民間だけで継続できるまちづくりイベントを創りたい、20代〜30代をターゲットに過疎地で毎月開催される"新しい"に出会える「ALAガーデン」の誕生秘話
株式会社イツノマは、人口1万人の過疎地、宮崎県都農町(つのちょう)で、『人からはじまる、まちづくり』をミッションに、こどもや若者が主体的に参画できるまちづくりを実践しています。
2022年9月、自社直営事業として、5,000㎡の耕作放棄地にある2件の空き家と1台のトレーラーを改修、「まちづくりホステル」をコンセプトに掲げ、HOSTEL ALAを開業しました。
2024年4月より、HOSTEL ALAの敷地を利用して、過疎地で新しいコトをはじめたい人たちが気軽に集まれる定期イベント”ALAガーデン”をはじめました。
今回、イツノマの執行役員、渡邊佳に、"ALAガーデン”をはじめることになった舞台裏や、企画への想いについて話を聞きました。
町長交代を機に終了してしまった「みちくさ市」、行政に頼らず私たちができることとは
イツノマでは、こども参画まちづくりプロジェクトの一つとして、昨年度、都農町の商店街にある町有地を活用、花とみどりで商店街を元気にするイベント「みちくさ市」の企画・運営をしてきました。小学生のゼロカーボン推進チーム『GreenHope』のメンバーを主催者に加えて、企画から運営まで、子どもたちと一緒に年間9回のイベントを創ってきました。「みちくさ市」は町の人たちの協力もいただき、毎回500人前後の町民が集まっていました。
ただし、昨年9月の町長交代を機に、町の方針が変わり、「みちくさ市」は終了することになったんです。せっかく、町の人たち、特に子どもや若者世代が楽しみにしてくれていたので残念でした。
私たちとしてできることはないか?1年間培ってきた企画や運営のノウハウを活用できないか?と3ヶ月ほど試行錯誤。行政と一緒に連携するいい面はありつつ、行政側の一方的な事情で、継続が困難になったため、民間だけの判断で継続できるよう、私たちが経営するHOSTEL ALAの敷地を活用し、新しい定期イベントを実施することを決めました。
4/13(土)に第1回を開催したのが、今回ご紹介する”ALAガーデン”です。
都農町が今一番必要としている20代・30代の「新しいコトを起こしたい人」へ、”ALAガーデン”を発信
「みちくさ市」は、行政と一緒に取り組んだこともあり、ターゲットは自治会を中心に幅広い層の都農町民を中心にしていました。
”ALAガーデン”は、私たちがいま一番町に必要だと感じているターゲット、20代・30代で新しいコトを起こしたい人に絞りました。
私はいま27歳なのですが、都農町の男女別年代(5歳)別のカテゴリーで、25ー29歳女性は166人(2021年1月1日時点)しかいなく、全カテゴリー中、最も少ないのです。
神戸市から移住して2年、仕事は充実していても、日常的に新しいコトやヒトに出会える機会が少ないため物足りなさを感じてました。仲間が欲しいな!と。そう感じているのは私だけじゃないんじゃないかな?と思いたち、企画を進めてきました。
町の誇りでもある都農ワインをきっかけに、新しいコトやヒトに出会える”場づくり”
「新しいコトを起こす」を全面に出すと参加するハードルがあがってしまうかなと思い、都農町の誇りでもある都農ワインを片手に、屋外で気軽に参加できる「都農ワインガーデン」を前面に出しました。
HOSTEL ALAのゲストは都農ワインを楽しみに町外から来てくれますが、町内は焼酎文化が浸透してて、都農ワインを気軽に飲める店が意外と少ないんです。ALAガーデンで都農ワインを気軽に飲みながら、新しいコトやヒトに出会えるきっかけになれれば、とイメージしながら場づくりをしていきました。
お互いの企画実現を願う「まちづくりカレッジ」、20名限定のアイデア交換会
”ALAガーデン”のメインプログラム「まちづくりカレッジ」はトークゲストを交えて希望者が自分の考えてる事業やまちづくりについてプレゼン、参加者同士でフィードバックやアドバイスをします。
お互いのことを認識でき、一体感を持てる規模を考え、20名限定のプログラムにしています。
初回のゲストは、延岡メンマの江原太郎さん。
江原さんは延岡出身で、東京農業大学卒業後、東京の農業ベンチャー勤務後、Uターン起業。実家の放置竹林の活用として延岡メンマを企画・製造。国際線のファーストクラスの機内食で採用、延岡市民のギフトとしても販売好調で、事業はメンマにとらわれず古民家を活用した宿泊施設などにも展開。”ALAガーデン”が目指す「新しいコトを起こす人」のロールモデルとして、口火を切っていただきました。
”ALAガーデン”では、毎回、参加者の中から希望者は自分の企画をプレゼン、参加者同士で意見を出し合い、少しでも企画の実現に役立てられればと願ってます。
宮崎市役所を退所し、4月にグラフィックレコーダーとして独立した小川綾さんからプレゼン、早速、その日の話し合いの様子をその場でつくっていただき、参加者一同から感動の声が。
私(渡邊)自身も、進行役にとどまらず、空き家改修の企画・デザインについてプレゼンさせてもらいました。
都農町を好きになってもらいたい、4年間実践してきたまちづくり
”ALAガーデン”は過疎地のまちづくりベンチャーが主催するイベントなので、プレゼンや交流だけにとどまらず、都農町のことをよく知ってもらい、自慢の都農ワイナリーツアーもご用意し、都農町を好きになってもらう人を一人でも多く増やしてしていくことが目標です。
ツアーでは、イツノマ代表の中川から、都農町の紹介、起業して4年間実践してきた都農町のまちづくりについて細かにお話しさせてもらっています。
都農ワイナリーツアーでは、都農ワインの創業醸造家で前社長の小畑暁さんから直々に、ブドウ畑から醸造工場までご案内いただいています。
高温多湿でワイン不適格地と言われていた都農町で年間20万本以上のワインを生産・販売するにいたった経緯をリアルに共有いただきます。
打ち上げ花火で終わらせない、新しいことを起こしたいときに参加してもらえる場を目指して
ALAガーデンの企画をはじめる際、前提にしていたのは毎月開催し続けること。
お祭りやイベントのような打ち上げ花火で終わらせることなく、宮崎県近郊で、新しいコトを起こしたいなと思ったら参加してみようと思える場を目指しています。
新しいコトを起こしたい人が交流を深める。
◆屋外でお手軽に「都農ワインガーデン」を楽しみ
◆「まちづくりカレッジ」で新しいコトの起こし方を話し合い
◆話し足りない人はそのまま宿泊、時間を気にせず語り合い
◆翌日は、都農町を満喫するツアーへ!
こんな流れで、毎月定期開催をしていきます。もちろん、「都農ワインガーデン」だけ、「まちづくりカレッジ」だけ、など、関心や都合にあわせて自由に参加できるイベントにしています。
5月18日(土)「まずは都農ワインを飲みながらご参加を」。参加者と一緒に新しい企画を作っていきたい
6月15日(土)は、東京から毎年2回、スタディツアーで都農町を訪れる新渡戸文化高校の高校生と一緒に企画・運営を予定しています。
これからも、毎月、新しい企画を参加者と考えながら一緒につくっていきたいと思ってます。難しいことは抜きに、まずは都農ワインを一緒に飲みに、一人でも多くの方のご参加をお待ちしてます。
ALAガーデンの開催概要
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