6月20日(日)、生配信オンラインイベント「ボクらの時代 The Deep」が開催され、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(以下、渋渋)の鈴木一真氏、進学塾SAPIX YOZEMI GROUP共同代表の高宮敏郎氏が出演した。

本イベントは、毎回さまざまなゲストが集って語り合うトーク番組『ボクらの時代』(毎週日曜7時〜)のオンライン企画第3弾。レギュラー放送よりも長い90分ノーカット、台本なしのフリートークで、ゲストたちの“生の声”を引き出す。

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今回出演した3人は、教育のスペシャリスト。おおた氏は中学受験を専門とした教育ジャーナリストとして、多数の著書を執筆している。鈴木氏は1996年に開校した進学校、渋渋の入試対策部長を務める。高宮氏は、私立難関中学の合格者を多数輩出する学習塾、SAPIXの代表である。

3人は、自身も中学受験を経て男子校へ進学したという共通点もあり、序盤からざっくばらんなトークが展開された。

最近の受験トレンドは「一極&短期集中」

近頃の中学受験の印象について、おおた氏は「メディアが『過熱しています!』と、あおりすぎ。実際の受験者数は、リーマンショック前とそんなに変わらない」と、さっそく息を巻く。

高宮氏は「上位難関校に一極集中している。さらに、交通の便が良くなって、地域性がなくなった」と、一部の学校に広域の受験生が集まる現状を憂慮。鈴木氏も「ここ数年で午後受験枠(※)もできた結果、偏差値をかなり重視して、短期集中でいくつも受ける人がいる」と、過密な入試スケジュールに言及した。

※午後受験枠…入試は午前中から行われることが多いが、午後から実施することによって、受験生は1日で午前と午後、2校受けられる。

すると、おおた氏から、昨今ではメジャーとなった、オンラインによる合格発表について意見が。学内に合格発表を張り出して、不合格で悔しがる子どもたちを目の当たりにしないと「学校の先生は『これだけ多くの子どもたちを不合格にしている』という現実に気付かないのでは?」という。

渋渋では発表を貼り出すスタイルを続けているそうで、鈴木は「受かって喜んでいる子どもたちを見て、われわれも頑張ろうと思える。喜んでいる子たちの思いに応えることが大事」と、教員ならではの心情を明かした。

また、学校の特色としてよく謳われる“グローバル教育”の現状や、創立者の個性が色濃く反映されている学校の将来性について語った。

ここで高宮氏が「もし今、自分が12歳だったらどの中学に行きたいか?」と尋ねると、おおた氏が「フェリス女学院」と即答。実は高宮氏は、おおた氏の中高時代の恩師から「あいつ(おおた氏)は(そういった質問には)女子校って答えるだろうな」との予測を得ていたそうで、見事な的中に3人は大笑い。

高宮は「私学のいいところって、僕らの年代になっても知っている先生がまだいて、卒業生の昔のエピソードも思考も分かっていること」と、しみじみコメントした。

そして話題は、男子校と女子校のメリット・デメリットに。

3人とも男子校出身だが、鈴木氏は「男子校のメリットは、深い付き合いができること。今でももちろん付き合いがあります。それに、男女の友情は成立しないかなと思うので…」と本音を漏らし、会場は和やかな雰囲気となった。

高宮氏は「女子の目を気にしなくていい6年間が過ごせる。でも大学に進学してから、女性に対する距離感を養うのに時間がかかった」と、自身の経験を交えてコメント。

おおた氏は「中高生って自分の価値観の核を作っていく期間。その時期に、異性の目を気にせず、純粋に自分自身に向き合えるのがメリット」と、持論を語った。

「勉強嫌いな我が子、どうすれば?」多くのお悩み・質問に直球回答!

イベント開催中、Twitterで視聴者から多くのお悩み・質問が寄せられ、3人が回答した。下記は質問の一部。

・中学受験にトライするメリットは?
・勉強嫌いな子どもは、どうしたらすんなり勉強する?
・夫が大量の問題集を買ってくるが、手が回らない。良い問題集の選び方は?
・塾に通わないと受験における情報戦では不利?
・勉強の休憩時間の良い過ごし方は?
・頑張ったのに結果が出なかった我が子に、どんな言葉をかければ良い? など

3人は、自身の子育てについて「何もできていない。失敗だらけ」と謙遜しつつも「勉強嫌いな子どもなら、勉強を生活の中に取り入れてリズムを作ってあげる」と助言したり、“大量の問題集を買ってくる夫”への対応方法をアドバイスした。

視聴者からのお悩み以外にも、学校選びの際のポイントや偏差値のカラクリ、男の子と女の子の成長速度についてや、受験とゲーム・デジタル機器の関係など、話は多岐に渡った。

最後には、おおた氏から他の2人に向けて「受験の過当競争が進み、子どもたちに負荷がかかっているのでは?」「受験の低年齢化をどう考えるか?」「塾と中学の力関係は実際あるのか?」といった直球質問が。

高宮氏と鈴氏木は、中学受験にまつわる“都市伝説”にも触れて、包み隠さずトークを展開した。

なお、本イベントの全容は、6月27日(日)23時59時までPIA LIVE STREAMにてアーカイブ視聴が可能。その後、音声配信プラットホーム「Artistspoken(アーティストスポークン)」にて7月18日(日)23:59まで配信される(有料/月額制)。

第4回は、7月10日(土)14時〜開催が決定!声優の江口拓也と島﨑信長、アニメ脚本家・ゲームクリエイターの山中拓也が登場する。

詳しくは、『ボクらの時代 The Deep』公式ホームページまで