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新“やみつきエンドレス製法”で、もっとやみつきで夢中になる味わいに。「湖池屋プライドポテト」が進化を続ける理由

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2017年2月の発売から7年、スナック市場にプレミアムという概念をもたらし、定番ブランドにまで成長した「湖池屋プライドポテト」は2024年2月12日、製法と味付けを大幅に改良した全4アイテムを発売しました。ブランド全体に及ぶ大々的なリニューアルを敢行した理由は、日々変化し続ける消費者のニーズに応えるため、「プライドポテト」に求められる次なるステップが見えてきたからです。



●「プライドポテト」を“遠い存在”だと感じる人たちがいた

「湖池屋プライドポテト」の品質・こだわり・贅沢感・大人向きといったイメージがポテトチップスユーザーの間で十分に浸透しているのは、調査から明らかでした。一方で、ある種のポテトチップス好きが「プライドポテト」を“遠い存在”と感じていたのも事実です。


マーケティング本部 マーケティング部 第1課 主任の安田望によれば、彼らは「プライドポテト」を「お上品」というイメージで捉え、自分向けの商品だと感じてくれていなかったのです。やるべきは、「ポテトチップスは好きだけれど、まだプライドポテトが届いていない層」に向け、もっと情緒的で親しみやすい接点を作ることでした。


また「プライドポテト」登場以降の7年間で、国内ポテトチップス市場は多様化を極めました。味や形状のバリエーションが増えただけでなく、「プライドポテト」が先鞭をつけたプレミアムポテトチップスの領域にも、多数の競合商品が登場したのです。その中で「プライドポテト」を選んでもらうには、“差別化された常習性”のある味覚強化が急務でした。


つまり、情緒というソフト面、味覚強化というハード面、両面からのリニューアルが求められていたのです。



●ヒントは人気チェーンのフライドポテト

「プライドポテト」はもともと、製法上のこだわりを全面に打ち出した商品です。国産芋100パーセントの旨味を残すために湯水で洗い流さない、3つの温度帯で揚げる神業(かみわざ)食感、揚げ後に噴霧する掛け油とシーズニングで2段階の味付けを施す。今回のリニューアルでは、これらはキープしたまま常習性のある食べ心地を追求しました。それが「やみつきエンドレス製法」です。


そもそも、ポテトチップスの「やみつき感」や「常習性」はどこから来るのでしょうか。プロダクト開発部はそのヒントを、とあるフライドポテトに見出しました。R&D本部 プロダクト開発部 第一課 課長の宮地彩は、「誰もが認めると思いますが、そのフライドポテトには、明らかに他社より優れたやみつき感があります。調べてみると、揚げ油の一部に牛脂を使用していることがわかりました」


ポイントは牛脂、つまり動物性のうまみだと考え、プロダクト開発部は早速「プライドポテト」に応用しました。揚げ後に噴霧する掛け油を、従来のオイルから動物系のコクがあるオイルに変更したのです。効果は抜群でした。



●神業食感の高みを目指す

チップスの食感も強化しました。揚げ方自体に変更はありませんが、目指すべき食感の精度を極限まで上げたのです。


ポテトチップスの原料であるじゃがいもは野菜、つまり生ものなので、毎回同じように調理しても同じようには仕上がりません。品種、産地、収穫時期によって個体差が生じますから、工場ではカットの厚みや揚げの温度をその都度細かく調整する必要があるのです。調整を怠れば、すべての商品が同じレベルで最高の食感にはなりません。


そこで、目指すべき食感について開発メンバーと工場長たちが話し合う会議を月に1回のペースで開催することになりました。通称「神業食感会議」です。参加したマーケティング本部 マーケティング部 第1課 課長 高戸万里那は、揚げ技術の奥深さに驚嘆しました。


「芋の個体差による違いはもちろんのこと、工場のラインの動き始めと終わりでも、出来上がるチップスの食感が違うんです。そんな微妙なところまで調整を追い込み、全工場でより理想的な食感を追求しています。ここまでいくと、データだけで表せるレベルではありません。言ってみれば官能の領域です。長年の経験と感覚を元にメンバー全員が官能のレベルで神業食感だ、と思える精度を追求しました」


神業食感を一言で表すなら、「フラット(通常のポテトチップス)とケトルフライ(堅めのがっしりしている食感)のいいとこ取り」。そのハイブリッドたるサクッとした絶妙の崩壊感を、プロの技、職人レベルで追求したのが新生「プライドポテト」なのです。



●全面改良した「塩」「のり塩」「黒胡椒」

リニューアルした「プライドポテト」の味付けは4種類。そのうち、「ぞっこん岩塩」「神のり塩」「通の黒胡椒」は既存フレーバーの全面改良版ですが、それぞれに強いこだわりあります。


以前の「プライドポテト」にラインナップされていた塩味は「美食の岩塩」でしたが、今回「ぞっこん岩塩」に名称ごと変えました。やみつき感のある、うまみの強い塩味に変貌しているからです。その秘密は、豚や牛の持つ味わいを加えたことで、食べ始めから食べ終わりまでうまみを持続させられるのです。口に入れた瞬間もしょっぱすぎません。


2020年のリニューアル以降、人気フレーバーであり続ける「神のり塩」も、味付けを大きく変えました。それまでは焼のりやごま油による、どちらかと言えば強めの香ばしさを特徴としていましたが、リニューアルにあたっては、青のりを使用した華やかなで香り高い味わいを目指したのです。これは、湖池屋の看板商品でもある「湖池屋ポテトチップス のり塩」の王道的な味付けの方向性に近いものでした。


「通の黒胡椒」は、魚介のうまみに、黒胡椒が鼻に抜ける香りを強調する設計としました。ペッパー系のポテトチップスは根強い人気の競合商品が市場に存在しますが、例えばそちらが「濃いめ、強めの味付け」なら、こちらは複層的な料理感を意識しています。既存の他社商品とは明確に別の方向性とすることで、ユーザーの選択肢を増やしたわけです。



●1枚食べての満足ではなく、1袋を食べての満足

「3つのフレーバーのうち、シンプルゆえに一番難しかったのが塩」と高戸、安田、宮地は口を揃えます。常習性のある、忘れられない塩味にするにはどうすればいいのか?困っていた時にヒントとなったのは、現R&Dセンター部長の「香りにフォーカスする素材を入れるのはどうか」というアドバイスでした。具体例をいくつかもらい、それをヒントに試行錯誤を重ね、たどり着いたのが香味油でした。


「神のり塩」のやみつき感は、配合率を変えた海苔を複数種類ブレンドすることで作り上げました。宮地はその仕組みをこう説明します。


「単一の青のりだけを使用すると、塩と同じく咀嚼の後半で味がなくなってしまう。かといって、後半まで味が溜まりすぎてしまうと、1枚食べてもういらない、となります。なので丁度いい味の残り方になるように加減しました」


1枚食べての満足ではなく、1袋を食べての満足を重視すること。これは「神のり塩」に限らない、「やみつき感」の重要なエッセンスです。

●週末のご褒美「踊るイベリコ豚」

さて、既存フレーバー改良版ではなく、まったく新しい味を「プライドポテト」に追加するなら、一体何がいいのか。そのヒントはグループインタビューで聴取した意見にありました。「ポテトチップスはとっておきのご褒美だから、しっかりした味のものが食べたい」「平日は塩やのり塩、週末は“ご褒美”として濃い味付けが食べたい」


実は、「プライドポテト」に距離を感じている消費者の中には「味が薄そう」という声もありました。であれば、狙うべきは「週末の“ご褒美感”を想起する濃い味」です。それは肉系のフレーバーでした。


ポテトチップスの肉系フレーバーといえばコンソメですが、ポテトチップスユーザーは新規性のある味でないとなかなか新しいブランドに手を出さない傾向があるため、もっとプライドポテトらしい、ハレ感や特別感を醸すフレーバーを探すべきなのではないか?と考え、マーケ・開発チームは好きな肉料理を次々とあげていきました。「死ぬ前に最後に食べたい肉料理ってなんだろう?」「いちばん美味しそうな肉って?」そんな会話から出てきたのがイベリコ豚です。


スペイン原産のイベリコ豚といえば生ハムも有名ですが、目指したのはグリル感。ステーキやBBQを想起させる「焼いた感じ」です。イベリコ豚の脂の甘さやコク感を表現しつつ、オリーブオイルや香草の香りを添える。複層的な味付けですが、ひとつひとつの素材の味はわかりやすい。豚というより豚料理。こうして新フレーバー「踊るイベリコ豚」が誕生しました。ポテトチップスをとっておきのご褒美に食べる、という方にこそ届くフレーバーです。



●どんなポテトチップスを食べる自分でいたいか

これらリニューアル4アイテムのTVCMには、山﨑賢人さんと新木優子さんを起用しました。テーマは「夢中」です。ポテトチップス好きを自認している人たちに、「私が夢中になれるポテトチップスって、どんなものだろう? 食べてみたい!」と思わせる世界観を意識しました。これが、冒頭で述べた情緒的で親しみやすい接点です。


消費者があるブランドを選ぶ理由について、高戸にはこんな持論があります。


「今は、いいものが当たり前の時代です。基本的にどんなものでも美味しい。そんな時代に、『プライドポテトは美味しいです、こだわっています』といくら言ったところで、もはやお客様には響きません。お客様がブランドを好きになる理由は、そのブランドが持っている人格、パーソナリティみたいなところにあるのでは」


ブランドが持つパーソナリティは、ブランドが醸す世界観とも言えるでしょう。アパレルでたとえるなら、人はそのブランドの世界観に共感して、そのブランドの服を着ます。「どんなブランドを着る自分でありたいか」で服を選ぶように、「どんなポテトチップスを食べる自分でいたいか」でポテトチップスを選んでほしい。そんな想いが、今回のリニューアルには詰まっているのです。






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