大沢たかおさんが、久しぶりの月9ドラマ出演について語りました。

二宮和也さん、中谷美紀さん、大沢たかおさんトリプル主演のドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』は、人々が思い思いに過ごすクリスマスイブの1日を1クールかけて描く、謎と愛と奇跡の物語。それぞれ別の人生を歩む3人の男女の物語が並行して進んでいき、最後に運命の交錯を果たします。

本作のなかで、老舗洋食店「葵亭」の臆病で頑固なシェフ・立葵時生を演じる大沢たかおさんが取材会に出席。本作出演の決め手、撮影の裏話、クリスマスの思い出を語りました。

<10月スタートの月9は、二宮和也、中谷美紀、大沢たかおトリプル主演『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』>

出演の決め手は「今まで見たことがない企画にワクワクした」

<大沢たかお インタビュー>

──本作に出演する決め手になったポイントを聞かせてください。

まずは今まで自分が見たことのない企画であること。企画を読んだときに、「テレビでこんな挑戦ができるんだ」とインパクトがありましたし、ワクワクしました。

そして、鈴木(雅之)監督と成河(広明)プロデューサーをはじめとするプロジェクトであることが大きかったです。今、テレビを代表するチームですし、そのチームがこの挑戦的な作品をどう作り上げていくのか、すごく興味がありました。

そこにプラスして、二宮(和也)さん、中谷(美紀)さんという、それぞれのスタイルで輝いている方々と組んで、月9という歴史のある枠の中で共演できること。それによっていろいろな層に向けて発信できる新しい企画なんじゃないかと思えて、ぜひ参加させてほしいと思いました。

──「今まで見たことがない企画」というのは、具体的にどのような部分でしょうか?

3ヵ月かけて1日を描くということも一つあるのですが、主人公の3人に三者三様の人生があって、まったく違うシチュエーションのなかで生きていて。それぞれ問題を抱えて、それを乗り越えていく様子を同時進行で描いていくことは難しいと思うんです。

1人の主人公を据えて描けば分かりやすいところを、3人の主人公がいて、その3人が別の世界観で生きている様子を描く作品は見たことないな、と思っています。

きっと、皆さんにもびっくりしてもらえるんじゃないでしょうか。僕は、そういうびっくりさせられる企画はすごく好きなんです。子どもの頃、自分がそうだったようにテレビにかじりついて見てほしいですし、それくらいお客様に喜んでもらいたいという思いがあるので。

主人公3人にそれぞれ違うシチュエーションがあって、それがだんだん絡み合い、謎解きもあって、というところが面白そうで、この企画にひかれたのかな、と。

最初、春過ぎにプロデューサーと監督にお会いしたのですが、その時点で台本のことですごく悩まれていました。それから時間が経ちましたが、台本の決定稿は撮影のギリギリまで出てこないんです(笑)。あのときに悩んでいて、まだ悩み続けているのか、という。本気で手を抜かずに作っている感じがすごく信頼できますし、その信頼できる皆さんの現場に入ることができてよかったなと思っています。

──3ヵ月かけて1日を描くことに関して、難しさなどは感じていますか?

僕たちよりも、作る人たちが大変ですよね。ただ、僕らも1日の話なので、髪の毛が微妙に伸びてしまったりすることはあると思うので気を付けないといけませんね。

このドラマは、1度に撮影をして、しばらく期間が空いて、また撮影をするというスケジュールなんです。その空いた期間にまったく同じ状態でいられるのか。撮影日の違いはお客様に気づかれないようにしなければいけないですし…でも、それはそれで楽しんでいるところがあります。

──1話から伏線が張り巡らされ、謎も多い作品とのことですが、伏線回収も含めて、先のことを考えてお芝居をしているのでしょうか?

最終的にこのドラマは“不幸”では終わらないとは聞いていますけど、詳しいことはまだ聞いていません。それに、僕は先のことは知らないほうが面白いと思っていて。人生は何が起こるか分からないですし、知らずに一生懸命乗り越えていくほうが“熱量”として伝わるかなと思うので。

ただ、とにかくこの作品で新しいことに挑戦したいし、皆さんが「こんな感じだろうな」と思っている“大沢たかお”を破壊したいと思っています。

“レストラン編”キャストが動物化!?

──ともに主演を務める二宮和也さん、中谷美紀さんの印象を聞かせてください。

それぞれに輝き続けている方々なので、ご一緒できるのはすごくうれしいです。自分たちが担う“レストラン編”では、お2人に負けないように輝かないといけませんね。そうしてお互いに作用しあって、次から次へと夢のような、おもちゃ箱みたいな、魅力的なものが出てきたら、ドラマとして今までにない作品になる気がしていて。

自分たちのパートを責任感を持って一生懸命やりながら、お2人のパートの出来上がりも楽しみにしています。

──二宮さんとはすでに一緒に撮影もされたそうですが、いかがでしたか?

ちょっとすれ違っただけですが…ワクワクしました。すごく好きな俳優さんなので、楽しかったです。

──立葵時生役を演じるために準備したことはありますか?

料理に関しては、普段あんまりしないものですから、知り合いの洋食屋さんに何度も行ってお話を聞いたり、家で自分なりに練習したりしました。本当は、お店に弟子入りしたかったのですが…断られてしまって(笑)。お店には秘伝などもあるので、仕方ないんですけど。

それでも、監督と「手元と顔が別カットになることに、お客さんは飽き飽きしている」という話もしていましたし、料理するシーンはできる限り自分の手でやりたいなと思い、家で料理をするようにしています。

ただ、自分がやることによって、脚本家の方が「(材料を)切る」というアクションを恐ろしくて書けないのか(笑)、比較的簡単な作業を多く書いてくださっていて。気を使わせてしまっているかもしれません。

──実際に“レストラン編”のキャストの皆さんと撮影してみていかがですか?

“レストラン編”は、コメディ要素のあるパートなのですが、徳永(友一)さんがお書きになる台本は本当に素晴らしいんです。言葉が自然と口についてくるので。でも、僕はコメディの人ではないので、監督の話を聞きながら進めている感じですね。

テンポ感に関しては、キャストの皆さんはプロですし、みんなすごくワクワクしながら現場にいらっしゃるので、チームワークも問題ないと思っています。

ただ、このドラマは僕らのパートだけではなく、二宮さんと中谷さんのパートがあり、サスペンスも人間ドラマもあって、“レストラン編”の中でも事件に巻き込まれることもあって…何が正解かが分からないんですよね。だから、日々「これでいいのかな?」と探りながら撮影しています。

それがまた新鮮で面白いのですが、あまりやってこなかった作り方なので、エネルギーをすごく使いますし、毎日疲れますね(笑)。

──キャストの皆さんとは、撮影の合間など、どのような話をしていますか?

他愛のない話をしていますね。でも、話をするよりみんなすごく台本を読んでいる印象です。きっと「いいドラマにしたい」とかそういう思いがみんな強くて、集中しているんでしょうね。「なんかしゃべっているのかな?」と思って近づくと、台本を読みながらしゃべっていることも多いです。そういう姿を見られるのはうれしいですし、いい雰囲気だなと思います。

“レストラン編”はワンシチュエーションの話なので、常にレストランのセットで撮影をしているのですが、みんな外に出られないからだんだん動物化してくるんですよ。僕から見ていると、動物園にいる感じ。本番で誰かが前に出ようとして、それを「出るなよ!」と制して、ということも自然とできるチームワークもありますし、その空気感をお客さんに楽しんでもらえたらいいな、と思っています。

<『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』桜井ユキ、井之脇海らが出演!>
<大沢たかお 桜井ユキからの憧れの眼差しに「LINE交換しましょう」>

月9ドラマに感謝「デビュー作でいい経験ができたから仕事を続けている」

──ドラマデビュー作が月9ドラマ『君といた夏』(1994年)でしたが、その月9枠に久しぶりに出演する心境を聞かせてください。

ドラマを初めてやらせてもらった場所なんですよね。そういう場所って、一生忘れられなくて。当時は渋谷のスタジオでしたが、撮影初日にスタジオへ行ったときの緊張感を覚えています。中江(功)監督も、プロデューサーだった亀山(千広)さんも、共演者の方も皆さん優しくて。あの作品でいい体験ができたから仕事を続けようと思ったので、感謝しています。

あれから時が経って戻ってきて、ガッカリさせちゃいけないですし、30年前とは違う輝き方を見せなきゃいけないな、と。それにドラマは好きなのですが、連続ドラマからは少し離れていたこともあって、スピード感についていけるのか不安もありますし、毎日朝早く起きてしまっています。武者震いというか…すごく緊張していますね。映画のほうが気楽かもしれません。

──何時頃起きているんですか?

撮影は9時くらいからなのですが、毎日5時には目が覚めちゃって。だから、夕方くらいには疲れちゃうんですけど(笑)。寝たいのに興奮しちゃうんですよね。「あのシーンどうしようかな。あんな面白いシーンなのに、うまくいかなかったら申し訳ないな」と考えてしまって。

台本もセットも何もかも素晴らしくて、何かのせいにできない状況なんです。二宮さんも中谷さんも頑張っていらっしゃるだろうし、ここで自分がズッコケて迷惑をかけたくないですし、そうなったらみんなに合わせる顔がないな、と。そう考えていると寝ていられない。でも、そんなことを思わせられる作品に参加できることが、すごくうれしいです。

──「30年前と違う輝きを」という話がありましたが、輝き続けるためにやっていることはありますか?

何だろう…。今は、とにかくこの作品がどうしてもうまくいってほしくて、自分にどこまで何ができるか分からないですけど、作品のことばかりを考えていますね。

家でもずっと台本を読んでいます。劇中、時生が謎に料理について語るシーンがあるのですが、ほぼ誰も聞いていなくて。「こんなに誰も聞いていないことある!?」というくらいの空気の中で熱く語らなければいけないのですが、それでも語る時生の“熱量”を出すためには、現場でセリフを覚えていると間に合わないので。でも考えている時間は苦ではないですし、それが輝きの一つになるのかなと思っています。

──時生は葵亭のデミグラスソースを守り、受け継いでいます。大沢さんご自身が大事に守っているものは何かありますか?

時生にとってデミグラスソースは、なくてはならないものなんだと思うのですが、僕だったら…この体でしょうか。当たり前に持っているものだから、日頃、感謝は忘れてしまいますが、大事なものですね。

──今までのクリスマスで一番印象に残っている思い出はありますか?

クリスマスって、あまりいい思い出がないんですよね。振られたこともありますし。でも、それ自体がつらくても、そのあと友だちと飲みに行って友情の確認ができて、忘れられない一つの思い出になっています。

今回のドラマを撮影していて、最終的にそういう目に見えないものも「これがプレゼントだったんだ」と思えるようになったらいいな、と改めて思いました。時生に関しては、クリスマスの営業前にデミグラスソースをこぼしちゃうし、いろいろとトラブルに巻き込まれて、従業員の信頼は無くなって、最悪な状況なんです。でも、すべての物語が終わる頃に、この経験がプレゼントと思える経験になっていたらステキだなと思いながら演じています。