家族以外の“誰か”との関わりで勉強のモチベーションがアップ？ベネッセ＆学研に聞く臨時休校中の学習法

現在、多くの自治体で新学期から臨時休校が続いている。大型連休後に登校が始まった地域もあるが、東京都をはじめ感染者数の多い地域では休校解除後も学年別の分散登校が検討されるなど、学校活動が元の形に戻るには時間がかかることが予想される。

オンラインで授業を開始した学校もまだ少なく、臨時休校中の児童・生徒は学校から配布された宿題に自宅で取り組む日々。宿題の内容や量が学校によって異なるなど、保護者からは不安の声もあがっており「1日中、つきっきりで子供の勉強を見ているわけにもいかない」と悩んでいる保護者も多いのではないだろうか。

そんな中、学習に関わる企業は、様々なサービスを無料で提供中だ。ドリルに書籍、アプリや動画など…その内容は多岐にわたる。

そこで注目されているのが、株式会社ベネッセコーポレーションが高校生向けに提供しているライブ配信サービス「自宅学習を応援！先輩チューターツイキャス配信」と、株式会社学研ホールディングスが中学生向けに提供している「家庭学習 サポートサイト(β) 」。どちらも、現役の大学生が子どもの学習の悩みにリアルタイムで答えてくれる、画期的なサービスだ。

今回、フジテレビュー!!ではベネッセと学研の担当者を取材。小学生から高校生までの自宅学習の取り組み方と、親の上手なサポートの方法を聞いた。

まず、ベネッセの「自宅学習を応援！先輩チューターツイキャス配信」は、同社の通信学習教材「進研ゼミ」を利用していた大学生（通称『先輩チューター』）の提案でスタートしたサービス。

大学生が学年別にその日のテーマに合わせた動画をライブ配信し、高校生の質問にリアルタイムで答えてくれる。

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ベネッセの担当者によると、「進研ゼミ」出身の大学生は“自学自習のプロ”。

ここでは全国の大学に通う“プロ”たちが、日々のスケジュールの立て方や学習法をはじめ、「文系と理系の選択法（高1向け）」「志望校の選び方（高2向け）」など、親でも答えるのが難しい進路のテーマをわかりやすく解説してくれる。

学研の「 家庭学習 サポートサイト(β) 」では、無償提供中の学習教材「ニューコース学習システム」を利用する中学生の質問に、家庭教師のマッチングサービス「スマートレーダー」に登録している東大、東工大、一橋大、京大、阪大などに通う大学生がリアルタイムで回答してくれる。

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質問は専用の掲示板やチャット、LINEで受け付けているが、学研の担当者によると、活発に使われているのはやはり中学生にとって身近なツールであるLINE。勉強内容と同時進行で夢について語り合うなど、個性豊かなやり取りが繰り広げられているという。

両社の担当者が双方向サービスの利点として声を揃えるのは、「自宅学習＝“指導者不在”の状況が続く中で、家族以外の誰かから“ほめられる”ことが、学習のモチベーションになる」ということ。

また、ベネッセの担当者によると、大学生の助言で勉強の目的を可視化した結果、「ぼんやり勉強をする」という状態から抜け出すことができたという例も。

アドバイスの内容は同じでも、難しい年齢の子にとっては、親ではなく年齢が近い先輩の言葉の方がすんなり入るのも当然といえば当然。先生や友達、先輩と会えないフラストレーションも解消できそうだ。

オンライン＆双方向のやり取りに向かわせるのは、少々心配な小学生の場合は、どうしたらいいのだろうか？「やさしくまるごと小学」シリーズという、学習教材に沿った授業動画を無償で配信している学研の担当者に、小学生の自主学習のポイントを聞いた。

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小1〜3の場合、「〇時から〇時は、この教科のここからここまで頑張る」と親子で計画を立てるところからスタート。その上で、時間内に取り組む教材と、課題が終わった後の過ごし方まで親が準備しておくことが必要、とのこと。

動画教材を取り入れる際は、「まず動画を見る→終わったら教材を解く、という流れを事前に子供と確認を」とのアドバイスも。学習時間は、子供の集中力や、親の仕事や家事の区切りに合わせて設定すると双方ストレスフリーに過ごすことができそうだ。

小4〜6は、朝、1日の「TO-DOリスト」を確認した上で、子供がそれぞれのペースで進めているか、時々チェックしてあげると効果的だという。自分で時間割を決めるのが難しい場合、各社が提供している時間割を参考にするのもよいだろう。

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また、親が仕事や家事で子供に対応できない時間帯は、身体を動かす時間や、読書時間に指定するなど工夫するだけで、親のストレスも軽減できるそうだ。

出勤中なら、朝のうちに「この時間に連絡するから、ここまでを終わらせておこう！」と約束して、メールや電話で確認してあげるのも一つの方法。

時間の余裕がある日には、一緒に食事を作るのも「勉強時間」にカウント。計量カップを使う、レンジでチンする時間をカウントダウンする、などの作業が算数や理科の学習につながるそうなのだが、そう考えるとキッチンには学習に直結するアイテムが満載！

座学だけではなく、生活そのものが勉強だと視点を変えるだけで、「勉強が遅れてしまう…」というプレッシャーから少し解放されるかもしれない。

とはいえ、やはり勉強が遅れてしまうと焦る気持ちに対しては、両社ともに「今やるべきは、まずは復習」という声が返ってきた。

学校再開後、授業は普段以上に急ピッチで進むことが予想される。今のうちに「基礎」をしっかり定着させることで、学校再開後の授業への対応力を養うことができるのだ。学校から予習の課題が出されている場合は、それに取り組みつつ、余った時間は復習に使うといいとのこと。

また、夏休みの短縮によって「夏休み中に苦手を徹底的に克服する」という“受験生の必勝法”が崩れてしまう可能性もあるが、ベネッセの担当者は「夏休みを先取りするつもりで、今のうちに苦手分野を克服しておけば安心です」と言葉を添えた。

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学研の担当者によれば、まだ授業がスタートしていない小学＆中学1年生にも同じことが言えるという。

中1の場合、数学で学習する「円の面積＝πr²」は、小学校で習った「半径×半径×3.14」が文字になっただけ。具体例をあげてもらえるだけで、小5〜6の学習内容をこの時期に固めておくことの重要性がしっくりくる。

また小1の場合は、「何時何分を分単位まで理解する『時刻と時間』の単元は小2なので、まずは生活の中で、何時、何時半、を認識させる声がけをすること。あとはひらがなの読み方、鉛筆の持ち方など、下地を定着させておけば十分」なのだそうだ。

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最後に、親の寄り添い方へのアドバイスももらった。

「まずは、学習環境を整えるために重要な“3点固定”＝朝起きる、夜寝る、勉強する時間を守るための声かけをしてあげてください。また、気持ちのサポートも大切。先生や友達に会えない寂しさ、部活動の大会がなくなってしまった悔しさを受け止めて、前向きになれるものを一緒に探してあげられるといいですね。何よりも大切なのは、毎日の頑張りを認めてあげること。些細なことでも、『頑張っているね』『ありがとう』と声をかけてあげてください」（ベネッセの担当者）

「こんなに長い時間、親と子がお互いの仕事や家事、勉強中の姿を見ることができるのは、今しかできない貴重な体験と言えるかもしれません。姿が見える分、『やりなさい！』と言いたくなりますが、ここはグッと我慢！『言わんこっちゃない！』という結果になるかもしれませんが（笑）、失敗しないとわからないこともありますから、まずは見守る気持ちが肝心です。あと、声をかけるときは『頑張って』ではなく、『頑張ってるね』と、努力を認めてあげることが大切だと思います」（学研の担当者）

先生や友達から頑張りを認めてもらう機会が少なくなっていることが、子供のやる気が上がらない一因なら、親の声のかけ方一つで子供のやる気がアップするのかもしれない。

長引きそうな自宅学習の機会を、親子ともに成長するための助走期間として上手に使っていこう。

ベネッセ　進研ゼミ高校講座「自宅自習を応援！先輩チューターツイキャス通信」 （現在5月28日まで配信内容が決定。過去の配信も上記サイトから閲覧可能）

学研 「家庭学習 サポートサイト（β）」

学研「やさしくまるごと小学」シリーズ

（学研が無料提供中の「家庭学習応援プロジェクト」は、5月31日まで。サービスによって終了期間が異なるものもあるので、詳しくはサイトを参照のこと）