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『ママの“すみませんが0”の場所。』が当り前の様に無い、社会に驚いた。一人のママ・一人の女性として立ち上げると決めた「結家」の創業ストーリー

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36歳で結婚、39歳で初産を経験した私が驚いた、

子育てと社会生活両立の現実。

女性の生き方や社会の構図に疑問を抱いた時

「今だけだから、一過性のものよ」と先輩達の言葉に自分を誤魔化しながら苦しくなった。

子育てに自分を振り切った時、3年〜10年の自分の人生を一過性と片付けるのか?

子供が巣立った時に自分に残るものはあるのだろうか?

結婚する余裕もなく積み上げてきた自分の社会でのキャリアは?

1年のブランクでも戻れる気がしなかった。

3年、10年経った時の自分はもう社会からは遠く離れたところにいるのだろう。。そう思った。

何かを始めたい。今の等身大の私に出来ることを。。そんな風に想い始まった挑戦でした。

川越の古民家をリノベーションして「カフェ、一時預かり専門託児、一棟貸し宿、シェアサロン」の4つのコンテンツからなる複合施設を、ただの営業経験者の素人が、ママになった事をきっかけに始めたストーリーです。

『子育てが社会にもっと溶け込む世界を作りたい。』

出産をして私達夫婦の元に来てくれた娘は格別に可愛い。

幸せが毎日そこかしこに飛んでいる。

一方で、幼い子供と共に過ごす日常は、これまでの日常で当り前に行けた場所、

当たり前に出来ていたおしゃれ。当たり前に過ごしていた日常の殆どが無くなってしまった。

美容院に行けない。ネイルサロンに行けない。友達と会うための移動もランチも何かしようとすると、周囲に迷惑がかかる。気が付けばいつも「すみません。すみません。」と言って過ごしていた。

20代から30代前半の私は、仕事と社会に自分の時間を全て傾けていた人生だった。

それは自分で選択していたとても充実した楽しい煌びやかな時間。

不満はなく、一生こうして生きていくのだろうと思ってた。

キャリアを上げていく事も楽しいし、男性も女性も関係なく営業成績だけで

評価される環境は、自分の頑張りも結果も成果として現れやすく楽しく夢中だった。

そんな私が結婚をして、出産をして、社会と離れる事を選択した。

川越の義実家に嫁ぐ事や、営業という職種柄、両立は為し得ないと思った。

全て自分でしてきた選択。

退職も自分の前向きな選択。

それでも苦しかった。

結婚や子育てはこんなにも自分の大切なものを手放す事なのだろうか?

いつも「すみません、すみません」と言って過ごす日々。

娘と私と家族という世界観では勿論幸せいっぱい、でも一歩外に出ると社会に取り残され

どこか別世界の物語の中だけで生きている様に感じた。

「すみません。すみません。」

子育てが社会にもっと溶け込む世界を作りたい。

ママのすみませんが0の場所。をまずは作ろう。

ママだけど私でもある。と自信を持って言える場所を作ってみよう。

【0歳育児中、生後6ヶ月の娘がいる今】だからこそ立ち上げると決めた日。

そんな想いから始まった結家プロジェクト

川越ならではの物件と出会った時は、娘は生後半年。

無理だよな〜。と何回も自分に言い聞かせながら、、

今やらなければ10年やらないな。

と直感的に感じていた。

今だから感じる気持ちを、形にしないときっと忘れていくのが子育てだ。

だからこの時期の子育て環境は社会に整備されていないのではないか?

『良し、やるぞ。ムチャしてやろう。


打ち合わせはいつも抱っこ紐に娘を連れて

打ち合わせのアポイントを不動産会社の方や、古民家再生の街づくりをしている80%という会社の方々と取り付けた。

そこで初めて

「あ、打ち合わせも全部娘と一緒だよね?」と気付く。

メールで娘も同席になる旨を伝え、当日ははじめての緊張感で向かった。

「どんな顔されるだろうか。。」

階段を登ったフロアに3人の男性が居た。

「こんな非常識な、、娘同席の打ち合わせで申し訳ございません」

一言目にそう言った私に間髪入れず

「何をおっしゃいますか!この姿で今日ココまで足を運んで下さった。この姿が全てですよ!!ありがとうございます!と言いたいですよ」

そんな風に言ってくれた先輩方の言葉に涙がジワリと出た。

「一歩踏み出して良かった。やれるかもしれない。」


日本人らしい気遣いや思い遣り、風情を感じる古民家物件への出会いが決意に変わった。

結婚を機に嫁いだ川越という土地は、私の故郷の横浜や、それまで住んでいた東京とは大きく違う文化や、風土があった。

優しい日本人らしい古風な気遣いや、思い遣りに溢れた方々

古き良きも大切にした風情、情緒溢れる街並み

少し郊外に行けば、綺麗に残された田園風景

こんな素敵な場所が都内から30分であったなんて!!大好きになった。

もしもこの場所で何かを興すなら、古民家リノベーションに拘りたい。

そんな風に思っていた時に出会った物件。

川越はいい意味で古い街並みが大切に残されている為、ベビーカーでいける場所(大きな商業施設の様な場所)や、オムツ替え、授乳スペースが少ないと日々感じていた。

古民家は土間でフラットな地面と、小上がりの座敷があり、子育て中の私の目には輝いて見えた。

「川越の情緒を感じながら、子育て中のママ達が集まる場所に絶対になるはずだ。」

この物件との出会いも全て、今しかない。と思えたきっかけだった。

約2年のブランクは自分の自信を根刮ぎ奪う。産後復帰の壁。


いざ、打ち合わせや企画を進めて行くと自分の無力さとブランクによる判断力の無さに愕然とした。

そもそもただの営業だった訳で・・勢いしかない自分。

ココから私が飲食、宿、託児を立ち上げていくというのは

ただの素人の夢物語でしかないのだ。

メールのレスポンス一つとっても動きが遅い。


一緒に立ち上げたい!!とキラキラした目で賛同してくれた若き才能達も

中々進まない企画や、私のケア不足から離れていってしまう事も続き、、どん底に落ち込んだ。

「あれ?なんでこんな事に手を出してしまったのだろう。。」

「もう、既に社会復帰は手遅れなのでは。。」

そんな風に後悔も頭をよぎりながら、保健所や消防に通いつつ様々調べて進めていた

子連れでの移動は、子供の寝るタイミングと車での移動と、ベビーカーへの移動で起きてしまったりと、、中々思う様に進まない日々だった・・

そんな中で、消防法の確認の為、消防署に伺った時の事だった。

たまたま、新任の女性課長の方が担当して下さった。

「まだ着任したばかりで名刺もできてないんですよ。」なんて言いながら自己紹介をしてくださった。

『子育てを経て、男性社会でこの歳で課長になられた』という背景を詠むだけでも、なんだか沢山話してみたいと思ったし、心強かった。

その彼女が説明が一通り終わった時に私に伝えてくれたのだ。

「お子様小さいのにすごいですね。私の子育て中にもこんな施設が欲しいな。と当時思ってたのよね。でも私には実現できなかったから。応援してます。」

またもや。。ジワリ涙が出てきた。

この日も当然ながら子供を同伴で向かった。生後半年を過ぎて10ヶ月頃、段々と抱っこ紐の中では収まってくれないのだ。

申し訳ないな、、とこの日も思いながら向かったのに。

「応援してます。私の時代にも必要だった。」

その言葉に全てが詰まっていると思った。

「やっぱり間違っていない。今、このまま素人だろうが何だろうが、勢いでもやってみよう」

4事業を一気に。素人が立ち上げる。。という無理難題

一時預かり専門託児、カフェ、一棟貸し宿、シェアサロンの複合施設を作ることが決まった。

それは、家賃と川越の一番街商店街から徒歩5分の住宅街に立地したロケーションを鑑みた時に、地域の方々と観光の方の両軸を巻き込む必要がある事。

建物に沢山働いてもらう事が最重要になる。

という営利的な視点が前提にはあったものの、私が0歳児を抱える日々の中で必要だと感じた、欲しいと感じたコンテンツをそのまま形にしたものだった。

とはいえ、、4事業を立ち上げるのは無理でしょうと反対も多かった。

さらに子育て中と来たもんだ。

仰ることは痛い程、分かる。でももしも独身時代の私ならこの無理難題を避けずに先ずは走りながら考えるだろうと思ったのだ。

「子育てを理由にした後の自分の後悔を背負って、子供と向き合えない」

単純にそう思った。

ココからは、足りない知識を足りなさすぎるリソースを補填してくれる人と兎に角繋がる度に、相談と協力をひたすら続けた。


ママだけじゃない出産後の葛藤。パパが感じている家庭と社会のバランスの難しさが鍵に。

実際に沢山の方に、想いと共に事業概要を伝えて何とか形にしたい

と話して行くと、男性からも多くの支持が集まってきた事に最初は驚いていた。

子育てを経験した男性の多くが同じ様に、家庭と社会のバランスの難しさを感じていた。

更に、育休を取得した男性は女性以上に社会での肩身の狭さを体感していた。

「なるほど。。今の時代だと男性が育児に参加する事の方が苦しいのだろう」

社会が転換期だからこそ、新たな育休という仕組みはまだ環境に依って重さが違う。

中には育児と社会のバランスを取るために独立したという方も少なくは無かった。

私はファーストメッセージとして

『ママの“すみませんが0”の場所』と発信しているが、このママというラベルは時代遅れになる未来に期待した。

一級建築士、デザイナー、ゲストハウスオーナー、市役所の子供未来課の職員の方、大家さん、不動産業者、現役保育士の方々、料理家の方、沢山の方が賛同の気持ちとともに知恵を貸して、気持ちで協力を惜しむ事なく参加してプロジェクトを作り上げてくださった。

出産は人生のリセットボタン。今の私だからプロジェクトを形に出来た

この事業を立ち上げようと決意した時、私は出産や結婚で多くの物を手放した。

という事に苦しく思っていた。

でも今現在、この事業を形にして走り出してる今思うのは

『出産、育児は人生のリセットボタンを娘が押しにきてくれた」と思っている。

人生の中で物理的に時間的に変化する事を迫られる時。

これはこれで、大変ありがたい機会なのだと体感している。

以前の私なら、こんなにも他力に頼って仕事を出来なかっただろう。

今、他力を自分の動力に繋げて多くの人達と楽しんで事業をつくれている事は地域コミュニティとの連携とも繋がり、子育てをきっかけに更に彩りを広げられている今に感謝している。

現在は、川越を超えて多くの地域から問い合わせや反響をいただき

雑誌に掲載していただくなど、少しづつ賛同の輪が広がっている。

今はまだ『ママの“すみませんが0”の場所』を立ち上げたところだが、

子育てが社会に溶け込む世界を少しでも広く形にしていきたい。






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