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「完成と思ってないから、次がある。次も、その次も…」醤油作りでチャレンジを続ける湯浅醤油・新古敏朗氏の原動力_site_large

「完成と思ってないから、次がある。次も、その次も…」醤油作りでチャレンジを続ける湯浅醤油・新古敏朗氏の原動力

1月19日(火)放送『石橋、薪を焚べる』

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石橋貴明が文化人、ミュージシャン、タレント、アスリートなどジャンルを問わず“話してみたい”ゲストを迎え、焚き火の前でじっくり語り合うフジテレビ『石橋、薪を焚べる』。

1月19日(火)の放送は、丸新本家株式会社の代表取締役で湯浅醤油有限会社代表の新古敏朗(しんこ・としお)氏が登場。常に新しい試みを続ける新古氏が、その信念やフランスでの醤油作りについて語った。

「醤油発祥の地」と知って人生が変わった

「完成と思ってないから、次がある。次も、その次も…」醤油作りでチャレンジを続ける湯浅醤油・新古敏朗氏の原動力_bodies

「醤油発祥の地」として知られる和歌山県。そもそもは鎌倉時代に中国から伝わった味噌の製造過程から生まれたものだという(※)。

(※)諸説あり

石橋:僕なんか関東の人間だから、(発祥は)千葉だとばっかり思ってて。

新古:思いますよね。

石橋:これ、意外と知られてないですよね?

新古:関西では、(和歌山県が発祥の地と)知られてるんですよ。関東では、千葉と思われてるんです。

そもそも、新古氏が醤油を作ろうとしたのは、「湯浅(和歌山県有田郡湯浅町)が醤油発祥の地と知らなかったから」だと話す。

新古:高校卒業して大阪行って。大阪のおじさんに、湯浅が醤油の発祥の地だと教えてもらってショックを受けて。自分のところの職業が、まさかそんな職業やって知らんかって。地元の子どもらがそういう教育を受けてなかったから、教えようかなと。教えようと思ったら、自分が勉強せんと教えられないじゃないですか。

石橋:はい。

新古:湯浅は醤油の発祥の地なので、僕は日本一の醤油を作ろうと思ったんですよ。「待てよ?」と思って。「日本一の醤油って、世界一やん!そうや、僕は世界一の仕事をするためにここにいてるんや」と思って。それで世界一の仕事せないかんやん、ということでやっていたら、何か、世界一クラスの人ら紹介してもらえるようになって、つながっていくんです。

それまでは、「ただの味噌屋さん、醤油屋さんの跡取りの仕事」と思っていたが、「発祥の地」と知って人生が変わった。

新古:僕の名字、「新しい」「古い」なんですよね。古いことをやりながら、新しいチャレンジをやっていくことが、僕の仕事っぽいなと思うようになって。いろんな人に出会って、新しい醤油というか、新しいプロジェクトを作ることが面白くなってきたんです。

「完成と思ってないから、次がある。次も、その次も…」醤油作りでチャレンジを続ける湯浅醤油・新古敏朗氏の原動力_bodies

醤油は、数百年前に完成形ができていて、あまりその製法や成分を変えてこなかった。しかし、新古氏は「僕はころころ変えるんですよ」と話す。

石橋:材料を?

新古:材料も作り方も(笑)。失敗して、成功して、失敗して、成功してって、コピー用紙を一枚づつ積み上げていくような感じで。とにかくいろんな、魚使ったり、昆虫使ったり、野菜使ったり、内臓使ったり。いろんなことをやっていく中で、「これをやったらこうなる」というのがいろいろ頭に入ってくるというか。

石橋:お父様、何か言わなかったですか?「何やってるんだ!」とか。

新古:もう、ずっとケンカです。今はもうケンカしないですけども、ずっとケンカで。

新古氏は「良いものを作る」という思いは同じだが、そこまでの過程が異なっていたためにぶつかることも多かったと振り返った。

「完成と思ってないから、次がある。次も、その次も…」醤油作りでチャレンジを続ける湯浅醤油・新古敏朗氏の原動力_bodies

そんな醤油作りの中で一番大変なことを聞いても、新古氏は「何やろうな?」と、思い当たらない様子。

新古:醤油を作るのに一番大事なことは、麹というか、菌をちゃんと育てること。これは、お酒もお醤油もお味噌も一緒だと思うんですけど。それは大事なんですけども、大変と思うか思わんかで、僕はあんまり大変と思ってなくて。失敗しても、僕はそんなに失敗と思ってない(笑)。

さまざまな工夫や実験を重ね、商品の味が従来と変わっても「おいしくなったらいい」という。

新古:まずくなったら嫌やけども、おいしくなったら、文句言わんでしょう。

石橋:ほう。

新古:僕は、ちょっとでもおいしくなるようにというのを、一枚ずつ、さっきのコピー用紙を乗せていくような感じで。

石橋:じゃあ、毎年毎年、味がどんどんレベルアップして。

新古:そういうふうにやってるつもりなんですけどね。一時、僕も、「魯山人」という醤油を作ったときに、これは自然栽培の大豆と米と麦をわざわざ作ってもらって、作ったんですよ。「最高においしいものができた」と思ったんです。

石橋:完成形だと。

新古:完成形。「これ以上ない」と。けど、(これ以上が)あったんですよ。あかんと思って。これ以上ないものはないと、次があるとずっと思わないとあかんと思って。

と、醤油作りの信念を語った。

ワイン樽で「何とかなるんちゃう?」フランス産の醤油作り

2018年には、フランスのボルドーに醤油蔵を設立して世界進出も果たした。

石橋:なぜボルドーなんですか?

新古:もともと、醤油を日本からフランスへ輸出していたんですけれども、東日本大震災で、全部リセットかかって。築き上げてきたものがゼロになって。その間にほかの醤油屋さんがうわーっと(伸びて)いったんですよ。「あれ、置いていかれたやん、どうしよう」と思って。誰よりも一番強いのは、現地で作ることよなって思って。で、どこで作ったらええかなと思ったら、そうや、ボルドーがあるやんと。

醤油づくりは、樽や絞る機械など、ワインの醸造と使う道具が似ているため「何とかなるんちゃう?」と考えたという。7000もの醸造所があるボルドーでワインを作る日本人から場所を借りて、中古のワイン樽を買い、日本から持って行った麹菌と、現地で調達した無農薬大豆や穀物、スーパーで購入したミネラルウォーターで醤油を作った。

新古:結構、おいしいのができて。その話が現地ではちょっと広まっていて、シェフたちから「欲しい」と言われてるんですけど。また、別の人からレストランと醸造所を一緒にしたやつをやらんかって言われていて。

石橋:それ、カッコイイですね。

新古:いいでしょ。一緒にやりますか?

石橋:やりたい!やりたい、それ。

新古:面白いですよ。

石橋:よく、ワイナリーとホテルが一緒になっていて…。

新古:そうそう、それの醤油版なんですよ。

と盛り上がった。このフランスの醤油蔵を皮切りに、新古氏のもとには中国やブラジル、ペルー、ロシア、イタリアなどからも誘致のオファーが届いているそうで、「麹さえ持っていけば何とかなる。面白いですよ」と語った。

ちょっとしたことで幸せを感じる材料として湯浅醤油を使ってほしい

「醤油を通して幸せになってもらいたい」という新古氏は、今後についても語った。

新古:文字で「醤油」って書くと一つだけど、醤油も地域や作り方、メーカーによって違うから、醤油発祥の地のうちの醤油を、今、みなさんが使ってる醤油と比べてほしい。「こんなに違うんや」って知ってもらって。今回のコロナでも思うんですけど、ちょっとしたことをものすごい幸せに感じるようになったじゃないですか。そういうちょっとしたことで幸せを感じる材料として、「おいしい魚入ったから、この醤油かけて食べようよ」とか、そんなので(幸せを)感じてほしいなと思います。個人的には、もっと僕の知らないことをやりたいと思うんですよ。新しく、醤油と何かをつなげていくとか、僕の周りの人で、お互いに自分らの強いところを持ち寄って、新しいことをするとか、そんなことをやりたいなと思っています。

チョコレートと醤油の結婚!?「カカオ醤」の誕生

新古氏は、「チョコレートと、醤油を結婚させたんです」と新しい取り組みも紹介した。

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新古:チョコレートが発酵食品って知らなくて、それを知って、発酵に興味があるから、現地(ベトナム)に行ったんですよ。で、そのときに、また悪い癖で、麹菌をいつも持って歩いてるんで(笑)。

石橋:わはははは!

新古:カカオをちょっともらって、カカオの生の実に麹菌をかけてですね、発酵させて「カカオ醤油」作ろうと思って。現地で始まったのが4年前なんですよ。失敗を繰り返して、4年経ってやっとですね、チョコレートの香りと味のする、でも醤油の味もするものを作ったんですよ。「カカオ醤(ジャン)」という。

石橋:え?それ、何にかけるんですか?

新古:これ、このままでもいけますよ。

石橋は「見た目、チョコレートですよね」というカカオ醤を試食し「何だこれ!すごい」と声を上げた。

石橋:口の中は、チョコレートなんですよ。だけど、喉を通るときは醤油になってるんですよ。

新古:(笑)。

石橋:何?これ。何につけたらいいんだろう?お刺身?

新古:刺身もいけますよ。これ、カレーにつけたら、むちゃくちゃうまい。

石橋:あ!カレーの隠し味に入れたらいいんだ。

新古:ううん、隠し味じゃなくて、堂々と!

「何でカカオにつけようと思ったんですか?」と聞く石橋に新古氏は「不可能はないと思っている」と笑顔。

石橋:面白いですね。醤油って、無限の可能性があるんですね。

新古:そうなんですよ。醤油はこれで完成と思っている人はそれで終わりなんですけど、僕は完成と思ってないから、次があるんです。次も、その次も。

新古氏は「魯山人でたまごかけご飯」が一番好きだといい、「良い醤油は食材を引き上げる」と語った。

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