1月31日(日)放送の、フジテレビ『ボクらの時代』は、公開中の映画「ヤクザと家族 The Family」主演の綾野剛、主題歌を担当した常田大希(millennium parade/King Gnu)、監督・脚本の藤井道人が登場。
役者として、クリエーターとして、映画監督として制作への思いや、自身の根底にあるものなどを語り合った。
常田大希「こういう作品に参加できたことが幸せ」
プライベートでも仲の良い綾野と常田は「瞬間的に波長が合った」という2年前の出会いを語り、「必ず何か一緒に作品をやりたい」と思っていたという。
そんな中、綾野は「ヤクザと家族 The Family」の撮影で、何シーンか撮り終わったときに「(音楽を)常田大希にお願いしたい」と感じたと振り返る。
藤井:そしたら、素晴らしい音楽が。すごいスピードで届きましたね。
綾野:早かったね。
常田:試写に行って、映画観終わったときに、大号泣してたじゃないですか。「報われたな」って思ったの。モノを今まで作ってきて、いろいろ、紆余曲折あったけど、こういう作品に参加できたことっていうのが、すごい、幸せでした。
藤井:ありがとうございます!
藤井と綾野は、常田の言葉にうれしそうな表情を見せた。
作品制作でプレッシャーを感じるとき
藤井は、「同じ世代ではあるけど、すごい才能」と意識していたという常田に対し、制作におけるプレッシャーについて尋ねた。
藤井:一番プレッシャーがかかるときって、デモを作る瞬間なのか、リリースする瞬間なのか。
常田:プレッシャーとか感じます?俺は、全く感じないかも、そこは。
藤井:俺は、公開するときとかやっぱり緊張する。
常田:あ~!反応的な?
藤井:うん。(最初の試写である)初号が一番緊張する。映画が完成して初めて剛さんとか、スタッフに見てもらうときが、すごく嫌だ。
綾野:(常田に向かって)そういう意味では、昨日、目撃したようなものかもね。
常田:確かに。緊張したかも。ちょっと。
綾野:大希が、millennium parade のアルバムの制作をずっとしてて。何回か「差し⼊れ⾏くよ」って⾔ってたんだけど、お互いタイミングが合わなくて。それで昨日、「(制作を)今⽇もやってる」っていうから、プリンとか買っていったの(笑)。
差し入れを持って行くと、ちょうどでき上がったところで、綾野が初めての聴き手になったという。
綾野:聴き終わって「これ、義務教育の⾳楽の教科書、全部書き変えたほうがいいよ」って。
常田:ふふふ。謎の誉め言葉ね。
藤井:あははは。
綾野:なんか、ある種の教育を感じるよね。美意識というか。個性をむき出しにすることを、美しく肯定しているっていうか。
最後の最後まで作品に向き合う常田の姿が「たまらなくかわいかった」と綾野。常田が「それは映画の編集も絶対あるもんね?」と藤井に問いかけると「永久にやってる。朝見たときと、夜見たとき違うんですよ。同じものでも」と同意。
「自分の心持ちでも違う」(常田)、「選択の連続」(藤井)と、音楽制作と映画制作は「似た職種」と盛り上がった。
「伝えたいこと」と「共感」はまったく違うもの
藤井:常⽥くんのチームって、発⾜したときから同じチームで、4⼈だったら4⼈のメンバーでずっと、⾃分たちの⾳楽をやっている。すごくうらやましいし、ケンカとかしないのかな。
常⽥:2年に1回ぐらいする。
綾野:あ、ある?それ、意外かも。
常⽥:本当にみんなやさしい⼈が集まっているから…。
「King Gnuでは、ケンカしたことがない」と話す常田だが、自身が主宰するクリエイティブレーベル・PERIMETRONでは、MV制作などで「『なぜ、これを良いと感じたのか』という意見の相違でケンカになることはある」と語った。
それを聞いた綾野は「それは自然なことだよね」と、制作過程でのぶつかり合いに納得した様子で、自分も芝居をしていく中で「ある特定の⼈にしか伝わらないような表現をしてしまうときがある」と告白。
綾野:俺は、映画は何か、ちょっと全体的にだけど、「共感」ということが全てになっていることが、すごく恐ろしい。
常⽥:そうだね。感じるね、そこは。
綾野:「伝えたい」って思いはあるわけ。だから「共感」と「伝えたい」は全然違うというか。そこがすごく俺は、テーマとしてこの1年ずっと思っていたから。
藤井も「伝えたいこと」を、演じる役者と監督とで「ディスカッションできるのが面白い」と語り、大きくうなずいた。
役者は「用意スタート」をかけられるアスリート
その藤井は、「3歳から18 歳まで剣道しかやってこなかった」と子どものころを振り返った。
藤井:で、⾼校3年⽣で剣道やめて。そこから映画しかやってないから、⼈⽣で2個しかやったことがないっていう(笑)。
常⽥:剣道と映画。つながりはあるんですか?
藤井:剣道やってきて良かったのは、礼節と忍耐。やっぱり礼儀と忍耐⼒がつく。⼤⼈になって、きついなっていうことのほぼ全てが、「あ、それもう中学で終わらせてるんで」みたいな。基本きつくないっていうのは、ありますね。
綾野:そういう意味じゃ、俺も陸上は、⾼校で終わらせてきたっていう感じはあるわ。あと、県⼤会の決勝でスタートライン⽴ってるときの緊張を、まだ超えたことないかも。
一方、幼少期からさまざまな楽器に触れてきた常田は、その理由を「プレーヤーになることにまったく興味がなかった」「⾳楽を作ることに興味があった」と明かした。
綾野:⼀番純正のまま、ここまで来てる感じあるよね。
常⽥:ありがたいことに。
綾野:で、(藤井は)2つでしょう?剣道と…。
藤井:映画。
綾野:俺、3つなんだよね。陸上と⾳楽と役者。⼀番雑念が多いというか。だから、俳優にとっては良かったんだと思う。
常⽥:陸上は、結構占めてそうじゃない?今のマインドにもさ。
綾野:そうだね。もう芝居はアスリートだと思ってるかも。
藤井:アスリート精神って、絶対あると思いますね。すべてがちゃんと、ストイックに突き詰めた結果を、「⽤意スタート」という声のあとにやっているというか。剛さんは、そんな感じがすごくした。
綾野:いまだに緊張するからね。「⽤意スタート」が、毎回県⼤会のスタートラインに⽴ってる感覚なの。ずっと。
藤井:あー、なるほど。
綾野:で、結局⾃分は「⽤意スタート」をかけられる側の仕事を選んでるってことなんだよね。⾃分たちでスタートを切る側じゃない。だから…アスリートなんだろうね。
そう語る綾野は、翌日の撮影のため「水抜き」(減量などの目的で、体から水分を抜くこと)をしていることを明かし、常田、藤井を驚嘆させていた。