フジテレビで放送された『古畑任三郎』シリーズ(1994年~2006年)を始め、多くのテレビドラマ・映画に出演した田村正和さんを偲ぶ、ライター対談企画後編。彼の大ファンの編集者・信子(現在アラフィフ)とライターの庸平(現在38歳)が、田村さんを偲んで語り尽くす。
今回は、テレビドラマの主役を演じることにこだわり続けた、田村さんの生き様について深堀りしていく。
対談前半<『ニューヨーク恋物語』『古畑任三郎』編>はこちら!
<信子&庸平の田村正和さん追悼対談 パート2>
――前回は、『ニューヨーク恋物語』と『古畑任三郎』について語っていただきましたが、改めて田村さんのキャリアを振り返ってみると、本当にいろいろな作品に出演されていますよね。
庸平:『古畑』がシリーズ化したのは、正和さんの作品への愛があったからだと思うんですが、同じく続編が作られた『さよなら、小津先生』(2001年、04年/フジテレビ)も、僕は大好きでした。
信子:『小津先生』は高校のバスケットボール部の顧問という役柄でしたよね。
庸平:そうです。家族を顧みない元エリート銀行マンで、水川あさみさん演じる娘から「幽霊みたい」って言われるんですが、小津は最初、なんで自分が幽霊と言われたか理解できないんです。でも教師になって、自分と同じように家族と関わっていない父親と出会うことで、初めて娘の言っていた意味を理解する。伏線の回収の仕方が見事で、衝撃を受けた作品でした。
信子:『総理と呼ばないで』(1997年/フジテレビ)も面白い作品でしたよね。キャラクターに名前がなくて、役名は「総理大臣」とか「官房長官」とかで。
庸平:正和さんは『総理〜』も、続編をやりたかったそうですよ。きっと、三谷幸喜さんの脚本がお好きだったんだと思います。
信子:私は『協奏曲』(1996年/TBS)がすごく好きだった。物語の冒頭、木村拓哉さんと宮沢りえさんが浜辺にいたら、タキシードを着た正和さまが海から上がってくるの。
庸平:すごいシチュエーションですね。
信子:どこから来たの?って突っ込みたくなるんだけど、正和さまがあまりにカッコいいから許される。あと、『じんべえ』(1998年/フジテレビ)も面白かったな。松たか子さんが、血のつながっていない娘役で。原作があだち充先生だから、ちょっと「みゆき」(血のつながらない妹と同級生の間で揺れ動く高校生の恋を描くあだち先生の代表作)っぽい雰囲気があったのよね。
庸平:正和さんのドラマは“オトナのドラマ”ってイメージだったから、幼かった僕はあまり見ていないんです。信子さんの話を聞いていると、これを機に見てみたくなりますね。
――ところで、信子さんは現場で田村さんにお会いしたことがあるんですよね?
信子:はい。スタジオで、正和さまがいつも座っているディレクターズチェアを見た時は感動しました!現場でおしゃべりしたりすることもなく、撮影が終わったら、“正和チェア”に座って、モニターをじっくりご覧になっていました。
庸平:現場で台本を読まないとか、NGをほとんど出さないという話も聞きますよね。『パパはニュースキャスター』(1987年ほか/TBS)の脚本の伴一彦さんによると、台本に書いてあるセリフは、絶対に変えなかったそうです。
信子:台本を持たないのは、努力している姿を見せたくないという美学なのでしょうか。取材中、ドラマの撮影の邪魔にならないようにカメラの後ろ側にいたんですが、それでも、スタッフから「田村さんの視線に入るから、移動してください」と言われたんです。正和さんの超一流のプロ意識に対する、スタッフの敬意が伝わってきました。
「子どもたちに振り回される、情けない父親の役をやらせるのか」
庸平:脚本が面白ければパンストも被ってくれるくらいの方ですから、現場をピリつかせるという感じじゃなくて、いい緊張感があったんでしょうね。
信子:『パパはニュースキャスター』の八木康夫プロデューサーは、企画を持っていった時に、「子どもたちに振り回される、情けない父親の役をやらせるのか」って言われたんですって。でも台本を読んで、「面白かった」って受けてくれたそうですよ。
庸平:きちんと本を読んで、面白ければ出るっていうのが、カッコいいですね。『パパは~』の後に、立っているだけで色香がダダ漏れる『恋物語』をやって、今度はお色気ゼロの『古畑』で新たな境地に挑む。
キャリアの流れを意識して作品を選んで、まったく違うアプローチで役を演じながら、そこにはしっかりと“田村正和”がいる。これこそが、スターなんでしょうね。
信子:『パパとなっちゃん』(1991年/TBS)で、ご用聞き役のダウンタウン・浜田雅功さんに突っ込まれていたのも、可愛らしかったな!
生まれたときから“田村正和”。スターとして産み落とされた男
庸平:今回、追悼特集を見たり読んだりして、正和さんは「テレビドラマの主演」でいることを貫き通したんだと気付いたんです。脇役ではなく主役で、これだけ長い期間、作品に出演し続ける俳優さんは、他にいないんじゃないでしょうか。
信子:キャリアを積んだ後も、ドラマのクレジットの最後に出てくる“トメ”ではなく、あくまで主演。実はすごいことよね。
庸平:正和さんこそ、ザ・スターなんだと思います。僕、正和さんが結婚していたことはおろか、私生活はほとんど知らなかったです。
信子:お父さまは大正時代から活躍された“阪妻”こと俳優の阪東妻三郎さんで、お兄さんが田村高廣さん、弟さんが田村亮さんです。生まれは京都で、市川右太衛門の息子の北大路欣也さんとは幼馴染みなのよね。正和さまは北大路欣也さんを「きんやちゃん」って呼ぶんだけど、それがとてもかわいらしいんですよ。
庸平:田村亮さんのほうがお兄さんだと思ってました。亮さんもステキな俳優さんですけど、全然タイプが違いますね。かと言って、田村兄弟には歌舞伎出身一家特有の“背負っている感”がないのは、なんでなんだろう?
信子:生まれたときから“田村正和”っていう感じがするのよね。
庸平:スターとして産み落とされた男。髪も、美容師さんを自宅に呼んで切っていたそうですよ。
信子:間違っても、他のお客さんにシャンプーしている姿とか、頭をタオルで巻いてる姿とか、見られたくないものね。
庸平:私生活でも“田村正和”を演じていた感じですよね。そういう生き方って、息苦しかったりしないんでしょうか?
信子:「演じなきゃ」なんて、思ってないんだと思う。“スター然”とした行動に見えるけど、ご本人にとっては“素”だからチャーミングなんじゃないかしら。しかも、ご本人はあんなに生活感がなくて浮世離れしているのに、『カミさんの悪口』(1993年、95年/TBS)みたいなサラリーマンのおじさん役もハマっていて。本当に稀有な俳優さんですよね。
庸平:インタビューも本当にウィットに富んでいて、面白いんです。狙って言っているわけじゃないのに、ステキワードがどんどん出てくる。2018年の『眠狂四郎 The Final』(フジテレビ)が遺作でしたが、ご自分の声の張りの衰えとかを自覚されて、終わりも自分で決めたんだと思う。ダンディズムを貫き通した役者人生ですよね。
信子:そんな唯一無二の俳優である正和さまが亡くなって、本当にさみしい。
庸平:でも、あまりにもスターすぎて、亡くなったと言われても、実感が沸かないくらいです。今後も作品は生き続けるし、僕たちも見続けていくんだと思います。
FODでは、『ニューヨーク恋物語』シリーズ、『古畑任三郎』シリーズほか、田村正和さんの出演作を配信中
BSフジでは、5月31日16時~『総理と呼ばないで』が放送される。詳しくはBSフジの公式サイトまで
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