2016年9月 、フジテレビ『Mr. サンデー』で2週にわたって特集され、翌年10月に、継続取材と共にBSフジで放送され大反響を呼んだドキュメンタリー『ぼけますから、よろしくお願いします。』。

この作品は、 ドキュメンタリー制作に携わる信友直子監督が、自らの乳がんを乗り越え、両親の記録を撮り続けるうちに、ユーモアたっぷりで自分に愛情を注いでくれた母の変化に気付いていくという、 認知症の患者を抱えた家族の内側を丹念に描いたドキュメンタリー。

アルツハイマー型認知症の診断を受けた母。その時から、90歳を超えた父が80代後半の母の介護を始める日々が始まった。仕事を辞めて実家に帰るべきか。しかし、「記録を撮り続けることが自分の使命」と感じ、創り上げた作品だ。

昨年 映画化されると、 11月3日(土)のポレポレ東中野を皮切りに、全国で上映。誰もが経験するであろう、老いと介護に真摯(しんし)に向き合ったこの作品は、映画館に足を運んだ観客の心を打ち、瞬く間に評判となった。

口コミで観客数も増えて、特にこの映画の舞台となった広島(呉ポポロシアター、横川シネマ他)では、立ち見が出るほどの大盛況。延べ観客動員数は93,000人(9月30日現在)、上映館数は99館と、ドキュメンタリー映画としては大ヒットを記録。現在も全国各地でリクエストがあり、自主上映会が行われている。

そしてこのたび、 令和元年度の文化庁映画賞の文化記録映画部門で、大賞を受賞 。 授賞式は、10月28日(月)グランドハイアット東京で行われる。

また、映画では描ききれなかったさまざまなエピソードが書かれている書籍「ぼけますから、よろしくお願いします。」(信友直子著)が、22日(火)に新潮社から発売されることも決定。

また今回の受賞を受けて、ポレポレ東中野(10月26日~終了日未定)、横川シネマ(広島・11月8日~12月4日)、シネマ尾道(広島・11月9日~11月22日)、名古屋シネマテーク(愛知・11月9日~11月15日)、呉ポポロシアター(広島・12月1日~12月19日)でのアンコール上映も決定した。ポレポレ東中野では、初日26日(土)に、信友監督の舞台あいさつも行われる予定だ。

<信友直子監督 受賞のコメント>

Q.まずは大賞受賞を聞いた時の感想をお聞かせください。

“大賞”というワードに舞い上がっております。公開から1年、何よりのご褒美です。この映画を愛し育ててくださったお客様一人ひとりに感謝の気持ちでいっぱいです。

Q.受賞について、ご家族の反応は?

父は「そりゃあえらいことじゃ」と、欣喜雀躍(きんきじゃくやく)というのはこういうのを言うんだな、と思うくらい喜んでいます。親孝行ができたと思うと私もうれしいです。

Q.視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

この作品がこれほど長く広く愛されているのは、みなさんがご自分や大切な方のことを重ねて観ておられるからだと思います。老いも介護も、誰もがいずれは向き合うこと。肩の力を抜いて、一緒に笑顔でいきましょう!

【文化庁映画賞とは】 文化庁が、映画芸術の向上とその発展に資するため、優れた文化記録映画作品(文化記録映画部門)及び永年にわたり日本映画を支えてこられた方々(映画功労部門)に対して顕彰(けんしょう)する。文化記録映画部門では、選考委員会における審査結果に基づき、3作品(文化記録映画大賞1作品、文化記録映画優秀賞2作品)を受賞作品として決定。