さまざまな世界で活躍しているダンディなおじさまに、自分の人生を語ってもらう「オヤジンセイ~ちょっと真面目に語らせてもらうぜ~」。
<これまでの【オヤジンセイ】記事はこちら>
年を重ね、酸いも甘いもかみ分けたオトナだからこそ出せる味がある…そんな人生の機微に触れるひと時をお届けする。
今回は、『クイズ!脳ベルSHOW』(BSフジ毎週月曜〜金曜22時〜/フジテレビ毎週月曜〜金曜4時〜)でMCを務めている、ますだおかだ・岡田圭右が登場。
前編では収録リポートとともに、番組の見どころを語ってもらったが、後編ではMCとしての心構えやこれまでの芸人人生、そして気になる「人生の2ページ目」について語ってもらった。
<岡田圭右の【オヤジンセイ】前編はこちら>
<『クイズ!脳ベルSHOW』で出題された問題などを紹介!関連記事はこちら>
相手からうまく引き出すコツは「いかに自分の脇を甘くするか(笑)」
『クイズ!脳ベルSHOW』に出演されるゲストの皆さんの中には、バラエティ経験の少ない方もいらっしゃいますので、MCとしては、いかにリラックスしていただくか、そして、その方がどんな人なのかという“引き出し”を、どう(ご自身に)開けてもらうか…ということを考えています。その思いは、番組スタート時からまったく変わりません。
うれしいことなのかわかりませんが、自分の周りの芸人がよくこの番組は見ているので、手を抜けない緊張感は常にあります。ま、ま、若干、抜いている部分はありますけど(笑)、自分にとってのモチベーションにはなりますよね。
相手からうまくコメントやエピソードを引き出すコツもよく聞かれるんですけど、「いかに自分の脇を甘くするか」、これだけです(笑)。動物同士が対峙した時と同じというか、いかに腹を見せられるか、だと思うんですよね。
俺が変な感じで空回りすることによって、ゲストの方々に「ここまでやってもいいんだ」と思ってもらい、結果、自分をさらけ出してもらえたらMC冥利に尽きます。かしこまることなく、ざっくばらんに、決して予定調和にならないよう意識しながら毎回取り組んでいます。
<放送800回記念の収録リポート&岡田圭右×川野良子アナインタビュー>
<芸能界でもファン多数!『クイズ!脳ベルSHOW』にハマるワケ>
どっから攻めていこうか、猫だましからもろ差しでいこうか…と考えると楽しい
変な話、番組の中でMCが一番素晴らしいとか偉いとか思われがちなんですけど、俺、全然そんなことは思わなくて。やっぱりゲストの皆さんという素晴らしい“材料”があって初めて料理できるわけだから、MCとしてのテクニックとかは本当にないんですよ。それよりも、いかに楽しく、和気あいあいと、明るく…言葉が幼稚ですみません(笑)。
おかげさまでゲストの方からは「本当に面白かった」「また出たい」という声をいただきます。もちろん、なかなかすぐには心を開いてくださらない方も中にはいらっしゃいますが、そういう時こそやりがいを感じるというか。どっから攻めていこうか、猫だましからもろ差しでいこうか…と考えると楽しいですよね。最低限、プロフィールはチェックしますが、あとはまぁ「なるようになれ」です。
これが、自分がゲストとして出演するとなると話は違ってきます。当然、その場における自分の立ち位置を考えて振る舞うようにしないといけないですし。最近思うのは、だんだん自分が現場で一番年上になってきているんですよ。でも、そこで変にスタンスを変えることなく、今まで通りでいたらええなと(笑)。
キャリアが一番上だから空気読んでまとめようとか、裏回し(※振られた話題をゲストの間で回す役割)がどうとか別にええわ、と。ちょっと戸惑いはありますが、これからもそこはできる限りブレずにいきたいですね。
<関西ジャニーズJr.のなにわ男子から“師匠”と呼ばれることも>
いまだに自分が芸人であることを100%受け入れきってないところがあるかも
そう考えると、仕事への取り組み方は昔からほとんど変わってないかもしれません。よく「他の番組と比べて『脳ベルSHOW』ではのびのびしてるね」って言われるんですけど、他の番組でカットされるところをカットされてないだけ(笑)。
この間なんか、ラジオで初めて僕を知ったリスナーの方が、たまたまテレビに出ている僕を見たそうで、「寡黙でダンディですね」と感想が送られてきたんです。どんだけ編集されてんねん(笑)。
30年近く仕事してもまだまだだです。だからギャグも思ったほど世間には浸透してないので、ずっとやり続けようと思います。やっぱりナンバーワンよりオンリーワン、特に芸能界ではいかに自分の席を見つけるかが大事なのかなとは思いますね。
『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)でも「閉店ガラガラ」をずっと使っていただき、(明石家)さんまさんに感謝しています。
番組が始まった当初は、スタッフも(収録を)どこで切っていいか分からず、「閉店ガラガラ」がちょうどいいピリオドになっただけ。ただ、「これがミュージシャンだったら、印税たっぷりもらえたのになぁ」とは思いますけど(笑)。
芸人人生を振り返ってみると、いまだに自分の出ている番組を見るのは恥ずかしい。自分が芸人であることをまだ100%受け入れきってないところがあるかもしれないです。サラリーマンを9ヵ月やって、相方(増田英彦)に何度も誘われてこの世界に入りましたから。
今の若い芸人たちのように、自分の売れ方を分析したりもせず、特にプランも考えもありませんでした。もう「明るさ」だけでやってきたようなもんです。もちろん本番が一番大事ですけど、自分にとっては本番に入る前も大事というか。
マイクチェックの時に「福山雅治です」と冗談を言ったりするだけで、スタジオ観覧のおばちゃんたちが笑ってくれるのが、たまらなくうれしいんですよね。
子どもに教えてあげられること、やってあげられることってなかなかない
52歳。僕も十分オヤジです。親としての在り方は、なんとなく(自分の)親の背中が影響しているような気はします。
例えば、父は商売人であまり家族の時間が作れず、運転免許も持っていなかったので、俺は免許を取って親になったら、車で子どもを絶対にどこか連れて行ってやろうとずっと思っていました。
仕事や職業に関しても、子どもの頃、ふわっと「こうなりたいな」っていう憧れみたいなものはありましたけど、いざ社会に出てみたら、それ(自分の思い描いていたもの)がないことに気づいたんです。
商売人だった父の姿を見ていたし、母からはずっと「サラリーマンになれ」と呪文のように言われていたので、当たり前のように大学を出て会社に入りました。むしろ芸人になってから「職業ってこんなにたくさんあるのか」と知ったくらいで。
他にもいろいろと思っていたことはあるけど、いざ自分が親になると、子どもに教えてあげられること、やってあげられることってなかなかないですよね。
子どもたちには視野が狭くならないよう、「とにかくいろんなことを経験して、いろんな人に会いなさい」「いろんな場所に行って、いろんな人を見なさい」とだけ言いました。なぜなら、芸能界は人と人のつながりがサラリーマン以上に大事な世界だなと思いますから。
岡田圭右、オリックス・バファローズに入団!?
「もし、漫才師にならなかったら?違った自分になってみてください」。その質問に、岡田から返ってきた答えは「野球選手」だった。そこで、たびたびオリックス・バファローズの大ファンだと公言している岡田のため、入団会見風のセットを用意。ルーキーになりきってもらった。
プロ野球選手になっていた可能性は限りなく0に近いですが(笑)、昔からの夢ということで。あまり夢中になることが少ない男ですけど、野球だけはこれからもずっと追い続けていきたいですね。五十肩、遅咲きの入団なのでちょっと体が固いですが(笑)、どうかよろしくお願いします!まずは一勝!人生もストレートだ!
撮影:河井彩美
取材・文:中村裕一
協力:オリックス・バファローズ