いますが、まわりの人や自然、動物、自分にとって大切なものに目を向けると気持ちがフワッと軽くなるんじゃないかなと、この映画を通して僕自身感じました」
さらに「今日、僕はすごくいい1日になりました。皆さんにとってもいい1日になっていたらうれしいです」と力強い瞳で、客席へ呼びかけていた。
7月22日(木・祝)全国ロードショー
©2021『犬部!』製作委員会
配給:KADOKAWA
最新情報は、映画「犬部!」公式サイトまで。