『競争の番人』第10話完全版
小勝負勉(坂口健太郎)や白熊楓(杏)たち第六審査(通称ダイロク)は、「ラクター建設」の樋山雄也(平原テツ)が仕切る談合現場に踏み込む。だが、そこには「小津建設」の小津耕介(竹財輝之助)がいた。行われていた談合はダイロクが追う「東京湾岸地区再開発プロジェクト」ではなかったのだ。
<ドラマ『競争の番人』これまでのあらすじ完全版>
さらに、警察が踏み込み、樋山を本庄聡子審査長(寺島しのぶ)殺人未遂とラクター建設の古賀康弘殺害容疑で逮捕する。
自分の身に危険が及ばないようにするために、国土交通省の事務次官・藤堂清正(小日向文世)が仕掛けた罠だった。
ダイロクのメンバーは、再開発プロジェクトの調査は認められなかったが、樋山と小津建設が関わっていた談合の裏付け調査という名目で、ラクター建設の立入検査を実施。もちろん、入札日が迫る再開発プロジェクトの談合場所を探り出すためだ。
しかし、留置した資料からは証拠品がなかなか見つからない。
風見慎一(大倉孝二)は、白熊に小津建設で資料を留置してきてほしいと頼む。
白熊が小津建設を訪れると、耕介と妻・環(前田亜季)が途方に暮れていた。談合に関わったことが知られ、次々に仕事がキャンセルされていたのだ。環は思い詰めた表情をしている。
留置品を持って白熊はダイロクに戻るが、まだ再開発プロジェクトの談合場所などの手がかりは得られていなかった。
そんな時、小勝負の携帯に六角洸介(加藤清史郎)から連絡が入る。検察官の父・敦夫(羽場裕一)のツテを使って藤堂の周辺を探っていた六角は、とんでもない計画を知ったという。
それは、藤堂がこれから国会に提出しようとしている法律で、談合の一部を合法化するというものだった。
次の日、徹夜でブツ読みを続けていた小勝負のもとに検察官の緑川瑛子(大西礼芳)が来て、30年前に大阪で働いていた藤堂の上司だった北沢雄二(野添義弘)という男の情報を教える。
さっそく、小勝負は大阪へ行き、北沢と会う。すると北沢は、30年前の藤堂は談合に関わるどころか「不正を許さなかった」という。北沢も自分が関わった談合を藤堂に追求されて、職場から追いやられたらしい。
では、なぜ現在の藤堂は談合に手を染めているのだろうか。小勝負は藤堂の家で見た家族写真に思い当たり、図書館で裏付け資料を探し始める。
調査が行き詰まった白熊は、本庄から助言をもらうため病院へ見舞いに行く。
本庄は弱気な白熊に、自分がなぜダイロクを作り、今のメンバーを集めたかを話す。それぞれのメンバーの強みをあげていく本庄に、白熊は勇気を与えられた。そんな話を、同じく見舞いに来た桃園、風見、六角は病室の外で聞き、もう一度、談合に立ち向かう決意をする。
白熊が病室を出ると、小津から環がいなくなったと連絡が入る。
思い詰めた様子だった環を思い出した白熊は探しに走った。そんな白熊を恋人で刑事の大森徹也(黒羽麻璃央)が車に乗せて支援する。
一方、ダイロクでは、大阪から戻った小勝負もブツ読みに加わる。そこに、樋山に代わって談合を仕切るラクター建設の塚田俊平(瀬口寛之)を張っていた六角が駆け込み、「再開発プロジェクトの談合が、明日行われる」という情報を持ち込んだ。
もはや時間がないと焦るメンバーたち。そんな時、小勝負がラクター建設の留置資料から裏書のない、ほぼ同額のタクシーの領収書を何枚か見つける。これでラクター建設本社から談合場所への範囲を絞り込めた。
だが、特定することは難しく…。
談合当日。小勝負と白熊は藤堂の家を訪れ、話をさせてもらいたいと頼んでダイロクへと向かう。
小勝負はあっさりと負けを認めるが、「なぜ真面目に働いていた藤堂が、談合に手を染めることになったのかは分かった」と話す。
家に飾っていた妻と娘・環の写真を藤堂が撮った翌日、阪神淡路大震災が発生していた。
写真を撮った後、藤堂は東京へ出張へ。神戸に留まっていた妻と環は暮らしていたマンションが倒壊し、環は助かったが妻を亡くなった。
公営住宅のマンションは、入札制度で最安値で工事を落札した業者が建てたものだが、耐震制度が偽装されていたのだ。小勝負は「それが競争を憎み、談合を推進する理由だ」と藤堂に突きつける。
国民の命を守るために談合を進めていると認める藤堂に、小勝負はそのせいで命の危機にさらされている人もいると反論。
白熊は、藤堂に娘の環も、自分の夫が談合にかかわったことで自殺を図ったと受け継ぐ。環は一命を取り留めていたが、談合によって誰かの大切なものが失われていくと話した。
談合の場所を教えてほしいと白熊が藤堂に頼むと、小勝負は土下座をする。すると、藤堂は「もう談合は終わった」と口にした。
顔を上げ「その言葉が聞きたかった」と微笑む小勝負。談合終了の報告は受けているが、こんな話では自分を追求できないと余裕の藤堂。しかし、小勝負は「報告を受けたはずはない」と言う。
なぜなら、談合場所が見つけられなかったというのは小勝負と白熊の嘘だったのだ。
昨夜、談合場所の特定を進めていたダイロクは、小津建設の留置品に高級レストランの領収書を発見。これをラクター建設の下請けいじめで領収書を回されたとあたりをつけたダイロクは、その店に入り談合の模様を録画していた。
藤堂は、リモートで名前を伏せて参加。談合が終わり、藤堂のリモート画面がオフになった時、ダイロクメンバーたちが踏み込み、参加者の携帯電話はすべて留置した。
つまり参加していなければ、談合が終了したことを知るすべはなかったのだ。小勝負は負けを認めるよう藤堂に迫る。だが、藤堂は「公取の力では、自分を罰することはできない」とダイロクを出ていった。
ダイロクから廊下に出た藤堂を敦夫たち検察官が阻む。驚く藤堂に、小勝負は本庄が検察に頼んだと教えた。
この日行われた談合の模様も、すでに検察に渡されていた。「弱くても戦えることをわかってくれましたか」と問う小勝負に、藤堂は「これで終わりではない」と言い捨てて、検察官に連行された。
建設大手4社による談合事件に関与する藤堂逮捕は、緑川によってマスコミに報告された。緑川は、公取の調査によって明るみに出たことも付け加える。
本庄も退院してダイロクに戻ってきた。しかし、小勝負は無茶な調査をした責任を取らされて四国支社への異動が決定。白熊は警察へは戻らずに、もうしばらく公取に籍を置く様子で…。