池田町および池田町教育委員会は、令和8年5月23日(土)、須波阿湏疑(すわあづき)神社境内にて、「能楽の郷 池田 皐月薪能」を開催しました。


池田町の薪能は、令和4年に四半世紀ぶりに復活してから毎年実施しています。令和7年は荒天のため中止となってしまいましたが、今年は無事県内外からの多くの観客をお迎えすることができました。
第一部の民俗芸能交流会では、福井県池田町で約800年受け継がれてきた「水海の田楽・能舞(国指定重要無形民俗文化財)」と、石川県輪島市名舟町で400年以上伝わる「御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)」を上演。演者たちは会場の熱気に包まれながら、地域の誇りを胸に力強い舞と演奏を披露してくれました。
第二部の能・狂言には、かつての越前の猿楽ともゆかりのある地・京都から、「大蔵流 茂山宗彦師」と「金剛流 二十六世宗家 金剛永謹師(人間国宝)」をお招きしました。闇夜の中に照らし出される幽玄の舞台で、名手たちによる卓越した芸が披露され、会場は大きな感動に包まれました。
また、能・狂言の演目には池田町で開催された「第22回全国能面公募展」の優秀作品2面が使用され、能面作家にとっても感動の舞台となりました。
薪能当日は「変身・能役者体験」「全国能面公募展 作品展」など関連イベントも開催。また、会場には池田の食や木の魅力を楽しめる物販店のほか、茶道の野点席も設けられ、上演前から大いに賑わいました。上演後は、町民が廃油から作ったエコキャンドルが参道を照らし、幻想的な雰囲気を演出しました。
これからも、「あたりまえをたやさないまち」池田町は約800年の伝統を受け継ぐ「能楽の郷」として、日本の文化を大切に継承していきます。
「能楽の郷 池田 皐月薪能」参考資料
薪能は、鎌倉時代に奈良の興福寺で始まったとされており、能舞台の周囲にかがり火を焚いて演じる能楽です。池田町では令和4年に23年ぶりに薪能を復活し、それから毎年連続で開催しております。(令和7年は荒天のため中止)今回は時おりの強風に配慮して、かがり火の火入れは中止となりましたが、須波阿湏疑神社の境内に設けられた舞台で演じられる能・狂言は、幻想的で荘厳な雰囲気に包まれました。
能・狂言は前回に引き続き、大蔵流の茂山宗彦(しげやまもとひこ)さんと、金剛流 二十六世宗家金剛永謹(こんごうひさのり)さん(人間国宝)にお越しいただき、至高の芸を披露いただきました。
能・狂言で使用した面は、池田町主催の「第22回全国能面公募展」に出品された作品から選ばれたものです。池田町の能面公募展の優秀作品は、自分の制作した能面が主要流派の舞台で使用されることから、現代の面打ち師にとっての登竜門になっています。

能舞台の周囲にかがり火を焚いて演じる「薪能」(今回は風のため火入れは中止)

能・狂言で使用した面は、池田町主催の「第22回全国能面公募展」に出品された作品から選ばれたもの
第一部「民俗芸能交流会」
福井県池田町「水海の田楽・能舞」より 田楽「あまじゃんごこ」、能舞「高砂(たかさご)」
池田町で約800年、絶えることなく受け継がれている「水海の田楽・能舞」は、1つの祭礼において田楽と能舞の両方を奉納する珍しい芸能で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
毎年2月15日に池田町水海の鵜甘(うかん)神社で、田楽四番と能舞五番が奉納されていますが、今回はその中から、荒ぶる神々を鎮めて世界を清める田楽「あまじゃんごこ」と、夫婦の和合と長寿を祝福して国の平安を寿ぐ能舞「高砂(たかさご)」を上演しました。田楽「あまじゃんごこ」は地元の中学生3人が舞い手を務め、池田町が誇る伝統の舞を大観衆の前で堂々と披露しました。

田楽「あまじゃんごこ」

能舞「高砂(たかさご)」
石川県輪島市 「御陣乗太鼓(ごじんじょだいこ)」
能登半島にある人口約250人の漁村・名舟町で400年以上受け継がれる郷土芸能。1577(天正5)年、上杉謙信の軍勢が名舟に攻め込んできた時に、鬼や亡霊の面をつけて太鼓を打ち鳴らす奇襲で追い払ったことを由来とし、県の無形民俗文化財に指定されています。現在は地元の夏祭り「名舟大祭」などで披露されており、令和6年の地震と豪雨で甚大な被害を受けた後も、奉納打ちは欠かさず執り行われ、町に勇気を与え続けています。
今回の出張公演では御陣乗太鼓を観るのは初めてという方が殆どでしたが、緩急をつけた独自のリズムで打ち鳴らされる太鼓の音色や鬼気迫る面をつけての激しいパフォーマンスに会場は大いに沸きました。

御陣乗太鼓

御陣乗太鼓
第二部「皐月薪能」
大蔵流狂言「寝音曲(ねおんぎょく)」 出演:茂山宗彦(しげやまもとひこ)他
大蔵流を代表する人気演目の一つで、酒好きの太郎冠者が主人に謡(うたい)を命じられ、あの手この手で回避しようとする狂言です。唄わせたい主人と唄わずにやり過ごしたい太郎冠者のコミカルな応酬戦に会場は笑いに包まれました。「酒を飲まなければ声が出ない」「膝枕がなければ謡えない」と理屈をつけて酒を求め、横になり、酔いが回るにつれて調子よく謡いあげる人間味あふれる太郎冠者を茂山宗彦さんが好演しました。
※当初出演予定だった茂山七五三さんは都合により出演を見送らせていただきました。

大蔵流狂言「寝音曲」

大蔵流狂言「寝音曲」
金剛流能「車僧(くるまぞう)」 出演:金剛永謹(こんごうひさのり) 金剛龍謹(こんごうたつのり)他
牛の引かない車を法力によって自在に乗りこなす「車僧」と、その車僧に行比べを挑んでくる「大天狗」の物語を、人間国宝・金剛永謹さんとその長男・金剛龍謹さんが演じました。
羽うちわを手に激しく跳び回る大天狗と不動の威厳を放つ車僧、「静」と「動」の対照的な姿に観客は引き込まれ、固唾をのんで舞台を見守りました。
「大天狗」の面には、第22回全国能面公募展・写し面の部で最優秀賞に選ばれた能面「大癋見(おおべしみ)」(田中徳平さん作)が使用されました。また、「間狂言(あいきょうげん)」に登場したコミカルな天狗には、同公募展・写し面の部・審査員特別賞の狂言面「空吹(うそぶき)」(清水充子さん作)が使用されました。

人間国宝・金剛永謹さんが演じた「山伏」

金剛龍謹さん演じる「大天狗」には「大癋見」の面を使用

間狂言には「空吹」の面を使用
関連催事・他
【変身・能役者体験】 場所:池田町能面美術館
池田町の「水海の田楽・能舞」で使われていた能装束と能面を着装して、保存会の方々に所作を指導いただく体験会を行いました。体験者からは「面を着けると世界が変わって見えた」(40代女性/福井市在住)「能衣装を着けて動くことの大変さが分かった」(30代男性/愛知県在住)「能舞台を歩けるなんて、一生の思い出になった」(70代女性/愛知県在住)といった感想が聞かれました。
池田町では今後も、能面・装束の着装、所作など、伝統文化に触れる機会創出に取り組んでまいります。

【全国能面公募展 作品展】 場所:池田町能面美術館
令和8年2月24日から3月9日までの期間に公募した「第23回全国能面公募展」の入賞作品が「池田町能面美術館」にて展示されました。(展示期間:令和8年3月28日から5月31日まで)
全国能面公募展は平成10年から続く歴史ある公募展で、現代の面打ち師が技術を競う場として高く評価されています。

【エコキャンドル】 場所:須波阿湏疑神社
池田町の青年団をはじめ町民みんなで協力して作成したエコキャンドルが、夜の神社参道を照らしました。エコキャンドル作りには池田町で集められた廃油が使用されており、2005年から環境活動の一つとして実施しています。

【飲食・物品販売】
会場の入り口付近には手作りの赤飯やます寿司、米粉のお菓子などを販売するテントが立ち並び、来場者を笑顔でおもてなししました。また、Tシャツなどの記念グッズや、池田町の木工体験施設「ウッドラボいけだ」の職人たちが葉月薪能を記念して制作したお土産品も販売されました。野点エリアでは池田抹茶教室の方々がお抹茶を提供し、薪能とあわせて日本文化を感じられるひとときとなりました。









■「あたりまえをたやさないまち」池田町
福井県池田町は人口約2,000人、森に囲まれた小さな町です。
心をいやす日本の原風景、作物をいつくしむ感謝の気持ち、人と人が思いやり、支えあって暮らす「あたりまえをたやさないまち」を目指しています。
池田町町長・杉本博文
「人々が共同して暮らす小さな社会だからこそ、人々が関わりあえる、相互扶助が生きるまちでありたいと願っています」



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