映画「キネマの神様」完成披露試写会が6月28日(月)に都内で開催され、菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、北川景子、寺島しのぶ、前田旺志郎、宮本信子、山田洋次監督が登壇した。

本作は、松竹映画100周年を記念した作品。原田マハによる小説「キネマの神様」を原作に、菅田と、故・志村けんさんの遺志を継ぐ沢田研二がW主演を務め、山田洋次監督が演出を担当。ギャンブル漬けで借金まみれだが、映画を愛してやまない現在のゴウを沢田が演じ、50年ほど前に助監督として働いていた若き日のゴウを菅田が演じる。

昨年3月1日にクランクインした本作だが、3月末に志村さんの訃報が。山田監督は「一時はどうしようかと呆然としていましたが、沢田研二さんがピンチヒッターとして立つことを決心してくれて。志村けんとは違う沢田研二の“ゴウ像”を作り上げてくれた」と感謝し、「大変な出来事を経て、この作品が別の要素を持って出来上がったと思いながら観てください。そして、亡き志村さんのことも思い出してください」と観客に熱い思いを。

菅田は志村さんの本読みを見学して撮影に入っていたと打ち明け、「志村さんの演じるゴウを想定してのお芝居になっていますが、ちょうど撮り終わったあと、そういう状態になって。撮影が止まり、現代パートがどうなるかと思っていましたが、山田さんが脚本を描きなおして。それを読んだときに、すごく残念なことではあるけど、また1個違うパワーが生まれている気がしました」と当時を回顧。

続けて、「その本を読んだ時に、すごく公開の日が楽しみで。また、沢田研二さんが演じたゴウを観たときに、僕は勝手に志村さんを感じました。確実にいろんなものが残っていて、他にない映画に間違いなくなったと思います」と言葉を噛みしめるように語った。

今回、菅田、永野、北川、野田ら山田組初参加のキャストも多かったが、山田監督は「親しい友人のような俳優と一緒に仕事をする面白さ、楽しさもある一方、初めて一緒に仕事する人から受け取る新鮮な感動、喜びなど、別の作る楽しみがある。そういう意味では、新しい人たちと巡り逢える喜び、楽しみは、僕にとって大きな刺激でしたし、本当に楽しかったです」と撮影を振り返った。

過去パートでは、菅田、永野、野田の三角関係が描かれるが、「2人(菅田と野田)の芝居が対照的である必要がありましたが、それがとても上手くハマったんじゃないかと思う」と話し、「菅田くんの持ってるパーソナリティや演技のスタイルが、野田くんの持っているものと非常に対照的で、それがうまくいってると思います」と手応えを明かした。

また、過去パートで昭和の銀幕スターを演じた北川については、「映していてうっとりするくらいキレイな人で。たくさんのカットがありましたけど、その中に、彼女が今まで出たドラマや映画の中でも一番キレイだと思うカットがあります」とはにかみながら告白。

北川が照れながら「どれですか?」と尋ねるも、山田監督は「それはちょっと言えないです」とニヤリ。北川は心当たりがないそうで、「あとでこっそり粘って聞いてみます」と笑顔を見せていた。

過去パートで同じシーンも多かったという菅田、永野、北川、野田。4人でドライブするシーンもあったが、野田は「4人でずっと車に乗っていたのですが、スタッフの皆さんが遠くの方で話し合っていたので、これは『リテイクの可能性があるな』と4人で話していました」と当時のエピソードを披露し、菅田や北川らは爆笑していた。

最後に、山田監督は「『寅さん』が上映されていた頃は、映画館の通路にもビッシリと人が座っていて。そんな中で、客がわーわーにぎやかに大声で叫んだり、笑いあったりしながら、観てくれたことを思い出しますし、映画はそういう風に大勢が声をあげながら観るものだと思う。お金を払って観にくるんだから、うんと楽しんでいただきたい。皆さんにとって楽しいものでありますように」とアピール。

菅田は「撮影の時に、山田さんは昔の話をたくさんしてくださって。今までのことを聞いてる時間が、俳優として財産でした。そんな映画が完成して、もうすぐ公開できるのが本当にうれしいです。きっと期待に応えられる作品になっている思いますので、楽しみにしていてください」と呼び掛け、締めくくっていた。

映画「キネマの神様」は2021年8月6日(金)全国ロードショー。

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