『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』第6話完全版
「僕は、16年前に死んだ岸辺春香の弟です」。
瀬古凛々子(黒木華)を呼び出した笹目虎太郎(寛一郎)は、片方だけの赤いスニーカーを見せながらそう切り出した。
春香(永瀬莉子)は、凛々子(山田美紅羽)と同じ中学校に通っていた不良少女で、16年前に溺死。笹目は、凛々子に聞きたいことがあると続けた。
だが、凛々子のことを心配した根津道春(溝端淳平)が駆けつけたため、笹目はそれ以上何かを言うこともなく、足早に去っていく。一本真琴(石井杏奈)は、笹目が凛々子に近づいた目的は復讐なのではないかと考えるが…。
そんな折、世界的な注目を集めている一大イベント「第1回東京国際MANGA祭」で、世界各国の漫画作品の中から一番優れた作品を決めるコンペティション部門の審査委員長として、世界的な人気を誇る南雲タケシ(やついいちろう)が選出される。
だが、南雲が過去のインタビューで、中学生のときに学校近くの書店で友人と万引きを繰り返し、店をつぶしたと話していたことが拡散し、「犯罪者が審査委員長なんてあり得ない」と南雲に対する激しいバッシングが起きてしまう。
凛々子は、記事を出す前に本人に会う、と言って、根津と一緒に南雲の自宅を訪ねる。するとそこには、野次馬に混じって突撃系の動画配信者・真島正義(島丈明)らの姿もあった。
真島は、帰宅した南雲の娘・沙羅(凛美)にもカメラを向け、「お父さんが犯罪者ということをどう思うか」などと詰め寄っていた。
一方、椛谷静司(野間口徹)は、南雲が中学生時代に住んでいた町を訪れ、中学校の近くにあったウグイス書店が39年前に突然閉店していることを確認する。しかし、閉店した理由まではわからなかったという。それでも凛々子は、南雲本人から話を聞くまでは記事にしない、という姿勢を崩さなかった。
ほどなく、南雲は自身のSNSに万引きの事実を認めたうえで謝罪文をアップした。だが、審査委員長は辞めないという。すると今度は、「俺の漫画買ってたのハゲ、デブ、メガネだけ」という10年ほど前の投稿が掘り起こされ、バッシングが加速していく。
凛々子は、南雲のことを何も知らないから、と言って真琴から南雲の漫画を借りる。
16年前、春香から漫画を借りたときのことを思い出す凛々子。そのとき春香のカバンから進路希望調査書が落ちた。春香は、行ける高校もないからと、就職するつもりらしい。凛々子は、勉強なんて似合わないという春香の言葉を否定し、似合わないのは染めた髪と、サンダルだと告げる。
その後、凛々子と一緒にシューズショップを訪れた春香は、凛々子が似合うと言った赤いスニーカーを買っていた。
別の日、凛々子は、根津とともに再び南雲の家を訪れる。
すると、またもや真島が、登校しようと家を出た沙羅に絡み、無視された腹いせに卵を投げつけるという暴挙に出た。凛々子は、真島の腕をつかみ、真島の行為を非難。根津が警察に電話しているふりをすると、逃げていく真島たち。凛々子は、小さな声で謝る沙羅に、「あなたは悪くない」と告げて…。
真島は、「カンフルNEWSの暴力記者」というタイトルで、凛々子を非難した。凛々子に掴まれた腕は、全治2週間だという。その動画の中で、真島は、クスノキ出版が「東京国際MANGA祭」の協賛社であることを指摘し、漫画祭を成功させるために犯罪者の南雲を擁護していると断罪していた。
執行役員の仁和正樹(安藤政信)は、一部の役員がこの動画を問題視していることから、南雲への取材を止めるよう凛々子に指示する。すでに南雲は、漫画祭の審査委員長を降りることも決定しているらしい。凛々子は、仁和の指示を受け入れるが…。
その夜、凛々子は、辞書を見ていた。「友達」の項目にはマーカーで色がついている。このほうが見やすいから、といって春香がやったものだった。
そこに戻ってきた根津は、凛々子を食事に誘うが、即座に断られる。「笹目に会うのが嫌だからか?」と、16年前のことを切り出した根津は、凛々子が殺したというのはネットだけのデマで、春香とは友だちだったのではないかと尋ねた。
すると凛々子は、事実なのは春香を殺していないこと、事実ではないのは春香とは友だちではないということだと返す。
1人で黄実子(りょう)の店に向かった根津は、そこで笹目に会い、凛々子に近づく目的を尋ねる。同じころ、椛谷も同期の仁和と飲みに行き、凛々子のことを聞いていた。
16年前、更川市山中の川で、当時15歳の春香が溺死体となって発見された。死亡時刻は前日の深夜。なぜ春香がそんな時間に川に行ったのか分からず、その死の真相探しでネットが盛り上がっている最中に、「変死事件の真犯人は瀬古凛々子」という書き込みがあったのだ。
それをきっかけに、凛々子の関与を疑う書き込みが増え、事実無根のデマが拡散すると、凛々子の家にイタズラ電話や落書きをするような人間まで現れた。凛々子に、卵を投げつけた者までいたらしい。母子家庭だった凛々子は、母親とともに引っ越しを余儀なくされ、本名を隠して生きるように。
それからしばらくして、春香とつるんでいた不良少女たちが、彼女を度胸試しのスポットになっていた川の中州に行かせたことを白状した。グループから抜けようとした春香に、その条件として度胸試しをやらせたのだ。ネットの掲示板に凛々子のことを書き込んだのものその不良少女グループの仕業だった。
笹目は、姉の死が凛々子の人生を狂わせてしまったことをずっと気にしていたのだという。凛々子と一緒にいるときの春香の姿を知る笹目は、偶然再会した凛々子と普通に話してみたくて正体を隠していたことを根津に打ち明けた。何も言えなくなる根津。
それから数日後、「週刊東西」に、南雲の新連載漫画が掲載見合わせになったという記事が出る。すると、カンフルNEWS編集部に、沙羅がやってくる。南雲が「迷惑をかけて悪かった。ママのこと頼むな」というメッセージを残して姿を消したというのだ。警察には沙羅の母が相談に行ったが、すぐには動けないと言われて、凛々子たちを頼ったらしい。
しかし凛々子は、南雲の行方を探すのは自分たちの仕事ではない、と返す。もう書くべき事実はない、と。すると真琴と下馬が、取材を続けていたウグイス書店のことを報告。この店がつぶれたのは店主の持病が悪化したからで、今も別の場所で暮らしており、息子が書店を経営しているのだという。
事実ではない過去がそのままにされてもいいのか、という真琴の言葉に、凛々子は南雲を探すことを決意し…。
根津たちは手分けして南雲が立ち寄りそうな場所を当たったが、有力な情報を得ることができずにいた。そんな中、凛々子は、南雲の作品では、悩みを抱えた登場人物がいつも同じ屋上を訪れていることに気づく。
現場に向かった凛々子は、そこで南雲を発見。しかし南雲は、ウグイス書店のことを聞いても、自分が万引きしたことには変わりない、と返すだけだった。
自分たちが正義だと信じる人にとっては些細な事実なんかどうでも良い、という南雲。凛々子は、南雲の言葉に理解を示しながらも、事実を受け止めてくれる人に届くまで何度でも伝えるしかないと告げる。そのとき、強い風が吹いて、バランスを崩した南雲がビルから落かけてしまう。南雲の手を掴んで支える凛々子。そこに駆けつけたのは根津だった。2人は、南雲の体を引き上げ…。
別の日、南雲は凛々子とともにウグイス書店を訪れ、元店主(緒方賢一)に謝罪する。そんな南雲に元店主は、「あんたがやったこと、正直、私はまだ許せん。でも、あんたの漫画は好きだ」と声をかけた。
その夜、凛々子は編集部に笹目を呼ぶ。聞きたいことがある、と言って春香が死んだ日のことを切り出す凛々子。あの夜、春香は凛々子の家に来たのだという。金髪を黒く染め、赤いスニーカーを履いた春香は、凛々子に会いたくなったのだという。去り際、春香は「けじめをつけたらまた話す。ありがとね、いろいろ」と言っていたらしい。
笹目は、なぜ姉が危険を冒してまでグループを抜けようとしていたのか知っているか、と尋ねた。笹目自身もずっとその理由を考えていたが、1年ほど前に、あるものを見つけたのだという。
それは、春香の進路希望調査の紙だった。そこには、就職を進学に変え、「凛々子と同じとこ」と書かれていた。
笹目は、凛々子が赤いスニーカーのもう片方を持っていることを知っていた。事故が遭った日、春香を探していた笹目は、赤いスニーカーを持って河原に佇んでいる凛々子の姿を目撃していたのだ。しかし凛々子は、それを警察にも話さずにいた。
あの夜に言われた「ありがとう」の意味がわからなかった凛々子は、この靴を見る度に心がザワザワしていたのだという。「それはきっと悲しいってことじゃないですか?その靴を見ると、姉のことを思い出すから」。笹目の言葉に、凛々子の目から涙が溢れた。
「でもたぶん、それだけじゃありません。今でも会いたいから……春香に」。笹目は、そう言って泣き続ける凛々子に、その言葉だけで十分だと告げた。編集部の入り口では、根津が凛々子と笹目の話を聞いていて…。
笹目は、凛々子と一緒に帰路についた。そこでもう一つ相談したいことがあると切り出す。
あくる日、凛々子は、笹目が契約カメラマンとしてカンフルNEWSで働くことを部員たちに告げた。
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