エンターテインメントの裏側に密着する番組『連続ドキュメンタリー RIDE ON TIME』。Season3のトリとして、V6が特集されている。
3月5日(金)に放送されたのは、#2 20th Century。
1995年11月1日、「MUSIC FOR THE PEOPLE」でCDデビューしたV6は、グループとしての下積みはなく、デビューするために結成された。当時、最年長の坂本昌行は24歳、最年少の岡田准一は14歳。年齢も経験値もさまざまな6人が集まったグループだった。
そんな彼らが2020年に25周年を迎え、11月1日に記念の配信ライブを開催。番組は、そのリハーサルや個々の活動に密着。今回は20th Century(通称トニセン)、坂本、長野博、井ノ原快彦の本音に迫った。
“役割”としてムードメーカーを担う井ノ原快彦
2020年10月。V6は25周年の節目に、デビューコンサートを開催したときと同じ場所で生配信ライブを行うことを決め、リハーサルに臨んでいた。振り付けをする中、井ノ原がメンバーを集め、ファンクラブ限定配信で披露する新曲について、6人だけで話し合いをすることに。
その新曲は、岡田がレコード会社との打ち合わせで「(V6と)同世代の人に書いてほしい」という話をしたことから、KREVAが制作を担当。「みんなからのワードがほしい」というKREVAのリクエストで、メンバーそれぞれが曲に込めたい思いを7人で共有し作られたという。
井ノ原は、「初めて、作ってくれる人と6人でやりとりしてるから。それ(曲のこと)に関しては、6人だけでやったほうがいいかな」と、スタッフを入れずに打ち合わせをしていた理由を明かした。
最大9歳差あるV6の、ちょうど真ん中の年齢の井ノ原。デビュー当時、年上3人・トニセンと年下3人・Coming Century(通称カミセン/森田剛、三宅健、岡田)の間を取り持つこともあった。
また、グループ内ではムードメーカーとして、常に和やかな空気を作り出しているが、「いい空気にしてくれるやつとかいるじゃん。ああいう感じでいないといけないんだよね、たぶん(笑)」と笑う。「真面目なことをやる人たちは(メンバー内に)いっぱいいるからさ」と、それが自身の役割であると語った。
個人としては、2015年に『第66回NHK紅白歌合戦』の白組司会に抜てきされ、『出没!アド街ック天国』のMCを務めるなど、司会者としても確かな地位を確立。しかし、デビュー後しばらくはコンサートのMCが苦手だったそう。
その理由は、恩師・ジャニー氏の言葉。「MCがつまんないってことは、散々言われてきたので。もういろんなグループ出されて。『KinKi Kidsは面白いよ』とか『お前ら6人もいるのにそんなにつまんないの?』とか言われて、チクショー(と思った)」と、当時を振り返った。
「それが役割だから」と、率先してふざけ、周囲を笑わせる井ノ原の本音に、SNSには「イノッチが努力して明るくいることにグッとくる」「常に自分より周りを優先しているんだろうな」というファンのコメントが多く見られた。
長野博の25年たっても衰えない仕事への意欲
自身の楽曲「TL」をインストゥルメンタルでコンテンポラリーダンスを踊るという、新しい挑戦が始まった。振付師が見せる手本のダンスに真剣な眼差しを向ける6人。「すごいかっこいい!ありがとう」(井ノ原)とお礼を伝えつつも、「踊れるか問題が出てきた」(岡田)、「これ、俺たち踊れるんですか?」(森田)と、不安もにじませる。
それでも、振付師・YOSHIEに「絶対にできます」と背中を押され、振り入れがスタート。メンバーは、高速で腕を動かす振りをはじめ、細かな動きに苦戦する。その中で、寡黙に取り組んでいたのが長野だ。
長野は13歳でジャニーズ事務所に入所し、デビュー前からテレビドラマなどに出演。デビュー後の1996年には『ウルトラマンティガ』で、ジャニーズで初めて特撮ヒーローを演じ、子どもたちの人気を集めた。また、大の料理好きが高じて、調理師免許と野菜ソムリエの資格を取得し、食に関する本を3冊出版するなど、活躍の場を広げている。
個人での活動について「欲張りですけど、いろいろやりたいので、芝居ももちろんですし」と意欲を口にし、「土台にV6っていうものがあってお仕事をいただいていると思いますし、仕事は一つ一つ、大切にしていきたい」と、グループがあるから個人でも仕事ができると語った。
ある日のリハーサルの現場では、「必須アミノ酸はやっぱり摂ったほうがいい。体で作られないから」と、井ノ原にアドバイスする長野の姿が。アイドルの枠に収まりきらないほど、さまざまな知識を持っているがゆえに、「アイドルって言っていていいんですかね、今も。ちょっと分からないです」とこぼす長野。密着スタッフが「アイドルですよね?」と改めて聞くと、「ジャンルとしてアイドルでいいんですかね?」と、聞き返しながら笑った。
長野の何気ないひと言に、SNSには「あなたたちは本当に素晴らしいアイドルだよ」と称賛するファンの声が多数。また、26年目に突入してもなお「いろいろやりたい」と語る長野に「ベテランなのに、その意欲に脱帽」「ポテンシャル果てしないな~!期待してます」と、今後の活動に期待感を高めていた。
坂本昌行が“努力”と“運命”で出会ったミュージカル
「TL」の振りを1人黙々と練習を繰り返す坂本。一昨年、ヒザの手術を受け、まだ完全に回復しないまま25周年の活動に臨んでいた坂本は、リハーサルが始まったばかりの頃から、たびたびヒザの痛みに襲われ「ちくしょう」とこぼしていた。
しかし、密着のカメラには心配させないようにということか、ヒザのケアをしながら「もう若くないんだよ!おじさんなんだよ」とちゃめっ気を見せる場面も。
そんな坂本が事務所に入ったのは、16歳の頃。将来に不安を感じ、20歳を目前に芸能活動を辞め、サラリーマンになった異色の経歴を持つ。
芸能界に戻るきっかけは、電車通勤中にKinKi Kidsと遭遇したこと。「(KinKi Kidsの2人が)『坂本くん、今何やってるんですか?』っていうのに答えられなかったの。恥ずかしいのと、悔しいのと、情けないのがあったのかもしれない。そこからテレビ見るとみんな出てるし、悔しい以上に戻りたいって思って」と、当時を振り返った。
そして24歳のときにV6としてデビュー。メンバーを引っ張っていく存在となったものの、いまだに一つ苦手なものがある。それは、テレビの本番。「25周年で何言ってんだって言われるかもしれないですけど、テレビカメラが苦手で緊張しちゃうんです」と明かした。
テレビは緊張すると語る坂本だが、舞台やミュージカルは別物だという。「舞台に立つと、緊張しないんですよ。『あれ?気付いたら俺、自由に手足伸ばしてる』みたいな。ここを逃す手はないというか、自然とそこに足が向かっていた」と、その世界に魅了された経緯を回顧。「ミュージカルという場所だけは手放したくないですね」と、静かに力強く語った。
仕事が終われば、愛犬が待つ家にまっすぐ帰る毎日。リハーサル終わりに、水槽の中の魚を見つめながら、「寂しいでしょ(笑)?(家では)犬とずっとしゃべってる」と話す、素の表情も見せていた。
普段苦痛を表に出さない坂本が、ヒザの痛みに顔を歪める姿にファンは、「つらそう…リアルすぎて泣く」「あんなつらそうな坂本くん初めて見た」と涙する人が続出。その一方で、愛犬について語る柔らかい表情には「かわいい!」とほっこりする人が多く見られた。
次回、3月12日(金)の放送は、デビュー25周年を記念した配信ライブの裏側に密着。ライブに向けて繰り返される話し合い。明らかになる彼らの思いとは。