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『知ってるワイフ』脚本家・橋部敦子インタビュー「元春が大倉さんに決まってうれしかったです」

2月25日(木)22時~『知ってるワイフ』第8話

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現在、フジテレビで放送中の大倉忠義主演、広瀬アリスがヒロインを務める木曜劇場『知ってるワイフ』。

夫婦関係に悩む大倉演じる主人公が、タイムスリップという奇跡で妻を入れ替え、“本当に大切なことは何なのか”を模索するファンタジックラブストーリーだ。

ドラマも終盤に差し掛かる中、フジテレビュー!!では、脚本を手掛ける橋部敦子にインタビューを実施。

橋部といえば、草彅剛主演『僕の生きる道』(2003年)、『僕と彼女と彼女の生きる道』(2004年)、『僕の歩く道』(2006年)の”僕シリーズ”でその名を広く知られるようになり、以降、唐沢寿明主演『不毛地帯』(2009年~2010年)や、二宮和也主演『フリーター、家を買う。』(2010年)、生田斗真主演『遅咲きのヒマワリ〜ボクの人生、リニューアル〜』(2012年)、中谷美紀主演『ゴーストライター』(2015年)、最近では高橋一生主演『僕らは奇跡でできている』(2018年)など、骨太の超大作から、ヒューマン、青春群像、サスペンス、ハートフル、そして『知ってるワイフ』のファンタジックまで、ジャンルを問わず多くの作品を手がける名脚本家だ。

今回、『知ってるワイフ』の制作秘話はもちろん、執筆におけるこだわりや思いを聞いた。

聞き手は、当サイトにて、毎回鼻息荒く興奮気味のレビューを書き、「橋部先生、大好き!」と言うドラマフリークの大石庸平(テレビ視聴しつ室長)。前後編でたっぷりと紹介する。

【前編】<橋部敦子 インタビュー>

――まず、『知ってるワイフ』を手掛けることになった経緯からお伺いします。きっかけは橋部先生が”パートナーシップ”について書いてみたい、ということだったとお聞きしました。

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本当に最初の最初の企画会議の時に、「”パートナーシップ”をテーマにやりたい」と言ったんです。これは私の個人的な話になりますが、この作品の前が『僕らは奇跡でできている』(2018年)で、あの作品は表立っては言ってないんですけど、私としては”自分を理解する”とか”自分を受け入れる”という話を書いたんですね。ですので、次は”相手を理解する”とか”相手を受け入れる”っていう話をやってみたいな…と思っていて、それで「”パートナーシップ”をやりたい」という言葉になったんだと思います。

韓国版で面白いと思ったポイントが日本版で削がれないか、心配だった

――そこから『知ってるワイフ』というドラマのリメイクにつながったのは、どういう経緯だったんでしょうか?

企画が決まるまで結構長い間話をしていて、最初は、私が「“パートナーシップ”をやりたい」と言ったのですが、企画の可能性として“そうじゃないお話”なども話していく中で、プロデューサーの貸川(聡子)さんが、韓国ドラマで『知ってるワイフ』という作品があって、それがなかなか面白かったという話が出て、そこから始まりました。

――すでにテレビドラマとして出来上がっているものをリメイクすることに抵抗はなかったですか?

まず映像を映像表現に直すって、「何をやればいいんだろう?」というのがありました。韓国版の『知ってるワイフ』はすごく面白い作品だと思いましたが、韓国ドラマだから楽しく見られた、って部分が私にはあったと思ったんですね。

これを全く同じ脚本で日本の役者さんがやったら、なかなか成立しない世界観もあるし、私が『知ってるワイフ』を見て面白いと思ったポイントが、日本版にすることで削がれていくんじゃないかと、そこが心配になりました。

――それはどんなところでしょうか?

具体的には、韓国版では30代の女優さんが、学校のシーンで普通に制服を着て出てくるのですが、そういうところが私の中では、日本のドラマではありえないというか、ちょっと無理があるなって思って。

そういうことも含めて韓国ドラマだから成立するだろうなっていう部分がたくさんあったんです。ほかにも、銀行の描写でこれは韓国ドラマとして見るから笑えるけど、日本のドラマとしてやったらリアリティがなくなるんじゃないか、コメディにしても厳しいんじゃないか…とか、そういうポイントが結構あって、クリアをしないといけない課題がたくさんあるな、どうしようかなっていうのが最初はありました。

――実際、広瀬アリスさんは制服姿で登場しましたが、それがすっごくピッタリでしたね。

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実はキャスティングが決まる前は、さすがに高校生の制服はちょっと厳しいだろうということがあったので、浪人生の設定にしていたんですね。だけどそうすると、韓国版にある面白さをかなり損なうポイントだと思いました。制服だからキラキラして見えるけど、浪人生にしたら私服になっちゃうし…どうなんだろうと思いつつ進めていったんです。だけど、澪役を広瀬さんにやっていただけるって決まった段階で、「制服にできる!やった!!」という感じでした(笑)。

恋愛部分の描写は韓国版をベースにしている

――回想の恋愛部分がとてつもなく素晴らしくって、先生にとっても恋愛ものは珍しいなと思っていたので、どうやって生み出してるんだろう…と思っていました。

恋愛部分の描写は韓国版をベースにしてるので、そんなに自分から生み出したって感覚はないんです。韓国ドラマのキラキラしたベースがあったので作れた部分が大きいんじゃないかとは思います。

――日本版にリメイクするにあたって苦労した部分はありますか?

前半の方は、原作に忠実に見えるかと思いますが、やっぱり日本版として脚本の段階で血が通った感じになるまでは、結構時間がかかりました。「あ、これで血が通ったな」と思ったのは、第2話で、モンスターだと思っていた澪の本当の姿は違っていた、本当の澪は笑っている澪だったんだ…ということに気付くという、そのラインを入れられた時に、なんとなく日本版として血が通ったなという気がしましたね。

あともう一つ、3話でも、澪の本当の願いは何だったんだろう?というラインを足したことで、日本版としてちゃんとお話ができたなっていう感じがしてきました。そこからは日本版としてのベースができたので、4話以降は血が通っていると思いながらそのまま書き続けられたという感じです。

――キャラクターについて伺います。僕も韓国版の前半を拝見しましたが、大倉さんの印象が韓国版と違う…大倉さんの方が影あると感じました。そのあたり、大倉さんに合わせた部分もあるんでしょうか?

特に大倉さんだから何かを足したり、寄せたりですとか、そういうことはしなかったですね。脚本作りはキャスティングの前から始めていたので、最初の段階で決めたキャラクターでそのままいったという感じです。

だけど大倉さんに決まったことで、元春というキャラクターは難しいじゃないですか。だから大倉さんにやっていただけると聞いて、なんていうかもう、うれしかったですね(笑)。

――先生が書かれた脚本と、実際にみなさんが演じるキャラクターとで思っていた部分と違ったという部分はありましたか?

思っていた以上に皆さん役を楽しんでいただけている感じが伝わってきましたね。みなさんそれぞれに役を膨らませて演じていただけているので、うれしかったです。

タイムスリップの表現が素敵に表現されていてうれしかった

――他の脚本家の先生で、映像がまだ見れない第1話などは、書いているときのイメージが自分の中にあるので、映像になったときどうしても違和感がある、という話を聞いたことがあります。そういう感覚はありますか?

私は具体的な映像というか、こういう芝居をして、こういう演出をして、こういう物語になって…という映像はまったく浮かんでいないんです。だから立体的と言うか、作品になって初めて「あ、この作品はこういう作品だったんだ…」って思うんです。

自分の中で映像を持ってないので、イメージしたものと違うってこともないです。あるとすれば、台本のセリフが意図と違う風に伝わってしまったっていうことですね。それはめったにないですけど、違う意味に伝わってしまったかな…っていう時ぐらいです。

――ちなみに、今回の『知ってるワイフ』の第1話を初めて見た時はどう思われましたか?

個人的に土方(政人)監督がこういう話をどういう風に撮るんだろう?という興味が一番にありました。なので、はじめて見たときは素晴らしいというか、うれしかったですね。気になっていたのはタイムスリップの表現で、どうなるんだろうって思っていたんですけど、それを、あの世界観の中で素敵に表現してくださっていたのでそれもうれしかったですね。

登場人物の誰か1人に共感して書くことはない

――個人的には、(ドラマを制作する)共同テレビらしいこの映像演出!第1話のテロップの感じ、橋部先生ですし、ロマンティックラブコメディだし、「これ『スタアの恋』じゃん!!!」って興奮してしまいました。

は~!私にはその感覚はなかったです(笑)。

※『スタアの恋』(2001年)…藤原紀香・草彅剛主演のラブコメディで、『やまとなでしこ』の中園ミホとともに橋部も脚本に名を連ねている。『HERO』の監督と音楽コンビで、演出・鈴木雅之のファンタジックな世界観、服部隆之のゴージャスな劇伴がドラマを彩った。

――SNSなどでは元春(大倉忠義)がひどい!っていう意見も多いですが、僕の中では元春も澪(広瀬アリス)も沙也佳(瀧本美織)も、それぞれの視点で見ると、どの立場もわかるなって思えるし、視聴者の方も自分の立場によって誰に共感できるか…っていう楽しみ方をしていると思います。先生ご自身は、誰かに一番共感するなど、あるのでしょうか?

誰かに特別に共感することはないです。物語全体を見る視点と、登場人物1人1人の視点と、それぞれを持って同時進行で書いていくので、誰か一人に共感して…とかそういうことはないですね。

――誰かに思い入れがある、とかもないんですか?

ないと思います。自分の思いは、キャラクターそれぞれに分散されていると思うので、この人に自分の思いを全部背負ってもらう、みたいなことにはならないですね。

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――個人的には沙也佳がすごく好きで、すっごい肩入れして見てます(笑)。そんな風に誰かに肩入れ…とか、そういう気持ちで書くことはないんですね。

ないです。一応このドラマにおける存在意義みたいなものが全員のキャラクターにあって、それを前提に進めているので、肩入れっていうことはないですね。

――そうでしたか。失礼しました。

今回はやっぱり原作がベースにあるのでより冷静になってるんじゃないかなと思います。もちろん愛着はすごく持って書いているんですけど、肩入れということになるとあまりそういう感覚はなかったですね。

――では、今後の沙也佳のことも含めて、見どころを教えてください。

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第7話で沙也佳が家を出ていってしまって、(元春との)夫婦がどうなっていくのか…っていう話になるんですけど、おっしゃっていただいた沙也佳の展開に関しては、これはちょっと原作と変わったキャラになっていますし、原作とは違った展開にもなっていきますので、韓国版を知っている方も楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。

後日公開予定の後編では、ルーティーンや自身の作品に対する見方、今後書きたいテーマなど、脚本家・橋部の人となりに迫る。

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