日本酒メーカー「日本盛」が手掛け35周年を迎えた「米ぬか美人」。口コミで広がり、初年度500万円の快挙を達成した化粧品の誕生秘話
若手女性社員1人の上申書1通によって36年前に始まった日本酒メーカーの新規事業の化粧品。酒屋の奥様の口コミで広がった洗顔料からスタートし、日本盛の第2の柱となる「米ぬか美人」ブランドのこれから。
ー通販事業部 課長 河村 明子(かわむら あきこ)
日本盛は明治22年に創業の今年で135年を迎える日本酒メーカーです。日本酒業界では300年・400年と歴史のある企業が多くその中では新参者のため、胡坐をかくことなくどんどんチャレンジしようという精神があります。
「米ぬか美人」は、酒造りの過程で米の外側を削ったときにできる副産物である”米ぬか”は肌に良い。この米ぬかを使って肌にやさしい化粧品を作れないかとアイデアマンで有名な一人の営業社員が提案したことがきっかけとなり、日本酒の研究室の入社2年目の女性社員が「米ぬか洗顔料」を実現させました。肌が弱く普通の石鹸が使えなかった学生の頃に、おばあちゃんが作ってくれた黒糖と米ぬかを混ぜた“ぬか袋”を洗顔に使っていた経験があり、 “これは私と同じ悩みを持つ女性がきっと喜んでくれる化粧品になるに違いない”という確信をもって商品開発に挑みました。本ストーリーでは、なぜ日本酒の会社が化粧品販売を実現できたのか。その理由とお米の美容効果についてお伝えいたします。
高品質と高評価データを元に上申書に思いを込め、それがきっかけとなり商品化実現へ
「なぜお酒の会社が化粧品を売らなければいけないのか」と社内では反対の声も多く、商品開発委員会では一度ボツになりました。ただ、その若手研究員は諦めずに当時の女性社員やその家族、友人など多くの女性に何度も何度もモニターを行い、品質の高さ、思った以上の高評価を示すデータを集め、1通の上申書に思いを込め、それがきっかけとなり再度委員会に諮り実現にいたりました。
古来より「酒造りに携わる杜氏の手が白くきれい」で「米のとぎ汁で顔や身体を洗うとつるつるになる」など昔からお米には美容効果があり、人々の暮らしの中の身近な美容素材として日常的に使われてきました。 米ぬかは油を搾ることが出来るほど油分が豊富で、ビタミンB1やガンマオリザノールというお肌に良い成分が多く含まれていることが分かっています。また、日本酒を造る過程では米を30%~50%ほど磨くことから日本酒を造れば造るほど、米ぬかは多く出来ます。大量の日本酒を製造していることや酒造りの品質を高く管理するために常に新鮮な原料を使用しようと独自の精米工場を持っているため、新鮮な米ぬかが大量に入手できることからも米ぬかを使った化粧品を作ることに繋がりました。
酒屋の奥様から大反響を頂いた「米ぬか美人洗粉」初年度売上500万円達成
1987年4月。主となる米ぬかに、天然ヤシ油系石鹸、アロエや海藻エキスをブレンドして使いやすい1回分のスティックタイプ(顆粒状)にした「米ぬか美人洗粉(あらいこ)」を発売しました。ただ、これまで日本酒しか販売した経験がなく化粧品の売り方を全く知らなかったため、お酒を納品する際に“一升瓶より場所取らないから”とお願いしてレジ横の陳列場所をいただき、まずは酒屋の奥様にお使いいただくことから始めました。サンプルを使用された奥様方から「これはいいわ。やさしい米ぬかの香りがしてお肌によさそう。お客様にもお勧めするわね」と高評価をいただき、口コミであっという間に広がりました。そして、たった1日で販売初日に用意をしていた在庫がなくなるという大きな反響を呼び、初年度の売り上げ目標500万円という年間分を売上げるという快挙を成し遂げました。
ー「米ぬか美人洗粉」個包装のスティックの中に洗顔用の顆粒が入っています。
さらに酒造りに使用している「宮水(みやみず)」を使用した化粧水を1989年5月に発売するなど、化粧品事業として形になっていくこととなりました。
化粧品をきっかけに広がるコミュニケーションと通販事業の拡大
今のようにスーパーやドラッグストアなど多種多様な販売チャネルがなかったことから
酒屋に置いてもらったことで、結果的に酒屋の奥様とお客様のコミュニケーションツールとして口コミで広がりました。“米ぬかや日本酒がお肌に良さそう”というイメージが、当時の主婦層にあったのだと思います。実は私自身、10代の後半はニキビで悩んでいて、当時お付き合いのあった近所のお酒屋さんから「よかったら娘さんと一緒に使ってみて~」と勧めてもらい、良さを実感していたユーザーの一人です。それから20年後にまさかその化粧品をお客様にお勧めする側になるなんて、本当に奇遇ですよね。
米ぬか美人をもっと多くの方に届けるために、通販事業をスタート
大変ありがたいことに、酒屋で米ぬか美人が品切れになってしまうと、直接弊社へお客様から問い合わせが入るようになりました。そのたびに細々とお送りしていましたが、事業として立ち上げようと決めて、1999年に「サンプルの有料販売」の広告から通販事業としてのスタートを切りました。そして問い合わせが多くなる中で、酒屋に卸している商品とは別に、通信販売専用の「米ぬか美人NS-Kシリーズ」を作り、2000年から本格的に運用を始めました。
ー左から「米ぬか美人」「NS-K」「うるおい」「NS-Kスペシャル」
現在では4シリーズまで成長するブランドに
ー毎月お客様にお届けしている通信販売カタログの「花さかり」
今でこそ異業種からの化粧品への参入は多いですが、当時はめずらしく、新聞広告を出せば電話が鳴りやまないほどご注文をいただき、「酒蔵発の化粧品のパイオニア」と言われてきました。さらに、当初から自社でフルフィルセンターを持つことでお客様の声をダイレクトに聞ける仕組みを作っており、様々な新商品開発やサービスの向上、販促企画などに活かしています。
日本盛の化粧品で初めての試み、アロマオイルを配合した35周年記念商品「米ぬか美人ハーバルオイルエッセンス」
「ハーバルオイルエッセンス」は2022年に35周年を記念して発売した商品です。肌なじみの良い美容液とオイルの2層仕立てで、化粧水の前に使うことで固くなったお肌をやわらかくほぐしてくれます。閉塞感漂うコロナ禍に、お客様に少しでも毎日のお手入れを楽しんでいただきたいと考え、これまで35年間無香料だった日本盛の化粧品(※)の歴史の中で初めて、オレンジ果皮油やラベンダー油などのアロマオイルを配合し、天然精油のみで香りを楽しめる化粧品を発売しました。※スキンケアとして
化粧品への願いとこれからの挑戦、日本酒の会社ならではの強みを活かしていく
日本盛という日本酒の会社だからこそ、米ぬかや日本酒酵母を新鮮に入手できるのが強みです。米ぬかや酵母、糀の扱い方についても一日の長がある。そうした独自の天然成分が、お肌の保湿力を守れることをもっと多くの方々に知っていただきたいと思っています。
そして私の仕事は「お客様がおしゃれを楽しんだり、趣味を楽しんだりして、毎日をイキイキとお過ごしになれるよう、いくつになっても、どの季節でも、お客様が調子の良い素肌でいられるお手伝いをすること」だと思っています。
基礎化粧品ももちろん多くのお客様に使っていただきたいのですが、コロナ禍が明けたこれからは、3年前に発売した、“つけている間じゅう、スキンケアできるメイクブランド”の「ケセラセラ」を多くの方に使っていただき、人生100年時代を毎日楽しく過ごしてほしいと願っています。
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