10月5日、京都芸術大学とフジテレビが共同開発した、完全オンラインで「映像」を学ぶ学士課程の記者発表が行われました。
国内唯一、完全オンラインで「映像」を学ぶ学士課程「映像コース」(正式名称:通信教育部芸術学部デザイン科映像コース)は、2024年春に開設。日本の映像コンテンツの歴史を開拓してきたフジテレビが、「映像力を身につけ、未来の映像を生み出す人をつくる」をコンセプトに、京都芸術大学とともに共同開発した学位プログラムです。
「スマホで劇場映画をつくれる時代に、テクニックを超えた『映像力』を身につける」をテーマに設立されるコースの概要は、映像理論を体系的に学び、創造性を磨き、表現する技術を養うとともに、テクニックを超えた映像力の修得を目指すというもの。
冒頭のあいさつで、京都芸術大学の吉川左紀子学長は、「スマホでクオリティの高い映像をつくれる時代」「完全オンラインの利点と実際の学生たちの満足度」について紹介。新設置されるコースへの自信をにじませました。
フジテレビジョンの大多亮専務取締役は、65周年という節目を迎えたフジテレビについて、「休むことなく様々な放送をしてきた」ことについて触れ、「映像を作る力がフジテレビ最大の武器」としながらも、制作方法、手法が時代とともに映像も変わってきたと語ります。
そして、「新しい映像を担うのは、こういったカリキュラムでしっかりとした教育を受けてスキルを身につけた人。そのほうが伸びしろが大きいのではないか」と、大学教育という場での取り組みに「豪華な講師陣とともに、フジテレビらしいコースにできれば」と、希望を明かしました。
下段左から)菊間千乃さん、いとうせいこうさん、大多亮専務取締役、吉川左紀子学長、鈴木おさむさん、大島新さん
若者から大人まで、学び直しではなく“学び重ね”のできるコースだと、コース責任者の上田篤さん(京都芸術大学副学長)、丹下紘希さん(京都芸術大学教授/映像作家)らは解説。
下川猛さん(京都芸術大学准教授/フジテレビジョンビジネス推進部IPプロデュース部 部長)は、スマホでの映像制作の基礎を学ぶといった具体的なカリキュラムの内容説明と、豪華なゲスト講師の発表をしました。
「未来をつくる映像力」とは?
また、発表会では映像やコンテンツに造詣の深いゲスト講師のトークセッションも展開。
登壇したのは、先のコース責任者たちに加えた、鈴木おさむさん(放送作家)、大島新さん(ドキュメンタリー監督/プロデューサー)、菊間千乃さん(弁護士)、いとうせいこうさん(作家/クリエイター)の4人。
テーマは、「未来をつくる映像力」。映像が叶えられることは何か、今後どういったことが可能なのかについて登壇者が思いを伝えました。
菊間さんは、「テレビ局に12年して映像の世界から法律の世界、言葉の世界に行きました」と、フジテレビアナウンサー時代を振り返りつつ、「映像は良くも悪くも、伝え手の予想を超えたことが伝わるメディア。弁護士という立ち位置から、リテラシーや最低限の著作権について教えたい」と、作り手が映像で思いを伝えるための授業のための一助になりたいと明かしました。
いとうさんは、「これだけ映像のインプット、アウトプットが変化している時代はない」と、メディアを取り巻く時代の変化について切り出すと、「日本のテレビがどういうテクニックで映像を撮ってきたのか、テレビが培ってきたことを通信で生かしていけるように」と、日々考えていることを落とし込んだ実践的なカリキュラムを考えていると構想を。
放送作家としてだけでなく、教育の場で“企画”についても教える鈴木さんは、「テレビを作る人間として『どう伝えるのか』ということをやってきた。フジテレビと組むのであれば、新しい授業のかたちを提案したい。映像と動画との違いをはっきり見せたい」と意気込みました。
また、受け持つ授業については、「ゼロからイチを作ることができなくても、企画は作れる。目線をちょっと変えるだけで企画は作れるという方法論を教えたい」
ドキュメンタリー作家でもある大島さんは、「映像には人の人生に影響を与えることがある。映像の持つ力を伝えていけたら」と、クリエイターとしての目線から映像の持つ力について語り、「好きこそものの上手なれ、自分が興味を持てることを見つけるのがまずは最初。好きなものを見つけて取り組んでほしい」と、これから学ぶ人に向けてのエールも送りました。
最後に記者から「商売敵を作ることになるのでは?」と聞かれた大多専務取締役は、「商売敵を作ることにはならない」と断言し、「ここで学んだ人が増えることで、僕らの映像表現も変わるのではという期待のほうが高い。動画の作り手が増えるのはありがたいこと。良い側面しかないと思っている」と、期待をにじませました。
2024年度新設「映像コース」概要
正式名称:通信教育部芸術学部デザイン科映像コース
開設日:2024年4月
授業料(予定):348,000円(年間)※詳細は12月上旬公開の「募集要項」で公開。
・大学資格(学士)取得可能
・通学不要
・編入学可能
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