『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』第8話完全版
根津道春(溝端淳平)は、東報新聞社に勤務している元カノの阿久津舞衣(小林涼子)から、「私たち、やり直さない?」と告白される。
突然のことに戸惑う根津に、舞衣は、急がないから少し考えてみてほしいと言うと、カバンの中から封筒を取り出した。それは、新聞社にタレコミがあったという、シェアサイクルベンチャー「レンチャリ」の社長・城島久志(森岡豊)と若い女性の密会写真だった。
根津は、ネタ会議で城島のネタを瀬古凛々子(黒木華)たちに伝えた。大ネタに盛り上がる下馬蹴人(野村周平)や一本真琴(石井杏奈)たち。だが根津は、「不倫ネタをいま扱う意味はあるのか」と疑問を投げかける。
根津は、舞衣から、「社会の裏側を暴く記者になりたいという夢は、ゴシップサイトにいて叶えられるのか」と問われ、記者を探しているという「TOKYO POST」を紹介されていたのだ。すると凛々子は、根津がやらないのなら自分が取材をすると言い出す。
椛谷静司(野間口徹)は、そんな根津の姿に、新人の彼が「週刊カンフル」に配属されたころを思い出す。
政治や社会の不正を暴く記事しか書きたくない、と言っていた根津は、実際にある政治家の不正を暴いていたのだ。椛谷とその話をした根津は、「TOKYO POST」の件を打ち明けていた。
ほどなく、カメラマンの笹目虎太郎(寛一郎)が、若い女性とキスをしている城島の写真を押さえる。だが、凛々子がその件で城島本人を直撃すると、なぜか城島は「息子のことなら私は一切関係ない!」と言って去ってしまう。
ネットの書き込みから、立東大学に合格した城島の息子・恭平(新原泰佑)に裏口入学の疑惑があることを知る凛々子たち。息子の合格を喜ぶ城島のSNSに、「城島恭平くん、親ガチャ成功おめでとう」という書き込みがあったのだ。
その立東大学の学長は、なんと根津の父・道真(飯田基祐)だった。しかし根津は、自ら取材すると凛々子に告げる。
あくる日、凛々子と根津は、立東大学を訪れる。キャンパス内の掲示板には、レンチャリの特別協賛で、中央図書館の大規模リニューアルが決まったというニュースが掲載されていた。
凛々子と根津は、学長室で道真と対峙。だが道真は、お茶を運んできた事務員の坂田彩(松本妃代)に、すぐ帰るから必要ない、と指示し、受け取った凛々子たちの名刺も渡してしまう。それでも凛々子は、道真に裏口入学の件を切り出した。
しかし、道真はそれを完全に否定すると、根津に向かって「お前が目指していた記者とやらは、こんな甘い世界だったんだな」と言い放つ。
根津は、編集部に戻ってからも怒りが収まらなかった。大学時代の根津が記者になりたいという希望を伝えた際も、道真は、「事実を暴いたところで世の中が良くなるわけじゃない」と反対。根津は、父の考え方に反発し、記者になって証明してみせようと思ったのだという。
話を聞いていた凛々子は、この件から降りてもいいと根津に告げる。つらそうに見える、と。だが根津は、降りる気はない、と言い放った。
別の日。下馬は、「親ガチャ成功おめでとう」という書き込みをした「のっぺらぼう」なるアカウントの人物を追っていたが、収穫はなかった。
するとそこに、道真の学長室で会った彩が訪ねてくる。彩は、凛々子たちに、裏口入学の証拠を手渡しに来たのだ。それは、恭平の備考欄に「学長案件。+20点」と書かれた入試の採点結果一覧と、城島が道真に面会し、裏口入学を持ちかけた際の音声データだった。
彩は、以前から城島が息子を裏口入学させたがっているという噂を知っており、彼が面会に来た際に録音したのだという。その音声データには、入試の便宜を図ってもらえれば寄付金の増額も検討できる、という城島の声と、それに同意する道真の声が収められていた。
証拠をつかんだものの、怖くなって告発できずにいたという彩だが、そこに凛々子たちが取材に来たことによって勇気が出た、と言うと、この件を記事にしてほしいと言って頭を下げた。
彩が帰った後、根津は、裏口入学の件を記事にしようと凛々子に告げる。しかし凛々子は、道真本人が明確に否定していることから、まだ記事に出来ないと返す。
根津は、ゴシップサイトには手に追えないネタだからびびっているのではないか、と凛々子を非難した。そんなことだからいつまで経っても三流サイトだと馬鹿にされる、というのだ。それに対して凛々子は、そう呼ばれていることを誰よりも気にしているのは根津ではないかと指摘し、父親を見返すために前のめりになっているのなら一度冷静になったほうがいい、と告げる。
その夜、凛々子は椛谷とともに黄実子(りょう)の店を訪れる。そこで椛谷は、「週刊カンフル」時代の根津が国交大臣と建設会社の金銭授受を暴いたものの、大臣は秘書がやったことだとシラを切り、最後にはその秘書が自殺未遂を起こしたという6年前の事件を凛々子に話す。
事実を暴いても世の中が良くなるわけじゃない、という道真の言葉を、自分自身で証明してしまった根津は、それ以来、頑張っても無駄だと言うようになったらしい。椛谷は、根津が「TOKYO POST」から誘われていることも打ち明けると、根津が前のめりなのは、凛々子や編集部の仲間たちのためではないか、と続けた。
同じころ、根津は舞衣と会っていた。道真が城島の息子を裏口入学させた証拠だといって封筒を手渡す根津。父親とのことも、凛々子とのことも、もうどうでもいい、と悲しそうにつぶやく根津を、舞衣は抱きしめて…。
凛々子は再び立東大学を訪れ、採点結果などを探ろうとする。
そんな凛々子に気づき、声をかけてきたのは彩だった。最初は、派手に動き回られるのは困る、と言っていたが、すぐに3月いっぱいで派遣契約が切れることを思い出す彩。ちょうど昼時だったこともあり、キャンパス内のベンチで凛々子と話しながら持参した弁当を食べようとした彩は、「顔みたいになっている」といってスマホで弁当の写真を撮り始めた。
そのとき、学生グループが彩の側を通り過ぎ、ぶつかった拍子にスマホを落としてしまった彩は、くだらない話をしているグループに目をやりながら、「バカですよね。自分がどれほど恵まれているのかわかっていない」とつぶやいた。
一方、サウナを訪れた根津は、偶然、恭平に出会う。ベンチにスマホを置いたまま帰ろうとしていた恭平に声をかけたのがきっかけだった。
編集部に戻った凛々子は、下馬から、「のっぺらぼう」のアカウントに一瞬だけ、弁当の写真が投稿されたという報告を受ける。そこに戻ってきた根津は、恭平から、入試直後に自己採点したもの見せてもらったといい、その結果は93点だったことを話した。
翌日、凛々子と根津は、彩を編集部に呼び出す。そこで、彩から受け取った内部資料や音声データが後から改ざんされたものであることを指摘する凛々子たち。彩は知らないと言い張るが、「のっぺらぼう」のアカウントのことも指摘されると、観念するしかなかった。
「なぜ、こんなことをしたのか?」と問われた彩は、生まれた家が貧乏で大学に行きたくてもいけなかったこと、必死に働いて、奨学金も借りて大卒資格を取ったものの、派遣の仕事しかなかったことを話す。そんなときに裏口入学の噂を聞いて許せないと思い、証拠を掴んで告発しようと決意したらしい。
道真が城島からの申し出を断ったため、一度はそれを諦めようとしたが、その矢先に派遣契約を切られた彩は、入学手続きに来た恭平に偶然出会っていた。受付の場所を尋ねられ場所を教えた時に、自動販売機で当たりが出たから、と言って彩に缶コーヒーを手渡した恭平。
そのとき彩は、親から当たり前のように愛されて、何不自由なく暮らしてきた人だけが幸せになるという現実を実感し、悔しくなったのだという。
凛々子は、そんな彩に、親を選べないのは恭平も同じではないか、と告げる。恭平に会った根津は、彼から、親のコネだと言われないように必死に勉強したという話を聞いていた。恭平は、何をやっても親のおかげだと言われてしまうことに苦しんでいたのだ。
凛々子は、彩を不幸にしたのは恭平ではなく、生まれた家で人生が決まってしまう社会の構造だと言い、記事一つで何かが変わるわけではないが、彩のことを記事にすることはできる。苦しみや悲しみをなかったことにはしない、と約束した。
編集部に戻った凛々子は、今回の件は根津が記事を書くべきだと告げる。凛々子は、彩から編集前の音声データを預かっていた。「バカな息子を持つと苦労する」と言っていた城島は、道真にも息子がいることを思い出し、そのことに触れた。すると道真は、「あいつは世間知らずかもしれませんが、バカではないですね。自分の力でちゃんと生きていますから」と返していたのだ。
凛々子は、辞書で「見返す」という言葉を引き、その意味の一つである「後ろを振り返って見ること」は、自分の過去を振り返ることでもあると根津に告げ…。
別の日、「週刊東西」に城島の不倫を報じる記事が掲載された。最初に情報を得た時点で記事にすればPVを稼げた、と悔しがる下馬。だが、根津が書いた「“親ガチャ”に人生を翻弄される人々。とある裏口入学の真実」という記事も、それなりに話題になっているようだった。
根津は、舞衣を呼び出し、裏口入学のガセネタを渡してしまったことを詫びる。根津が「TOKYO POST」の件を断ってしまったことを知った舞衣は、正直に言ってもったいないと思う、と告げた。
だが根津は、吹っ切れたような顔で、舞衣の言っていることはわかっているがまだ「カンフルNEWS」で何かできそうな気がする、と返す。根津が自分とやり直すつもりもないことを悟った舞衣は、「次は自分が思っていること、相手にちゃんと伝えなよ」と言い残して、仕事に戻っていく。
そのころ凛々子は、笹目と一緒に黄実子の店を訪れていた。そこで笹目は、根津のことをどう思っているのか、と凛々子に尋ねた。そのとき、根津から電話が入る。伝えたいことがあるからすぐ行く、という根津。
凛々子は、根津が急いでいる様子だったため、記事のことで何かあったのかと思い、荷物を持って店を出ようとした。そんな凛々子の腕を掴んで止めたのは笹目だった。「僕はあなたのことが好きです」。笹目は、そう言って凛々子を抱きしめ…。
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