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【オヤジンセイ】井上順 中学生の頃に出会った六本木野獣会からザ・スパイダースへ!「“井上順”という一つの形を作る大事な時間だった」

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さまざまな世界で活躍しているダンディなおじさまに、自分の人生を語ってもらう「オヤジンセイ~ちょっと真面目に語らせてもらうぜ~」。

年を重ね、酸いも甘いもかみ分けたオトナだからこそ出せる味がある…そんな人生の機微に触れるひと時をお届けする。

<これまでの【オヤジンセイ】記事はこちら>

今回は、日本の芸能界を代表するエンターテイナー・井上順が登場。ザ・スパイダースのメンバーとして10代でデビューした後、バラエティ番組だけでなく歌番組の司会や俳優としても活躍。その微笑みは見ているだけで温かい気持ちにさせてくれる不思議な魅力を持つ。

73歳でTwitterを始め、10月には人生初となるエッセー「グッモー!」(PARCO出版)を出版するなど、新しいことへの好奇心、意欲を持ち続ける井上のインタビューを前後編でお届け。前編は10代でデビューした彼のエンターテイナーとしての人生を振り返っていく。

母の何気ないひと言がきっかけに…「六本木野獣会」との出会いから始まった芸能界人生

僕の芸能界人生を振り返ると、すべては両親から始まっているんですよ。父も母も明るく、ホントに楽しい、いつも笑いの絶えない家でした。僕には兄さんと姉さんがいますが、末っ子の僕は2人と年も離れているし手がかかる子だったので、小さい頃は両親が映画に出かける時によく連れて行ってもらいました。映画館から帰ってきたら留守番をしていた兄さん姉さんに身振り手振りでストーリーの説明をする、そんな子どもでした。家にある蓄音機からは常に洋楽が流れていましたね。

【オヤジンセイ】井上順 中学生の頃に出会った六本木野獣会からザ・スパイダースへ!「“井上順”という一つの形を作る大事な時間だった」_bodies

ある日、中学1年、13歳か14歳の時かな。秋本さんという知り合いの家に連れて行かれて、母からいきなり「奥の部屋にみんないるから、順ちゃん行ってらっしゃい」って言われたんです。そこでは僕よりちょっと年上のお兄さんお姉さんがドラムを叩いたり、ギターやベースを弾いたりして洋楽を演奏していました。親の影響で(エルヴィス・)プレスリーやポール・アンカが大好きだった僕は一瞬で彼らの虜になり、一緒に楽しい時間を過ごさせてもらうようになったんです。

それが「六本木野獣会」(※)というグループでした。「野獣」と聞くとなんだか怖いイメージを持つ人もいると思いますが、目立つためにインパクトのある名前にしただけで、ミュージシャン志望やジャーナリスト志望、ファッションの世界などに憧れを持つ人たちばかりが集まっていて、全然怖い人たちではありませんでした(笑)。

※1961年に結成。当時の流行の最先端を行く六本木に集まっていた事から別名「六本木族」。すぎやまこういち、田辺靖雄を中心に構成されていたティーンエイジャーの遊び人グループ。メンバーは、ほかに峰岸徹、中尾彬、大原麗子、井上順、小山道広など。富裕層の子女が多く、最大30人前後で構成されていた。weblio辞書より(抜粋)

その中でも僕は、特に峰岸徹さんに可愛がってもらいました。ちょうどその頃はメンバーの田辺靖雄さんが歌手としてデビューした直後。まだデビュー前だった峰岸さんにご飯に連れて行ってもらったのが六本木だったんですよ。

「僕にとってはラッキー」ジャズ喫茶で演奏をする中でつかんだザ・スパイダース入り

その頃の六本木はまだ高速道路がなくて、都電が交差して走っていた時代。米軍キャンプがあって、防衛庁があって、普通のお店に混じってハンバーガーショップとかが並んでいて、日本でありながら異国に来ている感覚。テレビや映画で見たアメリカの世界がそこにありましたね。

【オヤジンセイ】井上順 中学生の頃に出会った六本木野獣会からザ・スパイダースへ!「“井上順”という一つの形を作る大事な時間だった」_bodies

ジャズ喫茶もあちこちにありました。銀座ACB、美松、テネシー、新宿ACB、それから池袋、上野にも。あちこちから声をかけられて「野獣会オールスターズ」として演奏したり、歌を歌ったり。そうしているうちに、両親から「学校どうする?」と聞かれて「なんかこのままこの世界に行きそうだね」って答えたら「じゃあ、もういい?」って言うから「うん」と。高校には進みませんでした。

当時、田邊昭知とザ・スパイダースは玄人受けするジャズを演奏していて、ゲストとしてかまやつひろしさんや堺正章さんが出演して2、3曲歌うというスタイルで活動していたんです。でも、田邊さんはそれでは将来性がないと思って新しい道を模索し始めて。

世界的に活躍していたレーサーの生沢徹さんや福澤幸雄さんとも交流があった田邊さんは、彼らから教えてもらう音楽やファッションなど、さまざまな外国からの最新情報や流行を取り入れ、かまやつさん、堺さん、そして大野克夫さん、加藤充さん、井上堯之さんというメンバーを揃えていったんです。

その時点で6人なんだけど、田邊さんは「もう1人いたほうがいいかな」と思ったらしくてね。確かにメンバーを見渡しても、個性派あるけれど今で言う「イケメン」がいなかったのかな(笑)。「おまえは客寄せパンダだから、立っているだけでいい」と後で田邊さんに言われましたけど、そうしてグループに入れていただいたんです。僕にとっては本当にラッキーでしたね。

こうしてスタートした新生ザ・スパイダースでしたが、最初の頃は僕ら7人よりお客さんのほうが少ないことがざらでした。でも、続けていくうちにだんだん人気が出てきて、ステージも入れ替え制になり、ある時、どうしてこんなに女の子がたくさん見に来るんだろうと思ったら、僕らのステージが修学旅行の見学コースに入っていた、ということもありました(笑)。

正直、この仕事を目指そうという強い意志のようなものはスパイダースに入ってもなかったんですよ。ただ楽しいだけ。毎日みんなに会えて、毎日新しい発見があるというのが本当に楽しくて。ようやくプロ意識が芽生えたのは20代後半くらいかな。でも、野獣会を経てスパイダースというかけがえのない時間を頂戴出来たというのは、僕にとって「井上順」という一つの形を作る大事な時間だったと思います。

【オヤジンセイ】井上順 中学生の頃に出会った六本木野獣会からザ・スパイダースへ!「“井上順”という一つの形を作る大事な時間だった」_bodies

「人生の先輩たちが僕を導いてくれた」「喜びや感謝の気持ちに正直に」

ただ、それもこれも戦後、世の中全体が「よし、頑張ろう」ということで、先輩たちが寝る間も惜しんで仕事をいっぱいして、次の世代の僕たちにレールを引いてくれたおかげです。手作りの時代を垣間見て先輩たちの偉大さを知り、いろいろなことを学んでいった。野獣会にしてもスパイダースにしても、僕の周りは全員先輩だったということも大きかったと思います。彼らが僕を導いてくれたんです。

「新しい日本が出来る」という空気、それだけでなく実際に建物や道路が出来上がっていく様子を目の当たりにしながら毎日を過ごしてきたことは、僕にとって大きな財産と言えるでしょうね。僕らの時代は、とにかく外に出て、泥んこになるまで遊ぶ時代でした。早く家に帰ると逆に「具合が悪いの?」と言われたりしてね(笑)。竹竿をバット代わりに野球をしていたら、隣町の知らない子もいつの間にか混じっていて、「人との出会い」に物怖じしない時代だった感じがします。

おかげさまでいろいろなことさせてもらってきましたけど、誰が良くなってもいいんですよ。だってみんな頑張ったわけでしょう。頑張った人には拍手を送ってあげたい。僕なんか人様のことをとやかく言えないし、そんな余裕もないし。当時の若い人たちが求めていた新しい音楽の形がグループ・サウンズであっただけで、時代というものはその時に生きていたみんなで作り上げていったんだと思います。

いつも笑顔で迎えてくれた両親を含め、たくさんの人たちに囲まれ、常に自分がにぎやかで元気でいることでここまで来られました。自分がやってることがすべて正しいとは言わないですけど、喜びや感謝の気持ちに正直に生きてきた、これだけは間違いないと思います。

【オヤジンセイ】井上順 中学生の頃に出会った六本木野獣会からザ・スパイダースへ!「“井上順”という一つの形を作る大事な時間だった」_bodies

その言葉の一つ一つから、両親やきょうだい、たくさんの先輩たちから愛されて育ってきたことが伝わってくる。後編では『夜のヒットスタジオ』『新春かくし芸大会』、そして人生のモットーについて語ってもらう。

【思い出の品】長嶋茂雄さんからいただいたスーツ

もう感謝しかないですよ。僕にとって神様以上の人からこうしてスーツをいただけるなんて。昨年、出演していたNHK朝の連続テレビ小説『エール』(※山崎育三郎演じる佐藤久志の親戚・木下一役で出演)を見てくださって、すぐに僕のところに電話をかけてきて「順ちゃん良かったよ」と言ってくれたんです。長嶋さんと僕は同じ洋服屋さんだから、その後すぐにお店の方に電話をかけてスーツをオーダーしてくださったそう。

【オヤジンセイ】井上順 中学生の頃に出会った六本木野獣会からザ・スパイダースへ!「“井上順”という一つの形を作る大事な時間だった」_bodies

以前にも1度スーツをいただいたことがあるのですが、それはもったいなくてあまり着ることができなかったんです。ただ今回は、出来るだけ着たいと思っていたところにこの取材のお話をいただいて。これは絶対にお見せしたいと思って、今日着て来ました。

王貞治さん、松井秀喜さんと一緒に歩いた、東京オリンピック開会式での聖火リレーは感動して号泣しました。今でもリハビリ中の身でありながら、何かあると現場に駆けつけるフットワークの軽さ、ステキですよね。こんなに素晴らしいスーツを仕立てていただけて本当に嬉しかったですし、大事に着たいと思います。

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撮影:河井彩美
取材・文:中村裕一

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