前作から13年、依然独身を貫くだけはなく、さらに偏屈度が増した桑野信介(阿部寛)。しかし、ここ最近、彼の身辺に、美女2人…いや3人が出現!
今度こそ桑野に春が来るのか来ないのか、その展開が気になる『まだ結婚できない男』。そんな桑野の前に現れた女性の一人が、吉田羊演じる弁護士の吉山まどかだ。
皮肉屋の桑野とは、ぶつかり合うことが多いが、なんだかんだ心の距離は近づいているようで…。
今回、まどかを演じている吉田に、役柄について、阿部との共演、尾崎将也の脚本、自身の人生観などについて聞いた。
<吉田羊インタビュー>
――吉山まどかという人物をどう捕らえていますか?
まどかを単体で考えるよりも、桑野さんを基準にして相対的に組み立てた方がいいと思いました。(桑野が)13年間一人だったということは、やっぱり、生活スタイルや哲学などがより強固になっていると思ったんです。
そこに太刀打ちできる人って、いったいどういう人だろうと考えた時に、まどかも桑野さんと同じようにひと言多いし、詰めが甘い(笑)。そういう似たもの同士だからこそ、興味を持つのかな、と。
13年間、恋愛や結婚に挑む勇気がなかったとしたら、気が強くて、ひと言多くて、桑野さんのフィールドにズカズカと入っていける強さを持った人だからこそ、桑野さんがちょっと門戸を開いたんじゃないのかなと思っています。
――確かに、まどかは凜としていますが、人間くさいところもあって、その緩急がドラマの世界観に合っていると感じます。
一番意識したことは、前作と同じだったら続編をやる意味がないので、私がやる意味ということを考えると、ひるまないということですかね(笑)。
前作で桑野さんが出会った女性たちが“受け”だったとしたら、今作はそれにプラスして桑野さんに踏み込んでいく、というところはお芝居として意識しました。
大人になってからの恋愛は難しい
――まどかも40歳を過ぎて独身。桑野は53歳。大人になってからの恋愛は難しいですね。
難しいですよ。私自身が桑野さんみたいなものなので、彼のセリフに共感することばかりです(笑)。やっぱり、ここまで一人だと、一人の方が楽だし、生活スタイルも確立されて、そこに新しい誰かを入れるというのは、すごく勇気とパワーがいることなんです。
だから、相当個性とアクが強くないと門戸を開かないので、よりぶつかり具合は強いと思います。凝り固まったものを突き崩していくには、それくらいの強さがないとダメですから。
――今後、大人の恋愛のリアルさみたいなところも出てくるのでしょうか?
大人かどうかが疑問ですけどね(笑)。言われたら言い返す、みたいなやりとりも多いですし、大人ならグッと我慢することも言わずにはいられない2人なので、むしろ子供っぽいシーンもあります。
でも、大人になるといろんなことを飲み込む人が多い中で、我慢せずに言い合える相手がいるのは、すごく大事なことだと思いますし、このドラマを見て、「大人になっても、言いたいことは言ってもいいんじゃない?」と思う人がいたら素敵だと思います。
本当は伝えたかったのに、伝えられずにうまくいかなかったっていうことは、大人になるときっとあるはず。あの時に言えばよかったと後悔するのではなくて、人生一度きりですから、言いたい時に相手に気持ちを伝える。そのことの大切さが、このドラマで少なからずだれかの背中を押せればいいなと思います。
――阿部さんとは初共演ですが、阿部さんは、独特の間やアドリブも多いそうですね。
阿部さんとは、やっとお会いできました。阿部さんがおっしゃっていたのですが、アドリブはおもしろくしようとしてやっているのではなくて、相手の芝居を見て、空気を感じて返しているだけですって。だからこそ、すごく生っぽいし、その場で偶発的に生まれる感情やお芝居を生かした結果、それがアドリブになる、と。
私も、空気を感じて、アドリブを入れたお芝居を阿部さんに返すという感じ。阿部さんは、こちらが何を投げても、受けて返してくださる方。受けあってこそなんですよね、私の芝居は。相手の方に助けられる人生です(笑)。だから、お芝居をしてて、すごく楽しいです。
――それができるのは、尾崎さんの脚本だからだと阿部さんがおっしゃっていました。尾崎さんの脚本は、どう感じていますか?
細かいお芝居を指定されていない脚本なので、想像したり遊び甲斐がありますね。同じセリフにしても、サラッと読むとつまらないんだけれども、笑い方一つ、声のトーン一つ変えただけで、そのセリフにグッと意味が出てくる脚本なので、俳優として読み方やお芝居を試される、おもしろいんだけど、実はすごく厳しい脚本だなと思います。
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