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「自分は無口で、すぐ泣く人間でした」尾野真千子、新人賞2人へのメッセージ

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1964年より「日本映画の復興」を旗印に設立された、全国紙で唯一の映画賞「毎日映画コンクール」。

2月15日に「第76回毎日映画コンクール」の表彰式が行われ、各賞に輝いた受賞者が登壇しました。

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スポニチグランプリ新人賞には、「茜色で焼かれる」に出演した、片山友希さんと和田庵さんが選出されました。

「カンヌのレッドカーペットを歩きたい」

片山さんは、「ありがとうございます。新人賞を和田庵さんと一緒に獲れたことが何より嬉しいです。石井裕也監督が私をこの作品に呼んでくれなければ、こんなに嬉しい日が来ることはなかったと思うので感謝しています」と喜びを表現。

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和田さんは、「こんなに素晴らしい賞をいただけて驚きと喜びでいっぱいです。僕を選んでくださった方々本当にありがとうございます。そして、僕をこの場に立たせてくださった石井監督に感謝の気持ちでいっぱいです。新人賞は一生のうちに1度しか獲れないので、嬉しいのですが、今まで以上に頑張らなければいけないという気持ちにあふれています。これから役者として、精進しますのでよろしくお願いします」と一礼。

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胸元が大胆に開いた赤いドレスで登場した片山は、「『茜色に焼かれる』なので、赤で攻めていこうかなと思いまして」とほほ笑み、「賞をいただけて、少しだけ自信がついたので、調子に乗らずにコツコツと続けていきたいです。願い事は口に出した方が言いと聞きましたので…フランスに憧れているので、カンヌのレッドカーペットを歩きたいです」と夢を明かしました。

和田さんは、「田中純平を演じるにあたって、僕と性格が違うことが多く、演じるうえで苦労することも多かったです。そのうえで石井監督には、もっと間を意識して演技をするようにと指導していただき、それからは、今まで以上に間に対して意識して演技をしていきました」と振り返ると、和田さんのゆっくりと丁寧にしゃべる様子に司会者から「今も十分に間をとられてしゃべっていましたよ」と突っ込まれ、照れる場面も。

石井監督からのメッセージ「2年後くらいに」

女優主演賞には、新人賞と同様に「茜色に焼かれる」での演技が評価された尾野真千子さんが受賞。

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尾野さんは、「女優というものをやっていて、よく孤独に感じることがありました。でも、この作品に出合えて、『1人じゃないんだな。みんなでやっているんだ』とすごく思えた作品でした。(キャストやスタッフの)みんなと飲みたいです。こんなに嬉しいことはありません!」と感激。

本作について、「生っぽさと血が通っている作品だと感じました」と語り、コロナ禍での撮影については「世の中がピリピリしていましたけど、現場は少人数で撮影が行われていたので、ピリピリというか、みんなの熱量や勢いがすごかったなと感じました」と振り返りました。

また、片山さんと和田さんがステージに登壇する一幕も。

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片山さんは、「おめでとうございます!私は、尾野さんに感謝していまして、すごく自分のふがいなさを感じながら、ずっと撮影をしていたんです。(撮影でうまく演技ができないときに)尾野さんはただ待ってくださって、本当にありがたかったです。本当にただ、待っていてくれた。本当にありがたかったです。(新人賞を)受賞できたのも尾野さんのおかげだと思います」と感謝しました。

尾野さんは、「お芝居は感じて生まれてくるものですし、石井監督も待つ方なので、私なんかが言ってもしょうがないよね。みんなで生まれてくるのを待っていた感じですね」と笑顔で返しました。

石井監督からサプライズで手紙が届くと、司会者が代読し、「片山友希さん、和田庵くん、スポニチグランプリ受賞おめでとう。とてもうれしく思う反面、少し心配もしています。賞をもらうと、往々にして悪いことが起こるものです。今年は大丈夫だと思いますが、2年後くらいは特に気を付けてください」と呼びかけました。

また、「2人を選んだのは私ですが、その時からすでに才能が溢れていたからです。この作品で才能が開花したわけではないし、今回の受賞によって急激にパワーアップするわけでもありません。最初からすごかったんです。なので、調子に乗らずにこれまで通り一生懸命に頑張ってもらえたらと思います」と言葉を送りました。

続けて、「女優主演賞の尾野真千子さんおめでとうございます。片山さんと和田くんが評価されたのは、ほとんど尾野さんのおかげだと思っています。尾野さんの圧倒的な熱量と覚悟が若い2人に伝わったのだと思います。

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映画の歴史が継承されているのを現場で見ることが出来て、うれしかったです。3人が3人とも、まともな会話をする人でないないので、今日くらいはじっくりとコミュニケーションをとってみては。それと、尾野さんも2年後くらいです。気を付けてください」とユーモアのあるメッセージを送り、会場に笑いを誘いました。

尾野さんは2人を見つめながら、「気をつけましょうね」とほほ笑んで、会場の観客からは笑いと拍手が起こりました。

尾野真千子、3人受賞に喜び「うれしい!」

授賞式後に、記者からのインタビューに答えた、尾野さん、片山さん、和田さんの3人。

1つの作品から新人賞が2人出たことに対して、尾野さんは「すごいですよね。頑張った結果だと思います。本当にもがいたんです。キャストもスタッフも監督も苦しんで、もがいて、絞り出して、毎日芝居をしました。(片山と和田の)2人も自信がついたんだろうなと思います。母のように嬉しい」と表現しました。

尾野さん自身が新人のころについて、「無口で、コミュニケーション不足で、こういう場に立つとすぐに泣いて、うまいことも言えずに帰る…そういう人間でした」としみじみ。

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2人にアドバイスを求められると、「ずうずうしくなりますから、年々といろいろな場所に連れて行ってもらい、知り合いも増えていくと、いつかこうなるんです」と話し、記者を笑わせました。

この作品の舞台挨拶で、以前号泣した尾野さんは、「私の代表作の1つになりましたし、(号泣したのは)いろんな思いが頭の中に回って、悔しかったり、もどかしかったり、いやなことしか頭に思い浮かばなかったからです。(コロナ禍で)映画館の客席がたくさんあるのに、すべて埋められない悔しさを目の当たりにして、命を懸けて1つになって映画を制作したのに、『映画館に行かないでください』と言われるんだと、悔しくて…」と振り返りました。

続けて、「『一般の人に思いを伝えたい』という思いでやっていたので。いろいろなことを乗り越えて、たくさんの人に見てもらおうと、思いをつぶやかせていただき、こうやって3人で賞が獲れたという…。たくさんの人に見ていただけた成果でもあるし、思いも伝わったということだと思います。こんな幸せな気分になれる作品って、今までなかったです。心からこの作品に感謝です」と思いを明かしました。

最後に、今の気持ちを聞かれると、「うれしい!」とニッコリ笑顔で締めくくりました。

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受賞者・作品

日本映画大賞:「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)
日本映画優秀賞:「すばらしき世界」(西川美和監督)

外国映画ベストワン賞:「ノマドランド」(クロエ・ジャオ監督)
(ウォルト・ディズニー・ジャパン 目黒敦)

男優主演賞:佐藤健「護られなかった者たちへ」
女優主演賞:尾野真千子「茜色に焼かれる」
男優助演賞:仲野太賀「すばらしき世界」
女優助演賞:清原果耶「護られなかった者たちへ」
スポニチグランプリ新人賞(男性):和田庵「茜色に焼かれる」
スポニチグランプリ新人賞(女性):片山友希「茜色に焼かれる」

監督賞:濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」
脚本賞:?田恵輔「空白」
撮影賞:笠松則通「すばらしき世界」
美術賞:原田哲男「燃えよ剣」
音楽賞:林正樹「すばらしき世界」
録音賞:浦田和治「孤狼の血 LEVEL2」

アニメーション映画賞:「岬のマヨイガ」(川面真也監督)
大藤信郎賞:「プックラポッタと森の時間」(八代健志監督)

ドキュメンタリー映画賞:「水俣曼荼羅」(原一男監督)

TSUTAYA 映画ファン賞・日本映画部門:「るろうに剣心 最終章 The Final」(大友啓史監督)
TSUTAYA 映画ファン賞・外国映画部門:「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(東宝東和 山﨑俊)

田中絹代賞:宮本信子

特別賞:岩波ホール(エキプ・ド・シネマの活動)(岩波ホール 岩波律子)

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