学校法人常翔学園
ココナツ殻原料に繰り返し使えるエコ材料

 大阪工業大学(学長:井上晋)工学部応用化学科の藤井秀司教授(タイ・チュラロンコン大学 名誉教授兼任)とチュラロンコン大学(学長:Bundhit Eua-arporn)理学部化学科のApichat Imyim准教授の共同研究グループが、天然由来の材料を使用して、二酸化炭素吸収材として機能する液滴(リキッドマーブル)の開発に成功しました。

【本件のポイント】
 ● ココナツ殻由来の炭粒子とアミノ酸由来の液体からなる新しいCO2吸収材料を開発
 ● 液体を粒子で包んだ「リキッドマーブル」構造により、CO2吸収速度を約2.5倍に
 ● 持続可能な社会の実現に向けた、環境負荷の小さいCO2回収技術への応用に期待


 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出削減は、世界的な課題となっています。現在、CO2を回収するためにさまざまな技術が研究されていますが、多くは大きなエネルギーを必要としたり、人工的な材料を使用したりするため、より環境にやさしい方法が求められています。
 このたび本研究グループは、天然由来の液体「天然深共晶溶媒(NaDES)」をココナツ殻由来の「バイオ炭粒子」で包んだ新しいCO2吸収材料を開発しました。液体を粒子で包んだ「リキッドマーブル」構造にすることで、内部の液体が空気に効率よく接触できるため、気体を取り込む能力が向上します。今回使用したNaDESは、アミノ酸の一種であるアルギニンとグリセリンから作られる安全性の高い液体で、CO2を吸収する性質を持っています。実験の結果、NaDESをそのまま容器に入れた場合と比べて、同量のNaDESをリキッドマーブル構造にすると約2.5倍の速さでCO2を吸収することが分かりました。また、CO2を吸収した後も形状を維持し、繰り返し使用できることが確認されました。
 本技術は、植物資源と天然由来の液体のみを利用しているため、環境負荷の低いCO2回収技術として期待されます。更に、リキッドマーブルは自由に移動できるため、従来の材料では難しかった狭い空間でのガス回収にも応用できる可能性があります。
 本研究は日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)JP20H02803, JP24K01562の支援を受けて得られたもので、Elsevierの学術雑誌Materials Lettersに論文がオンライン公開(2026年5月19日付)されています。





URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0167577X26009109
DOI:10.1016/j.matlet.2026.140950
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