「三度の飯より肉が好き♡」

そんな肉への熱い思いを抱える“肉食系女子”のみなさんに送る【肉loverの感覚レシピ】。自身も大の“肉lover”である、料理家・今井真実さんが、“だいたいの感覚”で作れる肉レシピをエッセイ風に綴る。

【肉loverの感覚レシピ】過去のレシピはこちら!

第5回は、その言葉の響きを聞くだけで、肉loverならテンションアップ必至の、ローストビーフ。ローストビーフを作って30年の今井さんが「ようやく行き着いた」という、レシピを紹介する。

<肉汁あふれるローストビーフの作り方>

熟成したような深みのある焼き色の表面に、艶々(つやつや)でしっとりジューシーな食感。噛みしめるたびに、ジュン!としみ出す肉汁。想像しただけで、口元がゆるんでしまいそう。

とはいえ、自宅できれいなロゼ色に仕上げるには、ちょっとしたテクニックが必要。私は子どものころから年末年始のローストビーフ作りの担当だったのですが、いつもカットした断面を見るまでは緊張しっぱなしでした。

でも、このレシピならそんな心配はいりません。簡単で失敗知らずですから、「ローストビーフ?無理!」なんて方にもぜひ挑戦していただきたいです。

材料はたったの4つ。牛もも肉500g、ニンニク1かけ、醤油50ml、あとはバターを少々(10gほど)。これだけです。牛ももは輸入肉、上等なお肉どちらでも大丈夫。

お肉は内部が生焼けにならないように、この季節なら調理する1時間ほど前に冷蔵庫から出し、室温に戻しておきましょう。

天板、あるいはお鍋でもいいのでお肉をそのまま乗せて、オーブンで余熱なし100度で35分焼きます。裏返して、さらに35分焼。低温でゆっくり火を入れることでお肉が柔らかく仕上がります。

焼きあがったら、お肉の表面にぷにっとした茶色い塊がついているかもしれません。それはアクなのでキッチンペーパーで拭き取ります。

あら熱が取れたら、ビニール袋にお肉、醤油、すりおろしたにんにくを入れます。リーズナブルなお肉を使っていたら、オリーブオイル大さじ1をいれると、コクと風味が増しておいしくなります(上等なお肉の場合は不要ですよ)。これを30分~一晩、冷蔵庫で漬け込みましょう。

焼き上げるときは冷蔵庫からお肉を取り出し、漬け汁をキッチンペーパーで拭きます。フライパンにバターを溶かし、冷たいままのお肉を強火で表面を焼いていきます。このときのポイントは6面すべてをきっちり焼くこと。

焼き付け焦げ目ができることで、香ばしく、表面もパリッとするので、スッと切れやすくなります。冷蔵庫から出してすぐ焼くことで、中に余分な熱が入らないのです。

焼きあがったら、素早くお皿に移し、触れられるほどの熱さまで冷ましたら、ローストビーフの完成!

スライスしたら、見事なきれいなロゼ色が現れるはず。ちなみに、このお肉の赤み、スライス直後は茶色がかっていますが、空気に触れることで赤みが増していきます。やわらかで肉汁たっぷりの牛肉の強いうま味…口に入れたら自然と目が閉じてしまいます。

付け合わせにはクレソンに削ったパルメザンチーズはいかが?フレッシュな葉野菜を添えると、さらにお肉が進みます。

クリスマスのオードブルはもちろん、丼にするとゴージャスなご飯になります。お肉を漬け込んでいたタレを、お肉を焼いた後のフライパンで一煮立ちさせると簡単ソースの出来上がり。洋風にしたかったら赤ワインを、和風がお好みなら日本酒を少し足してもいいでしょう。

保存したい場合はタレを使い切らず、お肉をもう一度漬け直しておけばいいでしょう。断面を漬け汁に浸るようにしておけば、冷蔵庫で4日ほど日持ちします。

約30年の間、ローストビーフをよりおいしくするため、探求を続けてきた私がようやく行き着いたこのレシピ。クリスマスにもおせちにも、大活躍する料理になればうれしいです。「私って料理上手かも!?」と、胸を張って2021年のスタートを切りましょう。みなさま、どうぞ良いお年を!

今井真実(いまい・まみ)
料理家。神戸市生まれ。三度の飯より肉が好き。雑誌、web媒体、広告などでのレシピ作成、スタイリングも担当。東京都世田谷区でソーセージなどの料理教室を不定期で開催。noteで発表したカルボナーラのレシピも大きな話題に。キャンプで塊肉を焼くのが一番のストレス解消法。

写真/今井裕治