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【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」

「自叙伝 清春」(シンコーミュージック刊)発売中

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黒夢、sads、ソロイストと3形態で活動するアーティスト・清春が、自身の52回目の誕生日となった10月30日に自叙伝「清春」(シンコーミュージック刊)を出版した。

インディーズ時代からミュージックシーンの先駆者として時代を築いた清春初の自叙伝は、岐阜県多治見市で生をうけた彼の幼少期の思い出やプライベートライフ、そして、「不仲で活動を休止した『黒夢』を再始動した真相」などを激白しているほか、実弟であり、かつて清春のマネージャーを務めていた森義隆氏による寄稿、秘蔵写真も掲載している。

【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」_bodies

フジテレビュー‼では、発売当日に行われた出版記者会見の様子を余すところなくリポートするほか、動画インタビューも収録。清春が若さを保つ秘訣や現在のマイブームを尋ねた。

<自叙伝出版記者会見リポート>

――自叙伝を出版することになった経緯から聞かせてください。

当初は50歳の時に発売しようと考えていたんですけど、アルバムを制作したり、ツアーをしたりなどで遅れが出ていたことに加え、今年は新型コロナウイルスの影響もあって、このタイミングとなりました。自叙伝が出せるミュージシャンは日本では少ないので、仲間に入りたいなと思って(笑)。

――過去を振り返る中で「これが大きかった」と感じる出来事はありましたか?

僕は黒夢、sads、ソロと3回デビューしていて、それぞれ5年バンドをやって、ソロは今年で17年になるんです。“3回デビューした”ことが自分の中では大きく、それが何かを制作する際の基本になっている気がします。その他には、父や親友が他界したことで大人になれたような気もしていて…そんな感じです。

――コロナ禍において、いろいろ考えることもあったのではないでしょうか。

僕も他のミュージシャンの方と同じようにツアーが延期になり、レコーディングもほとんどできない状態だったんですが、月に1回ストリーミングライブというものをやっていまして、それがあってよかったなと。

【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」_bodies

通常のコンサートができるまではまだ長くかかると言われていますが、ロックミュージシャンとしては50%(の収容人数)ではやりたくない、フルでできるまではやらないと。アコースティックならともかく、バンドスタイルでどうやるべきかということを各地のスタッフやイベンター、マネージャーと毎日話し合っていました。

プライベートでは家族を含め、数少ない人としか会っていなかったので、自分がコロナウイルスに感染してしまうという心配はまったくしていませんでした。自粛期間はほとんど自宅にいて、ワイドショーや海外ドラマを見ていました。

――デビューから27年間の中で、特に印象に残っているのはどんなことですか?

これまで自分でマネージメントをやっていくスタイルというか、プライベートオフィスでやってきたんですけど、デビューする時に「これはお金あるな」っていう会社からも誘われていたんですよ。でも、そこへ行かなかったことで今、ここにいられる。多分、行っていたら僕、干されてたと思うんです。自分のワガママを通せる環境に自分でしていったということですかね。

【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」_bodies

大人になると、理想と現実が離れていくものだと思うのですが、自分が高校生ぐらいの時に考えていたロックミュージシャンの在り方を、つき通している感じになれているのかなって。そこがこの本の中心にもなっています。

執筆にあたってWikipediaを参考に。自分で書き換えようかなと思ったけど、52歳なので無理でした(笑)

――27年間を振り返ることに苦労もあったかと思うのですが…。

細かいことは全然思い出せないので、確認作業をするためにWikipediaをかなり見ました(笑)。

――そこで改めて思い出したことなども?

Wikipediaはライブの会場とツアータイトルに関してだけは、めちゃめちゃ正確なんですね。黒夢の時は9ヵ月で100本以上のツアーをしていたので、自分では「全都道府県に行った」と思っていたんですが、本当に行ったんだと確認したり、どうしてこんなふうに移動できていたんだろうと疑問に感じたり。

【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」_bodies

自分がやっていたラジオプログラムや連載のタイトルなども忘れていたので、かなりWikipediaを見ましたし、なんなら自分で書き換えちゃおうかなって。でも、52歳なのでやり方がわからなくて、すぐ諦めました(笑)。

――本の帯には千鳥のノブさんがメッセージを寄せてくれましたね。

帯を誰に頼もうかとなった時に、以前、AbemaTVでレギュラーを一緒にやっていた「ノブくんは?」となって。ノブくん、今、絶好調じゃないですか。書いてもらえてよかったです。

ノブくんから「イヤなところは削除して、適当に変えちゃってください」と言われたんですけど、書いてもらったそのままでいきました。

かつて“悪が正義”だったロックが、現代において“悪は悪”に変化している

――これまで多くの活動をしてきたかと思いますが、まだやっていないことや、今後やってみたいことはありますか?

僕、タバコは吸うんですけどお酒は飲めなくて、根はめちゃくちゃじゃないんですね。絶対にダメなことなんですが、海外のロックミュージシャンってだいたい1回は捕まってるじゃないですか。日本ではタブーなことが、海外だと一つのキャリアになる。そういうことがあれば、この本に「あの時は…」など書けたので、あったらよかったなって思います(笑)。

――学生時代の清春さんが考えていた“ロックミュージシャンらしさ”について教えてください。

僕が思うロックっぽい感じって10年ぐらい前からなくなってて、例えば今、「ライブハウスを救え」ってクラウドファンディングとかやってるじゃないですか。そういうことを絶対にしなかったのが僕のロックなので、真逆になってきてると思うんです。

【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」_bodies

僕のアマチュア時代はケガをしたり、飲まされたり、ライブでは人がグチャグチャになって何人か救急車で運ばれたり、そういうことが普通だったんですよ。僕が思ってるロックは、“悪が正義”だったんですけど、現代は“悪は悪”なんですよね。そういう変化は感じています。

――時代により音楽の聴き方にも変化がありますが、そのあたりについてはどう感じていますか?

今の子は「1曲だけ聴く」とかなんですよね。それはそれでいいと思うんですけど、僕が小さい頃はレコードをカセットにダビングして、それがCDになり、MDになった。今は形すらない時代ですが、得意なことが優れていないといつか崩壊してしまうと思うんです。

【動画あり】清春 初の自叙伝を出版「“個であること”がロックミュージシャンとしての僕の美学」_bodies

アルバム単位ではなく、シングルでしか聴かれなくなったとしても、同じ条件であれば音楽の楽しみ方に差はないような気がします。いい耳を持った人はいい音楽を探すでしょうし、鍛錬して上がってきた人たちは絶対に勝つ。「歌ってみた」みたいなやつはそっとしておいたら聴かれなくなるので、聴き方や用法が変わっても、僕はあまり気にしていないです。

――清春さんが一貫して大切にしているのはどんなことでしょうか?

“個であること”ですね。僕が好きなミュージシャンは個人であって、バンド全体が好きというわけではなかったんです。時代が変わって、僕らみたいなジャンルのミュージシャンは、僕も含めて個人でしか残っていない。若いバンドの皆さんはバンド名でやったほうが集客もできるんでしょうけど、長くやっていくと個人でしか残れないんですよ。

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再結成するバンドもありますが、マーキングされるのは個人の芸術。バンド全体のサウンドを聴くよりも、その人がどういう考え方をしてどんな音楽を表現しているかとか、急に解散してどこかへ行っちゃったとか、好きなミュージシャンを通して、自分もこうなりたいと思い描いていたような気がします。

実際、黒夢って4年しか活動していないんですけど、その先への不安を抱えつつ、めちゃめちゃ売れることはないものの、残る自信はありました。団体でいるんだけど個の美学、それが僕の中で一つの魅力ですね。

――最後に改めてあいさつをお願いします。

こういうタイプのミュージシャンもまだいて、コンスタントに活動していることが世の中に広まったらいいなと思います。自分の考えを現実に近づけることが、大きな数を勝ちとるよりも大事な時だってある。僕の場合はそっちの人生で、これはミュージシャンじゃなく、会社員や職人さんにも置き換えることができると思うので、皆さんのお力でぜひ広めてもらえたら。

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撮影:河井彩美

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