1月26日(火)、ワールド・プレミア公演「The Illusionist-イリュージョニスト―」の公開舞台稽古が東京・日生劇場で行われた。
本作は日英共同企画として立ち上げられた世界初演の新作ミュージカルとして上演を予定していたが、カンパニー内で新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されたことから稽古を一時中断。演出内容を変更し、コンサートバージョンの形で上演することに。
また、企画が立ち上がった当初は、主人公・アイゼンハイムを三浦春馬さんが演じることになっていたものの、昨年7月に三浦さんが急逝したことにより、別の役で出演予定だった海宝直人が代役に決定。晴れて初日を迎えることとなった。
この日、海宝は皇太子役の成河(ソンハ)、公爵令嬢・ソフィ役の愛希れいか、ウール警部役の栗原英雄、興行主・ジーガ役の濱田めぐみら実力派キャストと舞台に立ち、さすがの歌唱力と熱のこもった芝居を披露。
約2時間の公開稽古を終えた海宝は、興奮冷めやらぬ状態で現在の心境を綴った。
<海宝直人コメント>
いよいよ明日、初日を迎えると思うと、信じられないような気持ちなんですけど、緊張もありつつ、ようやくお客様をお迎えできるという喜びもございます。この作品は、たくさんの山を乗り越えてここまでたどり着きました。三浦春馬さんを失い、はたしてどのような形で公演すべきなのか、それともしないほうがいいのか、僕自身も悩み、いろいろと相談させていただきました。
その中でも演出のトム・サザーランドさんをはじめとするクリエイターチームの皆さんが決して諦めることなく、作品を必ずお客様へお届けするんだという強い思いをもち、そこにこの作品に関わる皆さんが共感して、今日までやってまいりました。その後のコロナの状況もありまして、それぞれ心の折れそうな瞬間、はたしてこの作品は完成するんだろうかという不安がたくさんありました。その中でも全員が諦めず、前進してきたからこそ今日を迎えられたと思っております。
この作品は真実、そして、嘘。何が正義で何が悪なのか、そういったものを問いかける作品になっています。最近の状況を見ておりますと、時代とマッチしているなと改めて思います。大統領選もそうですし、コロナもそう。何が真実で何がフェイクニュースなのか。自分たちが今それを考えなければいけない時代だと思います。
僕自身もこの作品のことを考える中で、自分が片方で考えていたことがもう片方から見たら、事実はちょっと違うんじゃないか、そういったものを考えるきっかけになりました。自分が追い詰められていたり、疲弊したりしている中で自分の感情をぶつけやすいことを信じてしまいやすい、そんな危険がたくさんある時代だと思います。
その中でこの作品をご覧になっていただいて、自分が考えている正義や悪が、もう片方から見たら違うかもしれない。そんなことを改めて考えていただける機会になってくれたらいいなと思います。
素敵な音楽や豪華な衣装、尊敬すべき共演者の皆さんと短い時間の中でつくってきました。明日、その苦労を感じさせることなく、皆様に楽しんでいただけるような舞台をお届けしたいと思っております。
「The Illusionist-イリュージョニスト―」最新情報は公式サイトまで
撮影:岡千里