葵みどり(石原さとみ)は、瀬野章吾(田中圭)の担当薬剤師となる。瀬野の担当医師は消化器内科の畑中聡(長谷川朝晴)だ。瀬野の重複がんで問題となるのは、標準治療が確立されていない副腎がん。効果が期待できる既存薬の投与が始まるが、数週間後も改善しなかった。

みどりは副腎がんを調べるが、有効な手立てが見つからない。そんなみどりに、七尾拓(池田鉄洋)が海外に副腎がんへの有効性が認められる薬があると教える。しかし、治験薬を萬津総合病院で使用するには問題が多い。七尾は治験薬の承認を得るための3つの関門を伝える。

畑中に治験責任医師になってもらうこと、病院内の治験審査委員会の承認を得ること、何より瀬野の同意を取得すること。そのすべてをみどりの責任でクリアすることを条件とした。

そんな時、瀬野は救急搬送される患者を見かけてあとを追う。患者は心筋梗塞で倒れた丸岡はじめ(近藤公園)。瀬野は付き添って来た妻の彩乃(宮澤佐江)に丸岡の常用薬を医師か看護師に伝えるようアドバイス。彩乃がすぐに看護師に教えたため丸岡は難を逃れた。そして、丸岡は瀬野の隣のベッドに入院する。

みどりは瀬野への治験薬投与について薬剤部の仲間に話す。相原くるみ(西野七瀬)は希望を抱くが、刈谷奈緒子(桜井ユキ)たちは承認へのハードルの高さに難色を示す。それでも治験の実現を目指したいと言うみどりに、刈谷は他の患者へ迷惑をかけるようなことは許さないと釘をさした。

みどりとくるみは丸岡へ服薬の説明に行く。心臓病の再発防止のため、これから多種の薬を飲み続けなくてはならないと知った丸岡は経済面の事情もあり、みどりたちを荒い言葉で追い返してしまう。その様子を見ていた瀬野は、丸岡から飲まなくてはならない薬のリストを見せてもらった。

みどりは販田聡子(真矢ミキ)に頼んで治験審査委員会の準備を急いでもらっていると七尾に話す。すると、七尾は並行して瀬野の意思も確かめておいたほうが良いと言う。さっそく、みどりは瀬野に治験薬の説明をするが、即座に断られてしまった。

そこに来た七尾は瀬野の答えを予想していた様子。瀬野が去ると、七尾はみどりに話す。かつて、七尾は瀬野の母親にも治験薬を投与したことがあったが改善は見られず亡くなっていたのだ。

みどりが瀬野を追いかけて、治験薬について冷静に考えて欲しいと訴える。だが、瀬野は治験審査委員会を通す難しさも知っていて、何よりみどりには自分だけでなくすべての患者に丁寧に接するよう諭す。

その時、瀬野が倒れて救急センターに運ばれてしまう。心配するみどりに畑中は、瀬野の状態は緩和ケアへの移行期ではないかと告げた。

それでも、みどりは諦めきれず、夜の調剤室に残って治験薬承認に向けた資料を作る。だが、今まで瀬野から教えられた患者への接し方などが頭をよぎり、ついには方向性を見失いそうに…。

そこに来たくるみは、すべてを抱え込むなと言い、丸岡の担当は自分に任せて欲しいと話す。刈谷も顔を出し、治験審査委員会へ提出する資料づくりを手伝うと言う。さらに、羽倉龍之介(井之脇海)と工藤虹子(金澤美穂)も現れて、調剤は自分たちがやると引き受ける。仲間たちの協力で、みどりは資料作りに専念出来るようになった。

資料が出来ると、みどりは刈谷とともに治験責任医師となる畑中に再度協力を頼む。

一方、くるみは丸岡に経済的な負担を軽くしてもらおうとジャネリック薬品への処方変更を伝えに行く。薬の効能、効果を変えずに価格を抑えることが出来ると丁寧に説明するくるみに丸岡も応じる。自分の不安に真摯に向き合ってくれたことを感謝する丸岡に、くるみは先輩から教わった受け売りだが、病気に大きいも小さいもないと答えた。そんな会話を隣のベッドで瀬野が聞いていた。

治験審査委員会が開かれる。萬津総合病院の関係者や医療専門家だけでなく、一般の主婦なども含む外部委員も招聘(しょうへい)されていた。畑中の治験についての説明、みどりの補足とプレゼンは順調に進む。

ところが質疑応答に入ると、今回の治験は同じ職場で働く仲間を助けたいからではないかと言う質問が飛んだ。みどりは否定するが、外部委員などのえこひいきを懸念する声は収まらない。

すると、手を挙げた七尾は誤解だと話し出す。治験は1人の患者ではなく、すべての人々の安心のため、人類の未来のために行われると語る七尾の説得に治験は承認された。

会議後、販田は七尾に礼を述べ、瀬野の母親を助けられなかった時に一番悔しかったのではないかと聞く。今度こそ瀬野を救いたいと思ったのではないかと続ける販田に、七尾はより良い薬が早く広く人々に行き渡ることを願っているだけだと答えてその場をあとにした。

最後の関門は瀬野本人が治験に応じるかどうか。みどりは畑中と瀬野に審査委員会が通ったことを話に行く。みどりの後ろにはくるみや刈谷たちもいた。仲間たちの希望を求める顔に、瀬野は治験を受けることを決意する。しばらくすると調剤室に治験薬が届き、いよいよ瀬野への投与が開始されることになった。だが、肝心の瀬野が病院から姿を消してしまう。

みどりが瀬野を見つけたのは墓地。瀬野は母親の墓の前にいた。やはり治験は受けないと言う瀬野に、みどりはここには何度か来ていると話し出す。

実は、瀬野の母親、清水佐織里(田中美里)は、白血病で亡くなったみどりの妹の担当薬剤師だったのだ。その時、みどりは佐織里に心を癒してもらったため、薬剤師を目指すことに。だが、みどりが大学の薬剤部に入った頃に佐織里は入院。見舞いに行ったみどりは、佐織里のように患者のどんな悩みも相談してくれて、それに応えてくれるような薬剤師を目指すと約束していた。

話を聞いていた瀬野に、みどりは本当の気持ちを打ち明けて欲しいと頼む。すると、瀬野は闘病の辛さが思った以上だったと本音を話し出す。治験薬投与も、佐織里の最期の姿を見ていた瀬野には今まで以上の苦しみに襲われてしまうかもしれないという恐怖感があったのだ。

瀬野の心からの気持ちを知ったみどりは、ようやく一緒に病気と闘うことが出来ると感謝する。みどりは治験にしろ緩和ケアにしろ、瀬野が決めたことに自分たちが全力でサポートすると伝えた。みどりは瀬野を連れて調剤室に帰る。安堵する仲間たちの顔を見た瀬野は、改めて治験を受けると話した。

2年後。萬津総合病院の調剤室は相変わらず忙しい日々を送っていた。そこには、転職した小野塚綾(成田凌)も働いている。販田は大学から研修生が来たと簑島心春(穂志もえか)を紹介。心春は薬剤師たちを見渡すが、みどりと瀬野の姿がない。2人の所在を尋ねる心春に、刈谷が薬剤部はバラバラになったと告げた…。