永作博美 看取りに寄り添う看護師僧侶と3つの家族の物語に「この出会いに力をもらいました」

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永作博美が、10月31日（日）14時～フジテレビで放送される『ザ・ノンフィクション「愛する人、見送る私 ～看護師僧侶と3つの家族～」』の“語り”を担当する。

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「人生の最後の時間を自宅で過ごしたい」と願う末期がんの妻・悦子さん。病院に迎えに来た夫の一（はじめ）さん（73歳）は、仕事一筋の人生で、家のことは悦子さんに任せきりだった。

妻に先立たれたら、ひとりぼっちになってしまう…。そんな不安を抱える一さんが憂うのは、妻に幸せな最後の時間を過ごさせてあげられるか、ということだ。

退院の1週間前、「主人といい時間を過ごしたい」という悦子さんが話をしていたのは、作務衣に身を包んだ僧侶の玉置妙憂（たまおき・みょうゆう）さん（57歳）。

余命宣告をされた人が多く入院する緩和ケア病棟で、患者の悩みや不安を聞いて気持ちに寄り添う。看護師でもある彼女は、多くの死の現場に立ち会ってきた。47歳のとき、夫を自宅で看取（みと）ったことをきっかけに出家し、“看護師僧侶”として患者や家族の心のケアを続けている。

別の日、妙憂さんが訪れたのは、愛する人を失った悲しみから抜け出せずにいる38歳の女性。8年前、新婚だった夫を突然亡くし、以来、自宅に引きこもる日々が続いているという。そんな彼女の心に、妙憂さんは、そっと寄り添い、話を聞き続ける。

また、別の女性も妙憂さんに悩みを打ち明ける。寝たきりになった母の介護を続ける娘さんだ。「最期は自宅で迎えたい」という母の願いを叶えたいと思いつつも、些細なことで母とぶつかってしまう。「幸せな人生だった」と、母に思ってほしいのに…。

愛する人を見送る人々と、そこにやさしく寄り添う看護師僧侶が出会った3つの家族の物語。“語り”を務めながら、ときに、言葉を詰まらせた永作はどんなことを感じたのか。収録後に聞いた。

――“語り”の収録はいかがでしたか？

こういった作品を見させていただき、寄り添わせていただき、うれしいです。すごく強い精神をお持ちの方々に会わせてもらえることがうれしいといいますか、今日、この出会いに力をもらいました。

しっかり自分に向き合って、闘っていらっしゃる。もちろん、生きている限りはさまざまなことと向き合っていく必要があるわけですけど、そのひとつを終えられた方、それを見送った方、寄り添うといった方々を、こうやって間近に感じさせてもらえるのは、とても貴重なことだと感じました。

――見送られる方、見送る方、そのどちらもが強いと感じましたか？

そう思いました。多くは語られなかったとしても、思いを伝えられた方の気持ちをはっきりと見ることができて。ただ単に弱い、強いというのではなく、みなさん全員が全員“違うんだ”ということを、ちゃんと見せてもらえているのが、すごく力強く感じました。

――看護師僧侶の妙憂さんには、どのような印象がありますか？

まず、第一印象の透明感。それに驚きました。それで、お話をされる様子を見ると、いい意味でフラットというか、本当に普通の感じになるんです。ご自分が“ここにある”ことに、嘘をつかず真正面から生きようとされているのが感じられて。ご経験もあるのでしょうけど、ご自身の道をまっすぐに生きていらっしゃる姿がとても素敵だな、と思いました。

――余命宣告された方々やご家族を、話を聞くことで癒していました。

お互いを思い合っているのに、顔を合わせるとどうしてもケンカしてしまうお母さんと娘さんがいて。その間に入る妙憂さんは、ふたりの話をただ聞いて、聞いて…。おそらくご自身がどう応えたらいいのか、毎日、そのことだけを考えていらっしゃるのではないでしょうか。それなのに、あの軽やかさ。相当な覚悟で、ご自分の経験と向き合ってこられたんだろうと、想像しました。

そういうたくさんの思いが、幾重にも重なっているのが見えたので、私は本当にただ言葉を添えられればいい、という気持ちでナレーションを務めました。

――収録の後半では、堪えきれず…という場面もありました。

『ザ・ノンフィクション』に来させてもらうと、いつも「今日こそは絶対（涙を）我慢する」と思うんですけど、ダメなんです。しゃべれなくなっちゃうんですよね。

今日も、一さんと悦子さんの仲の良さを見て…一さんが撮った悦子さんの写真の美しさ、そのすべてが孤高な感じがして…。一番好きだったのは、一さんが悦子さんのことを「美人だったよ」と紹介するところ。見送る話ではあるんだけど、ニヤニヤしちゃいました。

おふたりがやさしく会話されていたり、正直に気持ちをお話されていたりするのも、印象的で。あんなふうにお互いを思い、思われるという関係で終盤に向かっていくのは、とても幸せなことだなって。

そして、（娘と衝突していたが、妙憂さんと話すことで癒された）お母さんが、本当に幸せな気持ちを感じられるようになった、ということも、関係のない私からしても心から「ああよかった」と思えましたし、幸せをもらった気がしました。そこに、ずっと対峙してこられた娘さんも、偉かったな、と思います。

ただ、生きているだけなのに、本当にいろんな方が頑張っていらっしゃるんだな、と思いました。