「あ・い・う・え・お」 「い・う・え・お・あ」
小学校の体育館から響く、子どもたちの元気な声。行われているのは、フジテレビのアナウンサーによる出前授業「あなせん」です。
「あなせん」とは、アナウンサー先生のこと。
フジテレビ社会貢献推進局では、アナウンサーとともに関東各地の小学校を訪れて、“言葉を通したコミュニケーション”の授業を行っています。
11月8日に西東京市立向台小学校で行われた「あなせん」が300校目の授業となりました。これまでに延べ2万3600人の児童たちに授業を行っています。
左から)佐久間みなみアナ、安宅晃樹アナ
「あなせん」がスタートしたのは、2005年9月。
学校の先生からの「どうしたら子どもたちのコミュニケーションがうまくなるだろうか」という悩みを耳にしたフジテレビのアナウンサーが、自発的に立ち上げたプロジェクトです。
当時、フジテレビアナウンサーだった松尾紀子さんと田代尚子さんが始めました。
まずは地域への貢献という目的から、フジテレビのある港区の小学校を対象にスタート。
その2年後には、品川区の小学校にも広げ、今では、1都6県で実施しています。
新人からベテランまで、ほぼすべてのフジテレビのアナウンサーが「あなせん」の先生として子どもたちの前に立っています。
言葉で伝えることの楽しさを感じてもらおうという思いで始めた「あなせん」。
当初はそれぞれのアナウンサーの個性を生かした授業を行っていましたが、今は一歩進めて「言葉を通したコミュニケーション」の授業としてのプログラムを、どのアナウンサーが担当しても同じ内容、質で提供できるようにしています。
授業のテーマ「スピーチ」「インタビュー」「音読」
授業で大切にしているのは、伝え合う喜びを感じてもらうこと。
アナウンサーのプロのスキルと、テレビ局の持つエンタメの力を使って子どもたちに楽しく学んでもらいます。
授業のテーマは、「スピーチ」「インタビュー」「音読」の3つです。
姿勢や発声の基礎を学んだあとは、スピーチやインタビューの実践練習。
「どんな言葉だと、相手がイメージしやすいかな?」
「きょうの朝ごはんや給食、どんなメニューでどんなふうにおいしかったかな?」
「うんうん、ってうなずいて聞いてくれたら、もっと話したいっていう気持ちになるよね」
身ぶりを交えたり、声の強弱を変えたり、体も動かしながら気持ちの伝え方、表現のコツを一緒に学んでいきます。
授業中、子どもたちからそっと、こんな相談をされることがあります。
「こんなことって聞いたらダメ?」
「ここが面白いと思ったんだけど、言ってもいいのかな…」
本当は言いたいし、表現したいんだけど自信がない。どう思われるかな、恥ずかしいな。
自分の気持ちを表現するのって、勇気がいりますよね。でも、自分が心を開いて気持ちを伝えたら、相手も心を開いてくれるかもしれないよ、と、少し背中を押してあげると、最初はためらっていても、授業の最後には自分の言葉でスピーチができるようになる子どもたちがたくさんいます。
授業後、先生たちからは「普段の学校生活では見られない子どもたちの一面を見ることができた」という声を多くいただきます。
「発表が苦手な児童が、自ら手を挙げてみんなの前でスピーチをすることができた!」
「自分を表現することのハードルが下がった」
「相手を知ることの大切さを、実践して感じることができた」
子どもたちからも「声に自信を持てました!」「話すことが苦手だったけど楽しくなりそうです」など嬉しい感想がたくさん寄せられています。
これまで多くの学校からご応募いただき、今回300校目を迎えることとなりました。
この授業を経験していただいた先生や保護者の方々の口コミを通じても、たくさんの学校に「あなせん」の輪が広がっています。
さらに最近では、将来の職業について考えるキャリア教育の一環としてアナウンサーやテレビ制作の仕事について話をしたり、子どもたちの知りたいことに答えたりする機会も増えています。
これをきっかけにテレビやテレビの仕事に興味を持ってくれる子どもたちが増えたらと願っています。
どうしたらコミュニケーションがうまくなるのか、時代が変わっても大切にしたいこと、一方で、今の時代だからこそ求められていることは何なのか。
私たちも子どもたちと触れ合いながら一緒に考え、さらにこの授業も進化させていきたいと考えています。
子どもたちがこれから出会う人たちと、伝え合う喜びを感じられるように、これからも応援していきます。
あなせん公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/csr/anasen/