5月1日(土)の『週刊フジテレビ批評』は、「幅広テーマで多彩&充実! 春ドラマ辛口放談」の前編を放送した。
今クールの春ドラマは、多彩なテーマの作品が並んだ。
そんな各局ドラマを、ドラマ解説者・木村隆志氏、日刊スポーツ芸能担当記者・梅田恵子氏、ライター・吉田潮氏というドラマ通たちが、忖度ナシに斬った。
まずは、今期の傾向を木村氏が解説。
木村:ラブコメ、推理、学園、リーガル…本当に多彩なジャンルのドラマがそろっていて、昨年あたりからの「世帯視聴率をとらなければ」というところから少し離れて、作り手が作りたいものを作った結果。例えば、3年ぶりに坂元裕二さんが連ドラに戻ってきたり、主演俳優も、本当に力のある人がそろっています。
坂元裕二脚本の『大豆田とわ子と三人の元夫』は、意見が分かれ…
その中から、各人がイチオシドラマを3作セレクト。その中から、まずは吉田氏が挙げたのが、松たか子演じる主人公が、“三人の元夫”に振りまわされながら日々奮闘するロマンティックコメディ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ)。
吉田:私も何回か離婚しているので(笑)、何回か離婚した主人公というところで、まず惹かれるというのもありますし。ちょっと面倒くさい人とか厄介な人が多いんですよ、坂元裕二のドラマってね。そこからしてもう、脚本も最高だし、一つひとつの言葉の嵐に、失禁してしまうくらい感動するっていうか(笑)。そんな時間を過ごしているんですが、お2人は、反応が薄いんですよね。
梅田:これ、信者向けの色合いが濃いかなっていう(笑)。まあ本当に、ノートに書きためたであろう名言を、一挙大放出!みたいな。とにかくセリフが多いですし。
伊藤沙莉さんがナレーションなんですけれども、ト書きから状況説明から、ずっとナレーションなんですよね。だから、セリフ過多と説明過多で(笑)。それを、受け止められる方にはたまらないんでしょうけれども、ちょっと私は…しんどいかなと。
木村:セリフが多くて、その一つひとつにクセがあるんですよね。「これ、どこかで見たな」と思っていたら、『カルテット』(2017年/TBS)なんですよ。これも坂元裕二さん脚本。
そのときにプロデュースをしていた、佐野(亜裕美)さんが、今(TBSから)転職してカンテレにいるんですよ。ということで、“そのまんま輸入したんじゃないか”というところが、僕はどうしても引っかかってしまう(笑)。エンディングテーマのカッコよさも含めて、すごく似ている感じがします。
新美有加(フジテレビアナウンサー):私も信者として見ていて、坂元裕二さんの『最高の離婚』(2013年/フジテレビ)というドラマがありまして。それが好きだった人にとっては、今回はもう“垂涎もの”といいますか。
吉田:我々は、信者だから(笑)!
『コントが始まる』は、青春ものとしては最高!?
木村氏、梅田氏が挙げた作品が、菅田将暉主演『コントが始まる』(日本テレビ)。一本のショートコントから始まり、その後の物語でそのコントが回収されていくという構成も話題に。
梅田:これ、今期イチオシです。本当に面白いです。10年売れなくて解散を決めたコントトリオの青春群像劇なんですけれども。28歳っていう設定なんですね。“青春の終わり”みたいな感じの28歳の空気感に、93年生まれのリアルな28歳の3人、菅田将暉さん、神木隆之介さん、仲野太賀さん…この神キャスティングがすごくハマっていて。グイグイ来るんですよね。
脚本の金子茂樹さん、私大好きなんですけど「フジテレビヤングシナリオ大賞」が生んだ、天才の一人ですよね。この方にしか書けないセリフ劇を、出演者たちがきちんと体温のせて伝えてくれる。これは、青春ものとしては最高です。
木村:冒頭にコントがあるんですよね。そこから始めていって伏線を回収していくような人間ドラマがあるんですけれども、このチャレンジって本当にすごくて。見たことがないし、勇気がないとできない。志だけでも推したい。見ても、会話劇としても優秀だし、もう悪いところがないんです。
吉田:私は、3人、有村架純も含めて、一人ひとりはすごくいいなと思っているんですけれども、手練れが集まりすぎて、凪(なぎ)状態というか。突出したものが見えなくて。3人ともうまいので、“引き”の演技をやっているふうに見えてしまった。
『珈琲いかがでしょう』は、月曜の夜にぴったりの作品
木村氏、梅田氏は、中村倫也演じる移動珈琲店を営む主人公が、行く先々で心を込めて珈琲を淹れながら、人生に傷ついた人たちの心を癒していく『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京)を、ともに選出。
木村:中村倫也さんのハマりっぷりというのは、もちろんすごいです。もうひとつ、脚本・演出を、映画「かもめ食堂」の 荻上直子さんがやっているんですね。どこか似た世界観を彷彿とさせるような、一人ひとりの俳優の技量を引き出すような、余韻のある作品になっていますし、月曜の夜からこれが見られるというのは、すごく贅沢ですね。
梅田:一杯の珈琲から始まる人間模様ですけれども、珈琲にもいろいろありますよね。王道のブレンドとか、カフェオレとか。その人にカスタイマイズして淹れてあげる珈琲が、ちゃんとその人の人生とリンクしている構成が素晴らしいんですよね。珈琲が持っているほろ苦さというのが、全体に漂っていて、月曜にさっくり見るには最高の作品だと思います。
『今ここにある危機とぼくの好感度について』は、鈴木杏の凛とした感じがいい
また、吉田氏は、大学広報マンの主人公が、次々に巻き起こる不祥事に振り回され、追い込まれていく姿をブラックな笑いとともに描いた、松坂桃李主演『いまここにある危機とぼくの好感度について』(NHK)を挙げた。
吉田:これは始まる前から期待していたんですけど、松坂桃李演じる元アナウンサーが、大学の広報に転職をするんです。だけど、その大学は問題が山積みで、好感度を気にしてきた元アナウンサーの男性が、どう対処していくかっていうドラマなんですけど。松坂桃李演じる主人公の中身が薄っぺらいんですよね。
なんか言っているようで、何も言ってないっていう。そこが、小泉進次郎とカズさん(渡辺和洋アナ)を足して2で割った感じの、独特の味わいがあってですね…。
渡辺アナ:(苦笑)
吉田:大学の研究室のポスドクの女性を、鈴木杏が演じているんですけど、内部不正を告発するんです。そこから、松坂桃李が窮地に追い込まれていくんですね。でも、その鈴木杏の凛とした感じもすごく良くて。今期の女優の中でも一番かなって。
梅田:面白いです。この主人公が、スカスカなんですよね(笑)。スカスカなことを言うのが危機管理だと思って一生懸命やっているんですよ。その、なめた価値観というのが、リアルな事件が起こったときにガラガラと崩れていく。そこの、てんてこ舞いが松坂桃李さんが本当にうまい。だから、最後この主人公がどう変わっていくのか、もしくは全然変わらないのか。これは目が離せないと思います。
木村:完成度は、すごく高いです。ただ、物語もテーマもマーケットを無視して作った作品なんです。NHKならではの芸当なので、あんまり褒めたくはない(笑)。やっぱり、視聴率だったり、スポンサーだったりというところではなく、「自分たちが作りたいものをつくるんだ」というところで終始している。「それくらいのことはできるだろう」「フジテレビだって、そのくらいは作れるぞ」という気がします。
まだまだ注目作が並ぶ今クール。後編は、5月8日(土)に放送。
「幅広テーマで多彩&充実! 春ドラマ辛口放談」は、FODにて無料配信中。
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