10月28日、映画「そして僕は途方に暮れる」の東京国際映画祭 上映後舞台挨拶が行われ、藤ヶ谷太輔さん(Kis-My-Ft2)、三浦大輔監督が登壇しました。
本作では、主人公の平凡なフリーター・菅原裕一(藤ヶ谷さん)がほんの些細なことから、恋人、親友、先輩や後輩、家族とあらゆる人間関係を断ち切っていくという、人生を賭けた逃避劇が描かれます。
2018年に三浦監督がオリジナルで書き下ろした舞台が、藤ヶ谷さんと再タッグを組み、映画化されます。
藤ヶ谷太輔「楽しい思い出はひとつもございません」
本作について、藤ヶ谷さんは「2年前くらいに撮影したもので、やっと公開ができるというのと、皆さんに観ていただいて映画がどうだったのかが気になります」と呼びかけると、客席から拍手が。
また、自身初となる映画祭の参加について「つらく苦しい撮影を乗り越えた作品で、選んでいただいて光栄です」としみじみ。
撮影中には「何度も逃げたくなった瞬間があった」という藤ヶ谷さん。それについて「撮影の当日から逃げたいなと思ったし、楽しい思い出はひとつもございません」と言い切り、笑いました。
中には、「リハーサルを入れると100回以上撮った」というシーンもあったそうです。
さらに北海道での撮影について、藤ヶ谷さんは「実際に苫小牧へ行って、雪の動きや粒の大きさを決めるのに3〜4時間かかりました。マイナス2度くらいの環境で、走ったし、濡れたり、自転車をめっちゃこぎましたね。電動自転車じゃなかったので、めっちゃしんどかったですね、改めて『電動自転車ってすごいな』って思いましたね」と語りました。
そんな撮影を乗り越え、完成した本作。
藤ヶ谷さんは「実際に自分がどんどん痩せこけていって、クマが出ていく感じも役とリンクしてましたし、いろいろなものを監督に引き出せていただけたんだなと思いました」と感想を。
三浦監督も「大変な思いをさせてしまったんですけど、その成果は観てくださるお客さんに届くかなと信じています。後半になるにつれ、常人じゃなくなるというか、藤ヶ谷くんの顔つきが、菅原でしかなくなっているので、そこは評価していただきたいなと思います」とコメントしました。
「しっかり役と向き合えた」と三浦監督に感謝
ここからは、実際に本作を観た観客からの質問に答えることに。
本作で演じた役どころについて、藤ヶ谷さんは「『裕一、クズだな』と鼻で笑われていたかもしれないですけど、徐々に『もしかしたら自分にもそういう部分があるのかも』と共感する部分もあったり、なぜか頑張って欲しいと応援したくなるキャラクターなのかなと思います。舞台をやっているときから、『鼻で笑っている皆さんが、いつか自分にも返ってくるぞ』と思ってましたね」と伝えました。
印象的だったシーンを聞かれると、藤ヶ谷さんは「1テイク目で出し切ったシーンがある」といい、そこで三浦監督に「120点出たよ」と褒められたことを回顧。
安心したのも束の間、「その後に『あと8回頑張ろう』って言われて、貧血になったのを未だに覚えてますね。全シーン、余力がない中で、限界からどうやるかって感じだったので、大変でした」とエピソードを。
そんな藤ヶ谷さんは「撮影が終わってから、通常のテンションに戻るまでに半年くらいかかりました。心も表情も動かずで、アイドル業に支障が出ました(笑)」と明かし、「“三浦組”を経験した人にしかわからない、しっかり役と向き合えた証拠なのかなとポジティブに捉えました。自分のキャパや、年齢のことにも気付けて良かったなと思えました」とコメント。
それを受け、三浦監督は「ありがとうございます」と感謝しました。
「これから映画を応援する上で、良いワードはありますか?」と質問が飛ぶと、藤ヶ谷さんは「『共感と反感の120分!』というキャッチコピーはすごくしっくりきていて。『#共感と反感の120分』で流行るんですか?TikTokで踊ったりすれば、流行るんですか?」と疑問を。
続けて「この後、人生初のインスタライブもありますから、いろいろ試行錯誤しながら、初めてのことにもチャレンジしています」と説明しました。
「藤ヶ谷さんの好きなところ」を聞かれた三浦監督は、「藤ヶ谷くんと現場でギクシャクしたことがあった」と説明し、「そのときも丁寧に、『撮影に向かおうという意思は僕も皆さんと同じです。今後も円滑に現場を回して、一緒にいい作品を作りましょう』というLINEが届いて、ちょっと泣きそうになりました」と振り返りました。
最後の挨拶で、三浦監督が「どうかヒットにつなげて、出来れば『2』とかできたらうれしいなと思って…」と続編を匂わせる発言をすると、藤ヶ谷さんは「2…、2かぁ…ちょっと」と戸惑う様子を見せつつ、「ちょっと考える時間をもらっていいですか?」と一旦保留。
藤ヶ谷さんは、ハッシュタグについて「『#そし僕』で広めていただいて。チームでとにかく命を削りながら作った作品なので、たくさんの方に届いたらいいなと思います」と呼びかけました。
作品概要
映画「そして僕は途方に暮れる」は、2023年1月13日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開。
配給:ハピネット・ファントム・スタジオ
©️2022映画「そして僕は途方に暮れる」製作委員会