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【オヤジンセイ】津田寛治 俳優としてのこだわりは「表現しないこと。お客さんを信じたい」

1月4日(土)23時40分~『悪魔の弁護人 御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~』第5話

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さまざまな世界で活躍しているダンディなおじさまに、自分の人生を語ってもらう『オヤジンセイ~ちょっと真面目に語らせてもらうぜ~』。

年を重ね、酸いも甘いもかみ分けたオトナだからこそ出せる味がある…そんな人生の機微に触れるひと時をお届けする。

3回目のゲストは、現在放送中のオトナの土ドラ『悪魔の弁護人 御子柴礼司 ~贖罪の奏鳴曲~』(毎週土曜日23時40分~)に出演中の俳優・津田寛治。

前編では映画の世界に憧れ、映画館という空間にどっぷり浸かった子どもの頃から、上京後の北野武監督との出会いまでを振り返ってもらった。

後編では、現在54歳の彼がたどり着いた俳優としての境地、そして、彼が思い描く「もう一つの人生」について迫る。

缶コーヒーCMと映画『模倣犯』でブレイクした30代後半

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『ソナチネ』(1993年)以降、ありがたいことに北野武監督の映画にちょくちょく出させていただくようになりましたが、バイトはしたりしなかったりとまだ生活は安定はしてませんでした。いろいろなオーディションにも挑戦したけど、軒並み落っこちてましたし。

そんな中で、缶コーヒー『BOSS』のCMキャラクター(1999年~2001年)に起用されたのは不思議な縁でしたね。面白そうだと思って受けたら、そこにいらっしゃった監督さん(関口現氏)やプランナーさん(多田琢氏)のセンスがめちゃくちゃ飛び抜けていて「この人たちと仕事したい!」って思ったんです。それはCMというよりまるで映画を作る感覚というか。

でも、合否の通知が全然来なくて、「これで落ちたらこの後さすがに頑張る自信ねえなぁ、またバイトやらなきゃなぁ」って考えて、自分の中ではけっこう大きな境目だったんです。そしたら忘れた頃に、「受かったよ」っていう知らせが届いたんです。これでまたなんとか生きていけるって思って。おかげさまでCMは好評だったようで第2弾、第3弾にも出させていただきました。

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30代はインターネットも普及し始めた頃で、世の中が全体的に面白かったんですよね。僕も自分で「自由帳」っていうホームページを作って、そこに集まったさまざまな人たちと交流をしていました。で、その中の一人が、森田芳光監督の『模倣犯』(2002年)の話を持ってきてくれたんです。

それもまったくの運というか偶然というか、主役3人のうち、ピース役の中居正広さん、カズ役の藤井隆さんはすでに決まっていたのですが、森田監督がヒロミ役をずっと探していたそうで。なかなか決まらなくて、監督が自分の事務所のスタッフに誰かいないか尋ねたら、その方の友だちが僕の大ファンで推薦してくれたんです。

僕はもう森田組の仕事と聞いて「どんな役でもやらせて欲しい」と、同時期に割と大きな役で決まっていた映画を丁重にお断りしてお引き受けしたら、想像をはるかに超えた大役で驚いたのを今でも覚えています。おかげさまでこの作品でブルーリボン賞の助演男優賞を受賞、俳優として生まれて初めて賞というものをいただきました。

50代にしてたどり着いた「表現しない」ということ

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そんな感じで、ギリギリ30代最後になんとか役者でメシが食えるようになりましたが、逆に、そこで行き詰まったというか、仕事に対して何か勘違いをしてしまった。その頃、子育てもあったから、自分のベクトルが芝居より“人生”に向き始めて、仕事を“人生をうまくいかせるためのツール”として扱ってしまったんです。でも、そう考えだした途端、自分で納得のいく芝居ができなくなった。精神的に不安定になってセリフの覚えもどんどん悪くなっていって…。

結局、40代は忙しいことを「ありがたい」と思えなくなってしまったんですね。「いい年齢の大人なんだから、これくらい(仕事があっても)当たり前だろう」と。それはまったくの間違いで、役者の仕事というのは、来ること自体が“奇跡”なんです。それに一つ一つ爪を引っかけていかないと、簡単に生き残れるほど甘い世界じゃないっていうことが骨身に染みてわかりました。

そういう状態から「どうやって抜け出せばいいのか」って考えた時、「これはもう1ランク上のステージに来たんだ」と思うことにしました。セリフが入らないんだったら人の何十倍も台本を読めばいい。それまで台本を読みすぎると芝居がつまらなくなると思ってあまり読んでなかったのを、めちゃくちゃ読むようになった。そしたら芝居がめちゃくちゃ楽しいんですよ(笑)。

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俳優としてのこだわりは年齢や時代によって変わっていきますが、54歳の今の自分にとっては「表現しないこと」です。つまり、何かを伝えようとしない。例えば今出演している『悪魔の弁護人~』も、検事役なので膨大な説明セリフがあるのですが、昔の自分だったら視聴者にちゃんと伝えなくちゃいけないから、全部を解析していたと思うんですよ。「ここは引き立てて、ここは流しながら(言おう)」とか。

でも、今回はお客さんにいっさい伝わらなくてもいいって。とにかく俺(が演じる岬恭平)は次席検事で頭がいいし、相手の御子柴(要潤)も超頭がいいヤツだから、もう早口で息継ぎもなしにバーって言おうと。すごく頭のいい奴同士の会話って、そんなだったりしますよね。

それだとお客さんに伝わらない、と監督にも言われたんですけど、僕は逆に伝わると思うんです。それは『シン・ゴジラ』(2016年)*で実証済みというか。

*津田も出演した大ヒット映画。膨大なセリフ量のため、監督からの指示で全員が早口でセリフを言った。

やっぱりお客さんを馬鹿にしてはいけないし、こっちが命がけでやったことは必ず伝わるから、お客さんのために“下に降りて”説明するっていうことはしなくていいと思うんです。

僕らの仕事は、「表現する」仕事じゃなくて「感じる」仕事なんだって。最後はそこに行き着く気はしますね。今はとりあえず、それをできるようになりたいです。自分の本当に納得行く芝居をしたい。60代になっても70代になっても。

新しい「オヤジ」を目指していきたい

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この連載「オヤジンセイ」っていうタイトルですよね。僕は“オヤジ”って呼ばれても全然構いませんし、むしろ嬉しいくらいですけど、今の時代オヤジの定義が難しくなってきていると感じます。

昔だったら「大人がいつまでもゲームやってちゃダメだ、漫画なんか読んでちゃダメだ」って言われてたでしょう。でも、今はオヤジでも漫画を好きなだけ読んだり、ゲームも好きなだけやったりしてるじゃないですか。僕だけではなくて、今の時代、50代半ばくらいはみんなそんな感じだと思いますよ。自由になってますよね、オヤジが。

そう考えると、これから先、まったく新しい オヤジがもっともっと出てくると思うんです。これだけ社会が激変してるし、医療も発達してるから、寿命もどんどん伸びるだろうし。僕、量子力学が好きなので、そういう関連の本とかYouTubeとかよく見るんですよ。今ってそんなふうにオヤジの好奇心が開放されている時代だと思うんです。

例えば今までの70代と、僕らの世代の70代って絶対に違うだろうし、これから先、見たことのない70代の人たちがたくさん出てくると思う。そういう人たちが作っていく俳優の世界っていうのもまた、今まで誰も見たことのないものになるでしょう。

ポリシーを持ってしまうと、そこで先が見えてしまうので、僕の場合、ポリシーを持たないことがポリシーなのかもしれません。そういう気持ちをいつまでも忘れずに、オヤジとしてこれからも新しいモノ、未知なるモノに臆せず飛び込んでいきたいですね。「ニューオヤジ」っていうと、なんだか熱海っぽいですけど(笑)。

【津田寛治、画家になる】

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「もし、俳優にならなかったら?違った自分になってみてください」。その質問に、津田さんから返ってきた答えは「画家」。今回の取材でも、カメラマンの姿をクロッキー帳に鉛筆でサラサラと描いていた姿がとっても様になっていた。

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画家の世界も俳優の世界に引けを取らないくらい大変なので、そこで自分が食えている未来は想像しづらいですけど、画家になっていたら、今までにないものを描いていたかもしれないという、なんとなくの自信はあります(笑)。油絵ですが、今でも1年に1枚くらい描いてチャリティーに出したりしています。漫画を描くのも好きで、小学校の頃には『走れ短足くん』っていうギャグ漫画を描いたこともあったなぁ(笑)。

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(取材・文/中村裕一 撮影/河井彩美 ヘアメイク/カヤハラリサ 撮影協力/gallery 201 )

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