神戸・女性の起業環境整備事業「S-Wing!」2期始動!昨年度参加者に聞く"自然と事業が前に進み始める"「S-Wing!」だけの支援とは
造船や鉄鋼など重厚長大産業を中心に発展してきた神戸の街。女性の就業率の低さは、政令市の中でワースト3位になった年もあり、女性起業家支援のためのエコシステム構築が喫緊の課題となっています。
そこで神戸市では、2023年から女性起業家をサポートする環境整備事業「S-Wing!」を実施しており、2024年度も引き続き、起業基礎講座や事業案策定のためのファイナンス・マーケティングに関する講座や、事業スケールのための個別メンタリングなどを含む支援を行います。企画運営は、株式会社神戸新聞社と一般社団法人リベルタ学舎。
今回、神戸新聞社では、支援者側を代表して、昨年度からメンターおよび講師を務める一般社団法人リベルタ学舎の工藤さんから、今年度の支援について話を伺います。昨年度「S-Wing!」に参加したOG2名もお招きし、体験を語っていただきました。
工藤 由佳(くどう ゆか)
*一般社団法人リベルタ学舎 マーケティングコンサルタント/早稲田大学 グローバル・ストラテジック・リーダーシップ研究所 招聘研究員
*スタートコースの支援を主に担当します。事業計画なんて考えたこともない!という方や、育休中・お勤め中の方も是非キックオフイベントからご参加ください!
昨年度「S-Wing!」起業関心層向けコース参加者:西山 葉子(にしやま ようこ)さん
*現在はアーツ・マネージャーとして、俳優によるロールプレイングを活用した企業研修サービスの提供を目指す
*ビギナーの方、絶対「S-Wing! 」のスタートコースに参加したほうがいいです!
昨年度「S-Wing!」起業関心層向けコース参加者:時枝 文麻(ときえだ みま)さん
*生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合で10年間勤務、その後栄養士の資格を活かして市内で料理講師を務める
*中学生、高校生、大学生と3人の子供を育てながら起業準備中!
聞き手
神戸新聞社 メディアビジネス局営業部 メディアデザインチーム 青木 友紀菜
昨年度、実際に「S-Wing!」の起業関心層向けコースに参加した参加者に話を伺います。
―参加前の状況を振り返ってみていかがですか。
―西山(昨年度「S-Wing!」参加者)
7,8年前から自分で事業をしたいという思いはありました。大学卒業後、舞台芸術の世界に入り、演劇の企画やプロデュースに携わる中で、この業界のリソースの少なさに気づきました。その後、表現者に対して公的な支援ができる機関に転職しましたが、財源が税金ということもあり、フレキシブルなサポートができないことにずっとモヤモヤを感じていました。また、基金を設立しようと思い立ち、起業セミナーに参加するも、お金を作るノウハウがなく諦めてしまうなど、発起してはとん挫するという状況を繰り返していました。しかし、たまたま「S-Wing!」の説明会に参加することになり、「表現に関わる人々の仕事をサポートしたい」という想いが再燃し受講に至りました。
―時枝(昨年度「S-Wing!」参加者)
ずっと「自分でやりたい!」という想いがありましたが、一歩踏み出せず転職を繰り返していました。そんなとき、「S-Wing!」のキックオフイベントの案内を見つけて、行ってみようかなと。シングルマザーとして、やはり組織に属して安定的な仕事をという想いがある一方で、組織にいると自由にできないと感じる場面が多くありました。栄養士の資格を活かして、子供たちに安全な食を提供する。それを個人でしてみたいという気持ちが強く、女性の起業に関する情報を集めていました。実際キックオフイベントに参加してみると、自分と同じように「まだ起業はしていないが何かをしたい」と考えている参加者も多く受講を決める後押しになりました。
―参加してみて事業はどう変わりましたか?メンターの指導はどのようなものでしたか?
―西山
文字通りの”並走”をしてくれたメンターさんのおかげで、事業プランが大きく変わりました。はじめは、「表現に関わる人々の抱える問題を解決するためのビジネスがしたい」と思っていましたが、ソーシャルビジネスのマネタイズは難しいと聞くので不安も大きく、なかなか前に進まずでした。そんなとき、メンターさんから「あなたが一番助けたいのは誰ですか?」と聞かれ、女優を目指す難民の友人が思い浮かびました。それからは、具体的にこういう支援が展開できるのでは等、細かい部分を考えられるくらいアイデアが膨らみました。しかし、収支計算書をつくるためのファイナンス講座(「S-Wing!」内講座)を受けてみて、想定していなかった経費があり、自分が思っているよりも稼がなければならないことに気づき、再度立ち止まってしまいました。しかし、またそこで、「改めて対象を広げてみて、困っている人は誰か、もう一度考えてみましょうよ」とメンターさんからアドバイスをいただき、子育てやコロナ渦で働きたくても働けない同業の女性をターゲットにして再考することに。そこから、俳優のスキルを活用したロールプレイングによって企業のコミュニケーション研修を提供するという事業案にたどり着きました。何か行き詰るたびに、何度も何度もメンターさんからフィードバックをいただきました。視点が変わって新しいアイデアが生まれる瞬間がすごく楽しかったです。これほどまで自分のやりたいことに向き合って貰った経験がなく、初めてですごく新鮮でした。
―時枝
生協での勤務や栄養士・調理講師としての経験を活かしたいという想いは変わりませんでしたが、子供向け料理教室を展開するというアイデアから、有機野菜を使った食育教室の展開へと事業案をアップデートすることができました。1か月に1回講座があって、その2週間後にオンラインフィードバックがあって、、、を繰り返している中で、ある時メンターさんから「時枝さんが本当にしたいことは料理講師なんですか?」と問われ、ハッとしました。自分が本当にしたいことは、安全な食べ物を食べてもらうこと、そしてその食べ物を供給する有機農家さんを助けることなのだと気づきました。それからは、ピッチイベント(「S-Wing!」内イベント)のプレゼンに向けて、数名の有機農家さんと連絡を取り実際に畑を取材させてもらいました。この時の自分の行動力には今でも驚きます。自分の想いや発揮できていなかった能力を掘り起こしてくれたメンターさんに心から感謝しています。
また、事業プレゼンに関する講座(「S-Wing!」内講座)では、資金調達をするつもりで投資家に向けてプレゼンをするときに、どんな発表が刺さるのかなど、実践的な学びを得られました。例えば、「データに基づいて社会課題を示し、だからこのサービスが必要とされるのだと、そして5年後にはこんな売り上げが上がります、だから今このくらいお金がいるのですという流れで話す」など有用なアドバイスをいただきました。仕事や子育てと両立しながら、ピッチ準備を進めている中でくじけそうになる瞬間もありましたが、「すべての料理教室の中で1番は取れなくても、ある分野で、つまり有機野菜を扱う料理教室の中で1番を取れるサービスをつくろう」というメンターさんの言葉に勇気づけられました。
8月から「S-Wing!」2期が始動します。参加するかどうかを迷っている方にメッセージをいただけますか?
―西山
私は「S-Wing!」に参加して、起業を目指す中でいつの間にかとらわれていた固定概念が消え、事業の可能性が広がりました。困っている人(Aさん)を助けるためのサービスは、困っている人(Aさん)が買うという考えが頭にあったのですが、メンターさんから「困っている人からお金を取っては意味がない、困っている人を助けることで喜んでくれる人を顧客にできないか考えてみよう」と助言をいただきました。間接的に利益を享受する潜在顧客に対して、一緒に困っている人を助けませんかと投げかけるというわけです。これまでは必死に”誰が買ってくれるか”を頭の中で何度も考えていましたが、顧客探しが仲間探しに思えるようになり楽しくなりました。メンターさんのアドバイスはいつも私の思考を切り替えてくれました。参加するか悩んでいる方がいれば、「なんで参加しないの!」と思ってしまうほど、お勧めできる支援プログラムです。
―時枝
「S-Wing!」に参加して1番良かったことは、事業案の解像度が上がったことと、この年齢になって久しぶりに、心から”仲間”と言える女性たちに出会えたことです。「S-Wing!」 のスタートと同時に、slackというアプリケーション上で、参加者同士の交流や情報交換用のチャンネルを用意いただいたのですが、初めは誰も発言しませんでした。ところが対面セミナーを重ねる中で、ランチに行くメンバーが出てきて、slack内でも盛んに質問し合うようになりました。子育て中の方も多く、自分の事業がターゲットにしている属性へのアンケートを気軽に取れたり、同じ悩み・目標を持つ女性に相談できたりと、本当の意味での起業”仲間”に出会うことができました。参加前は会社員を続けながら起業を目指す予定でしたが、えいっと勇気を出して会社を辞め、自分の事業に集中しようと決心がつきました。神戸で起業を目指す人にとっては、絶対に参加することをお勧めします!
最後になりましたが、昨年に引き続き、スタートコース(起業関心層向け)の講師およびメンターを務める工藤さんから、参加を検討中の方へ自己紹介と今年の「S-Wing!」で予定している支援について教えてください。
―工藤(一般社団法人リベルタ学舎 マーケティングコンサルタント)
2005年株式会社ローソンに入社し、店長、スーパーバイザー、商品のマーケティングやブランド開発を担当した後、2015年に子会社ローソントラベルに代表取締役副社長として着任しマネジメントをさせていただきました。現在は早稲田大学商学研究科の博士後期過程に在籍しながら、フリーランスとして、企業の新規事業開発やマーケティングの業務支援を行っています。そして、絶賛子育て中です!
今年度も昨年度に引き続き、神戸市主催で、株式会社神戸新聞社と一般社団法人リベルタ学舎が企画運営をさせていただきます。8月から12月までの5か月間、起業に関する講座の実施に加えて、専門家による個別相談、オンラインコミュニティなどでの参加者同士の交流を支援させていただきます。起業関心層向けのスタートコース(火曜コース20名、土曜コース20名)と、起業済み層向けのアクセルコース(10名)の2つのコースに分けて支援を実施します。今年は、学生や会社でお勤め中の方も参加できるよう、スタートコースは土曜開催枠を用意しました。
スタートコースに関しては、具体的な事業案や資金調達先がなくても、「何か変えたい、変わりたい。」という想いを持っている方であれば、十分ご参加いただけます!私たちが皆さんの秘めたる起業マインドを掘り起こしますので、まずはキックオフイベントにご参加ください。また、参加者同士で気軽に助け合える関係性を早い段階から築いてもらえるよう、昨年度の参加者であるOGにオンライン上のコミュニティマネージャーとして参加してもらい、活発に交流できるような仕掛けも施していきます。
アクセルコースでは、地方での旅館再生事業や複数のスタートアップ、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社にて起業家支援等を行った経験を持つ、一般社団法人リベルタ学舎の渡辺優氏がコーディネーターを務めます。そのほか、各分野に関して専門知識が豊富な支援者によるメンタリングを通じて、ビジネススケールに必要なノウハウを、事業ステージや目標に応じて個別に提供します。実際に資金調達を行うところまで進める参加者を育てたいと考えています。
そこで当事業のキックオフとして、ファイナンス・マーケティングの専門家と先輩起業家による起業・経営基礎講座や交流会を含むイベントを、7月15日(月・祝)13:30~17:30 神戸新聞本社14階大会議室にて開催します。講師は、最近話題の優れた起業家が実践する5つの原則に関する「エフェクチュエーション」の専門家である神戸大学大学院経営学研究科准教授の吉田満梨先生や、りそな総合研究所株式会社リーナルビジネス部長で起業家のプラン策定経験を豊富に持つ藤原明氏、ブランディングの専門家であり神戸における先輩起業家でもあるat FOREST株式会社代表取締役CEOの小池友紀氏。講座の後は理解を深めるためのテーブルディスカッションも予定しています。リアル開催のほか、オンラインでのリアルタイム配信と、後日講義動画の配信も行いますので、詳細や参加方法については当事業のHPからご確認ください。
昨年度実施の当事業に関するプレスリリースはこちらから
・昨年のキックオフイベント告知記事
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000105.000006053.html
・昨年のファイナルピッチイベント告知記事
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000170.000006053.html
・昨年度「S-Wing!」で支援者を務めた先輩起業家と神戸市職員担当者の対談記事(支援者側の想いに迫る)
https://prtimes.jp/story/detail/dxOAMjC3qqb
昨年度の様子
キックオフイベントでのワークショップの様子=神戸新聞社会議室(神戸市中央区)
ファイナルピッチイベントで事業案を発表した参加者とメンター、審査員ら=アンカー神戸(神戸市中央区)
お問い合わせはこちらから
神戸市女性の起業環境整備事業事務局(一般社団法人リベルタ学舎内)
TEL:078-599-9381(受付時間:平日午前9時~午後5時まで)
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