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村瀬健P『silent』から1年 生方美久との再タッグに「今回もすごいドラマになっちゃう」_site_large

村瀬健P『silent』から1年 生方美久との再タッグに「今回もすごいドラマになっちゃう」

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村瀬健プロデューサーが、10月スタートの木曜劇場『いちばんすきな花』について語りました。

昨年大ヒットした『silent』で脚本家デビューした生方美久さんと村瀬プロデューサーが再びタッグを組むことと、主人公が4人いる“クアトロ主演”で話題を呼んでいる『いちばんすきな花』。本作は、4人の男女が繰り広げる“友情”と“恋愛”をテーマにした物語です。

主演4人のうち、多部未華子さんと松下洸平さんが発表されていて、残り2人の発表に期待が高まっています。

そんななか、村瀬プロデューサーが取材会に出席。『silent』でリアルな会話とシチュエーションを軸に純愛を繊細に描いたチームが、一体どんな物語を紡ぐのか。タイトルや役名に込めた思いなどたっぷり語ってくれました。

<多部未華子『いちばんすきな花』に出演!『silent』村瀬健×生方美久コンビによる4人主演ドラマ>
<『いちばんすきな花』主人公の1人は松下洸平!「いいことも悪いことも、隠さずに描くドラマ」>

生方美久が描く、愛すべきキャラクターたち

<村瀬健プロデューサー インタビュー>

──今回の企画を立ち上げた経緯を聞かせてください。

『silent』が終わるぐらいの時期に、来年もう一度、生方美久さんと一緒にやろうということは決めていました。会社からも「ぜひ2人でやってほしい」と言ってもらえまして。

僕は昔から「男女の間に友情は成立するか」というテーマをドラマにしたいと思っていたのですが、物語化することが難しいテーマでもあるんです。

『silent』を一緒にやって、生方さんとならこの難しいテーマを面白く描けるんじゃないかと思い、提案してみたら「書いてみたいです」と。そこから2人でいろいろ話して、企画として形にしていきました。

「男女の間に友情は成立するか」というテーマを掲げて、結局それが恋愛になる物語とか、もしくは、恋人同士だったけど友達にもなれるというような物語は過去にもありました。

でも、そうではなくて、男女の間に友情は成立するかどうかを入り口としつつ、「そもそも恋愛と友情って何が違うの?」ということを考えてみたいと思ったんです。

愛にも友情にも、いろいろな形があります。もはやその言葉だけで括れないというか。例えば、「一番の親友は彼女です」と言う人もいるし、家族においても「友だち母娘」という言われ方をする関係もある。家族愛、きょうだい愛、いろんな愛を全部ひっくるめて、「友情」と「恋愛感情」って何が一緒で何が違うんだろう?と。

そういういろんな愛を全部ひっくるめた物語が作れたら、面白いドラマができるんじゃないかと思いました。

今回は30代の男性と女性、 20代の男性と女性の4人が主人公です。彼らの間に生まれる愛と、4人の周辺にあるいろいろな形の愛を描くドラマを作りたいという思いで、「4人主役」という形をとりました。友情って何だろう?恋愛って何だろう?ということを皆さんが感じてくれるようなドラマにできればと思っています。

生方さんは隅々までキャラクターを愛し、とても丁寧に人間を描く作家さんです。『silent』では、紬(川口春奈)と想(目黒蓮/Snow Man)をはじめ、湊斗(鈴鹿央士)、萌(桜田ひより)、光(板垣李光人)、奈々(夏帆)、春尾(風間俊介)、律子(篠原涼子)…どのキャラクターも、もっと言えばそれ以外の脇役と呼ばれるキャラクターたちまで含めて全員が、視聴者の方に愛されたと思うんです。

今回の4人のなかには、ちょっと変わったキャラクターもいるんですけど、生方さんは、間違いなく魅力的な人物として描いてくれると思います。

4人の主人公たち全員が、視聴者の皆さんに愛され、ずっと見ていたい、彼らの人生を見つめていたいと思ってもらえるようなキャラクターになると思っています。彼らの心が交わったり、そして離れたりすることで生まれる物語を楽しんでいただけたらと思います。

キャストは多部未華子さんと松下洸平さん、未発表の20代の女性と20代の男性、4人の魅力的な役者さんが揃いました。今回も『silent』と同じく、当て書きです。最初の段階でキャラクターをある程度作ってキャスティングをして、そこからはその役者さんのイメージでキャラクターを作り込んでいくという形ですね。

主役の4人とも、視聴者の皆さんに「この人がこんな役を演じたら面白いだろうな」と思ってもらえるようなキャラクターを演じていただきます。僕自身、楽しみで仕方ありません。

実在する“ある街”が舞台に!

──「いちばんすきな花」というタイトルに込めた思いを聞かせてください。

この企画について考えていたときに、ふと思いついたのが「一番好きな花」という言葉でした。花って種類も色も含めて、ものすごくたくさんあるじゃないですか。あの有名な歌じゃないですけど、競うことなく、一番を選ぶわけじゃなく、みんなそれぞれ咲いている。そしてみんなが美しい。そういう花という存在ってステキだな、と思って。

例えば「一番好きな花はなんですか?」と聞かれたとします。きっと、その答えは一人ひとり違いますよね。

花には種類が無限にあるし、そのうえ色もある。ガーベラが好きだとしても、その中でも赤いガーベラなのか、オレンジ色のガーベラなのか、細分化されるわけです。人の「好き」という感情も同じく細分化されるもので、花はその象徴になるんじゃないかと思いました。

もしかしたら、自分の一番好きな花と、自分の一番好きな人の一番好きな花は違うかもしれない。もちろん、だからといって嫌いになる必要はないし、好きな花を変える必要もない。でも、好きな花を変える人もいるかもしれないですよね。

そんなことをつらつらと考えていたら、このドラマにぴったりなタイトルに思えてきたんです。それで決めました。自分でも気に入っています(笑)

――ゆくえ(多部)、椿(松下)、20代の男性・夜々、20代の女性・紅葉という4人のキャラクターの名前に込めた思いを聞かせてください。

登場人物の名前は、生方さんが付けています。彼女がキャラクターを作ったときにすでに今の名前が付いていました。それぞれにどういう意味があるのか聞いていて、いろいろな意味があるのですが、ネタバレになるので今の時点では秘密です。

僕たちがキャラクターにその名前を付けた意味と、ドラマの中で登場人物が親からその名前を付けられた意味。その二つの意味が、劇中で丁寧に描かれます。

──『silent』では世田谷代田などリアルな街や店舗が舞台となっていて、ドラマファンが聖地巡礼して盛り上がるという現象が起こりました。今回も、特定の街が舞台になりますか?

僕は、富良野に行ったら『北の国から』(1981年~82年/フジテレビ)の黒板五郎さん(田中邦衛)や純くん(吉岡秀隆)がいる気がしています。

そういう気持ちになれるドラマが大好きで。幸せなことに、『silent』では、世田谷代田に行ったら紬や想に会える気がするとたくさんの方に言っていただけました。

今回も、そこに行ったら、ゆくえや椿、夜々、紅葉が歩いていると感じてもらえるようなドラマになればとの願いを込めて、ある実在の街を舞台にしています。それがどこなのか、楽しみにしていただきたいです。

──撮影はまだこれからと聞いていますが、現段階で手応えなど感じていますか?

2人のラブストーリーがどこへたどり着くかというような、分かりやすいゴールがある話とは違って、今回は4人の男女の間の友情を描くので、どこへ進んでいくのかが分かりにくいかもしれません。そういう意味では、チャレンジングな企画でもあります。

今回はコメディ要素もあり、笑えるシーンもたくさんあるのですが、1話から生方さんらしい、グッとくるシーンがあります。彼女にしか書けない、これまでのドラマではちょっと見たことのないシーンです。このシーンができたことで、『silent』と同じように今回もすごいドラマになっちゃうぞこれ、と手応えを感じています。

1話のポイントになっているのは、多部さんが演じるゆくえが抱える「2人組になって、と言われるのが苦手だった」という思い。学校で2人組になりなさいと言われるシチュエーションって、いろいろありましたよね。皆さんもそういう感情を抱いた経験があるんじゃないでしょうか。

『silent』を見てくださった方はよくわかると思うのですが、生方さんの脚本は、いろんな記憶を呼び起こしてくれます。前回はそれがキュンとするような気持ちだったと思いますが、今回は少し苦い思い出を呼び起こしてしまうかもしれません。

誰もが胸の奥にしまったまま忘れかけている気持ち。ちょっとだけ嫌な気持ち、少しつらかった気持ち。それを突いてくる。でも、そういう感情を持っているのは自分だけじゃない、そう思うことで、新しい感情に気づけるかもしれません。

生方さんならではの優しい目線で、きっと皆さんにいろいろな気持ちになってもらえるはずです。

多部未華子×松下洸平は男女の友情が成立しそう?

──すでに発表されている主演、多部さんと松下さんの印象を聞かせてください。

 お2人とも、僕がずっとご一緒したかった俳優さん。お芝居が自然で、繊細で丁寧なお芝居をする方だという印象がありますね。僕は、キャスティングって組み合わせだと考えていて、「この人とこの人が芝居したら面白そう」ということを重視しています。

「男女の間に友情は成立するのか」というテーマを誰でやったら面白いかと考えたとき、最初に浮かんだのが多部さんと松下さんだったんです。なんとなくですけど、この2人だったら男女の友情が成立しそうな気がしませんか?そう見える2人で、友情が成立するのかどうかを見ていくのが面白そうだと思ったんです。

多部さんは、例えば『デカワンコ』(2011年/日本テレビ)で演じた警察犬並みに鼻の利く刑事というちょっと特殊な役柄をとてもチャーミングで愛すべきキャラクターにすることのできる方。シリアスでもコメディでも、説得力のあるお芝居をされる方。多部さんにしかできない稀有な才能をお持ちだと思っています。

松下さんは『最愛』(2021年/TBS)で、愛する人が連続殺人事件の犯人かもしれないと葛藤しながら事件を追う刑事を演じていました。このような事件はそう起こるものではなく、視聴者にとっては遠い出来事に感じてもおかしくない。でも、松下さんが演じると、それがまるで自分に起こったことのように感じられるんです。松下さんのお芝居には、圧倒的な「共感させ力」があります。

『いちばんすきな花』では、お2人が持っている、そうした強みや魅力を最大限活かせるようなキャラクター作りを意識しています。僕自身、お2人に演じてもらい、映像となるのが今からすごく楽しみです。

──大ヒットした作品を作ったチームの2作目ということで、期待が高まっています。村瀬さんとしては、プレッシャーを感じていますか?

正直、プレッシャーで押し潰されそうです。『silent』で引退しておけばよかったと思ってます(笑)。

でも、『silent』では、たくさんの人が自分たちの作った作品を愛してくれた喜びを感じられて、またそういう気持ちを味わいたいと思ってしまったんですよね。

僕らの仕事って本当に水もので、なかなか思うような結果が出ないときもありました。でも、今は「この枠を村瀬と生方さんで、ぜひやってほしい」と言ってもらえて、こんな幸せなことはないです。だからもう少し頑張ることにしました(笑)。

あと、生方さんの脚本なら出たいという役者さんが本当に多いんです。今回、どなたにお声がけしても『silent』の生方さんと僕で作る作品ですと言うと、とりあえず話を聞いてくれました。

僕は、生方さんの才能を、もっと多くの人に伝えたい。彼女となら、きっとみんなが喜んでくれるものを作れる。それだけは自身があるので、今回もそういう作品を作っていこうと思いながら“『silent』の次”というプレッシャーを抑え込んでいます。

ちなみに、生方さんは「私は何も実績がないのに、『silent』でデビューしました。そのときのプレッシャーがとんでもなかったので、それ以上のプレッシャーはもうないです」と言ってます。僕だけが2作目のプレッシャーを感じているようです(笑)。

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文・伊沢晶子

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